聖女ちゃんがしゃんする。
ビーズクッションに羽根まくらと、軽いけどかさばるものを抱えて店を出る。俺がビーズクッションの入った大きな袋を抱え、ツェツィリーちゃんには羽根まくらの入った袋を持ってもらう。
その後も細々と買い物を続けるが……あれだな、順番逆にすりゃ良かったんだよな。最後に『MUJI』いきゃかさばらずにすんだのに。
買い物に慣れてないあたり主婦失格である。いや、主婦ではないが。
荷物が多いので手も繋げないしね……いや、手を繋ぎたいという意味ではないが!……ないが!
ドラッグストア、『ドラッグフタバ』でレジに並んでいる時にスマホで時間を確認する。3時。……そういやツェツィリーちゃん来てからスマホゲームとかやってねーな。ログイン途切れてるじゃん。どうせ惰性でやってただけだし……もういいか。
「さて、そろそろ帰って食事を作るかね」
まだお腹空いてはいないが、この後仕事もあるからそろそろ帰って用意しておかないとっていう時間帯だ。
「うん」
レジを抜けて、『ドラッグフタバ』の狭い通路を大きな荷物抱えて表に出る。
俺が外に出たところで背後からがしゃんという音。振り返るとツェツィリーちゃんが棚に袋を当てて、陳列された商品を床に散乱させたようだ。……あー。
「あー! ごめなさい!」
ツェツィリーちゃんが声を上げ、店員さんが寄ってくる。倒したのは湿気取りとか殺虫剤とかの特売コーナーか。これから梅雨だしな。
「大丈夫か?」
「あー、大丈夫ですよ」
店員さんが声をかけてくれる。とりあえず割れ物とかではなさそうで良かった。
ツェツィリーちゃんは荷物を床に置いて拾い始めた。俺も行くかと路上に荷物を置いたその時だった。
「あれ、キョースケじゃん?」
声がかけられる。
「真由。……まだ武蔵小山来ることあったのか」