聖女ちゃんを根掘り葉掘り。
やれやれ、授業中も針のむしろというかだな。
周囲がこちらをちらちらと気にしているのが分かるというか、集中してねぇなっていう。
「ほら、水渕よう。君のせいでなんかみんな集中出来てねぇよ。せめて帰りに言ってくれれば良いのに」
問題を解いている水渕君が口を開く。
「どうしても気になった。すぐ聞きたかった」
「……ったく」
「水渕君ナイス」
後ろの席で自習始めたみどりさんが声をかけてくる。
そして水渕君と2人でサムズアップする。
……お前今日は帰るんじゃ無かったのか。みどりさんが続ける。
「で、肘川先生その子とどういう関係なの?」
「留学生の子だよ」
「……国際結婚!」
隣の座席から山口が声をかけてくる。
「山口ぃ!聞いてるんじゃ無い。あと結婚してねぇ、まだあったばかりだよ」
「あったばかりなのに手を繋いでラブラブなの?やだ先生情熱的」
「みどりぃ!授業中!」
という感じで脱線しつつも何とか授業を進めていく。
――キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴る。……囲まれている。
ぐっ、貴様ら謎のチームワークを発揮しやがって。
まあ、もちろんあまり興味なく帰る子もいるのだが、半数くらいがこちらを囲むわけだ。
「はい、杉本君お疲れさまー」
室長が囲いの向こうで生徒を帰している。くそ、俺も帰りたいんだが?
「さようならー」
杉本君が室長に挨拶して扉を出て、俺も逃げようかなと考えていると杉本君がダッシュで教室に戻ってきた。
「お、忘れ物?」
「ねえねえ、めっちゃきれいな外人さんが道路でこっち見てるんだけど!」
……ふぁっく。