聖女ちゃんがねている。
すんすん。すんすん。
「……なんか臭い」
なんだろうか、鉄錆のような臭いがする。
美少女さんの顔を見ると、首元が赤い。流血?
「……ケガしてる!?」
慌ててベッドに近づき、……布団に手をかける。
「し、失礼します……」
そっと体に触れないように布団をめくる。
「お、おう」
めくる前から察してましたが立派なものをお持ちで。
ぼんきゅっぼーん。
「……うーん。むにゃむにゃ」
俺は慌てて後退し、DOGEZAの構え!
「違うんです!」
「……すぴー」
「……ふぅ」
立ち上がる。そもそも寝起きで着替えてないのがマズい。俺、ティーシャツとトランクスだけで寝てるから恰好がヤバい。寝間着なんてないしな。
そして下半身パン1で、股間に血が集まってるのがマズい。言い逃れできない。
いや、ちゃうねん。寝起きだから!生理現象だから!
……誰に言い訳してるんだ。
床に投げ出されたジーンズを拾ってはく。
さて。改めて美少女さんを見る。
「シスター?」
彼女は修道服のような服を着込んでいた。
清楚・清純を表現するかのような白と黒のワンピース。それを全力で否定する膨らみ。……ではなく。
「コスプレ……じゃあないよなぁ」
服が血と汚れに塗れている。手には紅に染まる白銀の籠手。
体の脇には装飾過多の長い杖。
血は返り血なのか、もう出血が止まっているのか乾いている。表情や呼吸に苦しさは無いし、問題ないとは思うが……。
「うーん」
彼女が寝返りをうち、杖を巻き込むように抱いた。
むにゅう。変形する胸部装甲!
足元まで布団がめくれ、スカートからすらりと伸びる脚があらわとなる。
腰から尻にかけてのまろやかな曲線、そこからすらりと伸びる脚には金属で補強された、頑丈そうな編み上げのブーツ。
ブーツもまた血と泥に塗れ、明らかにそれで何か蹴り殺しましたよね?という汚れ。
…………。
「土足ぅー!」