聖女ちゃんのひざまくら。
「あぶなっ、なんだよツェツィリー?」
「ひざまくら」
いや、そりゃ知ってるけど!
「きょーすけ ねる」
ツェツィリーちゃんが照れたような声で言った。だがしかしその表情を窺い知ることはできない。
俺と彼女の顔の間には雄大なる山脈が横たわっているからである。
……この景色は色々とマズい。
山脈が揺れ、その向こうからツェツィリーちゃんの顔が現れる。こちらを見下ろすように覗き込みながら彼女は言った。
「ふともも かたくて ねづらい?」
「いえ!最高です!」
反射的に答えたが、確かに普通の女性に比べてしっかりと筋肉がついているのだろう。だが決して筋肉だけという訳ではなく、その上に女性らしい柔らかさを帯びている。
俺の後頭部に彼女の履くジーンズの下からほのかに伝わる彼女の体温が、身じろぎがー。
「よかった」
ツェツィリーちゃんはそう言うと何故か満足そうに俺の頭を撫でる。
くあー……煩悩がー。何か違うこと考えないと俺も山を作る事になるぞ……。俺の脳内でおっさんが声をかける。
『ところでこれ、膝枕じゃなくて太もも枕だよね』……超どうでもいい!
『ぴざまくら』……さっきピザ食ったからね!
ちょっと落ち着いてきた。うむ、寝よう。寝てしまえば気にならない。
「じゃあツェツィリー、ちょっと寝るね。膝枕疲れたら気にせず動いて良いからね」
「はい きょーすけ おやすみ」