聖女ちゃん感謝する。
「ゆうしゃさま わたし いやだった おもう」
「それにしても……!」
ツェツィリーちゃんは首を振った。
「きょーすけ ありがとう でもだいじょぶ
かみさま きっと てんい かいにゅうした きょーすけに あえた」
そう言って微笑むツェツィリーちゃんを見て、今度は俺の顔が赤くなるのを感じる。
2杯目の紅茶、それももう完全に冷めているが、それを口にする。
「……んなことはない。たまたまだろ?俺とのとこよりもっと良いところあったはずだ」
ツェツィリーちゃんは厳しい顔をして真剣にこちらを見つめた。
「しょうかんされたところ うみのうえ ちがう さばく ちがう こうや ちがう まもの けもの はむし ひる いない あつくない さむくない どくない ことば つうじる
これだけよい かみさま かいにゅう なし こんな こううん ありえない」
そういうことなのか……?地球上の完全ランダム転移でベッドの上に落ちる可能性と言われると確かに極めて低そうだが。
ツェツィリーちゃんの話は続く。
「きょーすけ しょくじ くれた はなし きいてくれた
わたし せいじょ なって6ねん ここまで おだやかな じかん はじめて すごした」
聖女ちゃん16歳!いやそうじゃない。このほんの数時間を6年間で一番だというのか……。
そしてなぜだかそのとき俺の口から出た言葉は、突拍子が無く、一方で当然であるように思えた。
「ツェツィリー、俺に礼を言って出て行こうとしているな?」