聖女ちゃんとカッター。
と言うわけで家に戻る。
「ただいま きょーすけ」
「おかえり、ツェツィリー」
「おかえり なさい きょーすけ」
「ただいま、ツェツィリー」
さっきもやったやり取りを繰り返す。
部屋に荷物を置く。……えーと、カッターはと。
俺はツェツィリーちゃんにカッターを渡し、段ボールからクッションと羽根まくらを取り出すよう頼む。
「わかった」
カッターを見て、チキチキと刃を出す。
「おお!」
刃をしまい直して渡すと、ツェツィリーちゃんがチキチキと刃を出す。
そしてチキチキと刃をしまう。
「すごい!」
「うん、カッターという。それで箱を開ける」
段ボール箱のテープで止められてる部分に刃を走らせ、箱を開けさせる。
「うん」
べりべり。
「なにこれ」
中から梱包材に包まれたクッションを取り出す。
「それは梱包材っていう中身が傷まないためのもの。剥がして」
ツェツィリーちゃんは梱包材のセロテープを剥がし、中からクッションを取り出す。タグとかも外して……。
「できた わたしを だめにする くっしょん!」
「座って良いよ」
ツェツィリーちゃんはいそいそと自分の尻の下にクッションを敷く。
「むふー」
満足そうである。
俺はツェツィリーちゃんの持つカッターを受け取ってちゃぶ台の上に置き、梱包材を彼女の膝の上に広げた。
「これは?」
俺は何も言わず梱包材の端を持ち、ツェツィリーちゃんの目の前で潰す。
ぷち。
隣の泡のようになっているところに指をかけて潰す。
ぷち。
俺は真顔になったツェツィリーちゃんに梱包材を渡した。