聖女ちゃん写真に驚く。
「の……」
「の?」
ツェツィリーちゃんは携帯を拾い直して
画面を見つめてぷるぷる震える。
「の の…… の……」
「のの?」
「のわっさほーい!」
……何だその悲鳴。
「きょーすけ! これ! これ!」
ツェツィリーちゃんは興奮したのかスマホの画面をバシバシ叩く。やめれ。
「うん」
「ツェツィリーの たましい うばった!?」
「うばってない、ツェツィリーの魂は問題ないだろう」
写真を初めて見た江戸時代の人みたいな事を言う。
「ツェツィリーを 増やした!?」
無限増殖ツェツィリーちゃんですかね。それともドッペルゲンガー?
きっと増えると世界は平和になるけど俺は持たなそうだ。
「増えてません、あれだ。絵みたいなものだ」
「きょーすけ このいっしゅんで えをかいた!? たつじん!」
あー……。
「絵を描いたというか、この板、スマホって言うんだが、これが絵を描いてくれたみたいな感じだ」
「すまほ! すまほすごい! これも かがくぎじゅちゅ?」
俺は頷いた。
ツェツィリーちゃんはふぇーと感心の声を出しながらスマホをひっくり返して眺める。
「こんなに ちいさいのに すごい」
だよなぁ。
「ツェツィリーにも使うことができる」
「ほんとに!?」
俺はツェツィリーちゃんにスマホを渡し、写真の撮り方を教えてみる。
ツェツィリーちゃんが俺を写真に撮り、俺がツェツィリーちゃんを写真に撮る撮影会はしばらく続いた。