聖女ちゃんとお着替え準備。
涙をティッシュで抑えるツェツィリーちゃんを見て、俺は正気に返る。
くそぅ……なんか雰囲気に任せて、変な台詞を言った気がするぞ。
「ツェツィリー。俺の迷惑とかは気にしなくていい。帰りたいかどうか考えるのも後でいい。とりあえずはこの部屋を使っていいから、この世界を見てみなよ」
彼女はこくんと頷く。
「あり……がと きょーすけ」
時計を見る……長い話だったな。もう昼か。飯……家に食材は無い。買い物に行きたいがー。この服装じゃなあ。
彼女の胸を、じゃない服装を見る。血のついたシスターの服とかどう考えても事案である。
「ツェツィリー、荷物とか無いの?替えの服とか」
「まほうの くうかん にもつ いれてた でも だせない」
あー、空間魔法とかそんな感じのか。転移の際にそもそも失われたのか、魔法が使えなくてアクセスできないのかは分からないけど、どちらにしろ荷物はないと。
「その服装だと出掛けられない。分かる?」
ツェツィリーは俺の服を見た。今着ているのは寝巻きがわりのTシャツ、胸に『高尾山』と書かれた黒いシャツにジーンズだ。
「わかる わたしの ふくそう めだつ」
「嫌じゃなければ今日は俺の服を着て貰えるか?嫌なら取り寄せるが」
彼女は顔を赤らめて頷いた。
「おかりします」
「うん、禄な服がなくて申し訳ないんだが……」
俺は引出しからシャツを漁り……さすがに『秋葉原』Tシャツはちょっと。GAPのでいいか。ってか下着の問題もあるな。あー、コンビニでショーツだけ買ってこねーと。
「じゃあ着替えてもらう前にシャワー……お風呂でも入って貰うか」
「おふろ!? おふろある!」
「狭いけどね」
嬉しそうだねツェツィリー。