聖女ちゃん勇者をディスる。
ツェツィリーちゃんの顔に怒りが浮かぶ。
「ゆうしゃさまには おさななじみ かりうどの むすめさん いました……」
勇者には幼なじみの女の子がいて、それと仲が良かったらしい。彼女も弓と槍で武装した戦士として同行したそうだ。
「たびの とちゅう やどやで やどやで……!」
ツェツィリーちゃんの顔が赤くなる。
……あー。
俺が理解を示し頷くと、彼女は話を続ける。
「よいのです かりうど もともと すきあっていた わたし あとから」
勇者と狩人の娘が好き合っていたのに後から政略的にねじ込まれた感じなのか。あー、それはまあ……。しかも12歳だというなら手出ししない方が偉いような気もする。
ロリコン的な意味で。いや、異世界の結婚適齢期とか知らんけどさ。
……と思っていたのですが。
勇者は多情だったらしい。村を救えばそこの村娘さんを差し出されて仲良くなり、囚われの異国の姫君を救ってはその国に送り返す前に。カジノで豪遊しては夜の町へ……。
「酷いな。良くそんなのが勇者やれてたね?」
「あー…… ゆうしゃ ちからあった それに てんくうのかみ たじょう」
剣はすぐに達人を超える域に至り、魔法は天の属性であらわされる火、光、風、雷などを扱えたと。
そして天空神もその神話からして妻などの多い神であり、勇者の多情は問題ないとされたようだ。
……チーレム野郎め。あー、聞くとマズいかな。でも気になるよなぁ。
即座にDOGEZAに移行できるよう姿勢をずらす。
「ツェツィリーは大丈夫だったの?」