聖女ちゃん追い返す。
聖女ちゃんと夜道を歩く。
昼は暑いくらいだがしのぎやすい初夏の夜、時折車のヘッドライトに照らされながら歩んでいく。
「家にいる間、何してた?」
「まず しょっきを おかたずけした」
「うん、ありがとう」
「あさの かみ みながら ひらがな ふくしゅうした」
「えらいえらい」
うちの生徒たちもこれくらい意欲的に勉強してくれりゃあな!
「ろくじまえ どあ たたかれて」
うん?
「きょーすけ でるなと いってた しずかにしてた」
うん。
「『いるんでしょ』 こえかけられた まゆ だった」
……マジかよ。俺がいなくてツェツィリーちゃんいるときを狙ったのか?
「うへぇ。で、どうした?」
「へや いれる よくない わたし そとでた」
んー……角とか籠手とかあるからなぁ。俺は頷く。
「なんか いろいろ いってて さいしょ はやくて あまり ききとれない」
あいつちょっと興奮すると早口になるな、確かに。
「それで?」
「『あんた なんなの』 いうから りゅーがくせいで いそうろう してるとか はなして」
うん、その辺はあらかじめ決めてたからね。
「『どこで あいつと しりあった?』 いうから」
「うん」
「『おふとんの うえで しりあった』 いったら 『もういい!』 いわれて かえってった」
あー…………。
言葉通りの意味だし嘘はついてないんだけどねー。