聖女ちゃん過去を語りだす。
「では こうい しんかんさま ですか?」
こうい……高位か。
「違います」
ツェツィリーちゃんは眉をひそめる。
「しばらくれますか」
しらばくれるの言い間違いかな?
俺が何も言わず紅茶をカップに注いでいると、彼女は納得したように頷く。
「そうですね わたしが どうして ここにきたか どうして そうおもったか かたらぬうち しょうたい あかすべきない
……ようじん とうぜんです」
……何やら誤解しているようだが、ツェツィリーちゃんは納得して語り出した。
それはゆっくりとした口調で淡々と語られたが、要約するとこういうことだ。
ツェツィリーちゃんは幼い頃から神童で、難しいとされる治癒の神術に関しても6歳にして扱えるようになり、10の頃には聖女と目されるようになったという。
当時、彼女の世界は魔王により世界中に人を襲う魔物が放たれ、人間達は塀に覆われて神術で結界のはられた町に篭もり、身を守るしかなかった。
各国の交流は断絶し、魔王軍に各個撃破されるのを待つばかりだったとか。
「そこに ゆうしゃ あらわれたのです」
平凡な村人であった勇者は天空神の加護を受け、魔物を倒す旅に出た。
彼は実は魔物に滅ぼされた国の正統な末裔であることが後に判明し、教皇は12となった聖女ツェツィリーを旅に同行させ、魔王討伐の暁には聖女を嫁がせて亡国を復興させることを約したという。
……ドラクエっぽいですね。いや、それより。
「つぇ、ツェツィリーは12歳で魔王討伐の旅に出たの?そ、それで婚約者いるの?」
「そうですね じゅーにさいで しんじゅつ だれより すぐれていた
そして ゆうしゃとわたし こんやくしていた …………はらだたしい」
あれ?