聖女ちゃんとそうめん。
料理をちゃぶ台に並べていく。
中央には素麺の入れられたボウル。氷水をはってある。
各自の前には目玉焼きと、オーブンで温めたフライドチキンと、サラダ、午後の紅茶無糖。そして蕎麦猪口。
刻んだネギ、薬味と調味料を持ってきて座る。
「よし、食べよう」
「たべよう」
ツェツィリーちゃんがぱちぱちと手を叩く。
「じゃあ、いただきます」
ツェツィリーちゃんが神と俺に感謝の言葉をつげるよう祈ってから、いただきます、と言った。
俺はそれを待って、ツェツィリーちゃんと俺の蕎麦猪口に蕎麦つゆを注ぎ、水で薄める。
ツェツィリーちゃんは興味深そうにそれを見ている。
「素麺を取って、このタレにひたして食べる。麺は啜って食べる感じで」
箸で素麺をつまみ、左手で持った蕎麦猪口につける。
――ずるっずるずるずる。
うん、ゆで加減は良し。
ツェツィリーちゃんが興味深そうにこちらを見つめる。
「きょーすけ ぼう うまくつかう」
「箸っていう」
「はし」
「難しいからとりあえず後で教えるよ。まずは食べてみて」
ツェツィリーちゃんはフォークで麺を掬おうとし……つるりと麺が滑って落ちた。
「むむむ」
素麺は細くて難しいか。
俺は箸で麺を摘まむと、ツェツィリーちゃんの蕎麦猪口の中に落とす。
「きょーすけ ありがと」
ツェツィリーちゃんはにぱっと笑う。
フォークで麺を持ち上げ、顔を寄せて啜ろうとする。
――ちゅる……ずる……ずるちゅる。
……もぐもぐもぐもぐ。
「おいしい!」
「そりゃ良かった。後はネギとか入れると風味が変わって美味しいよ」
俺はツェツィリーちゃんの蕎麦猪口にまた素麺を落として言った。