聖女ちゃんときたくー。
という訳で重い腹と絵本を抱えて何とか家まで戻る。
アパートの鍵を開けて靴を脱ぎ、部屋へと入るとツェツィリーちゃんが声をかける。
「ただいま きょーすけ」
「おかえり、ツェツィリー」
「おかえり なさい きょーすけ」
「ただいま、ツェツィリー」
うん。
部屋の隅に絵本の入った鞄をおき、うがいやトイレ、手洗いなどする。
そしてベッドに腰掛ける。
「ふあぁ、苦しい」
ツェツィリーちゃんも隣に腰掛ける。
「たくさん おいしい たべた ごちそうさま きょーすけ」
「どーいたしましてー…………」
いかん、眠い。
食後の眠さ×睡眠不足だ。
ずるずると身体が倒れていき、ベッドに腰掛けたまま、上半身だけ倒れていく。
「きょーすけ おねむ?」
ツェツィリーちゃんは振り返って、俺を見下ろして言った。
朱を刷いた金糸の如き髪が俺の顔にかかる。
「…………うん」
「たべて すぐ ねると どうくつおおなめくじに なるよ」
「そこは牛じゃないのか……」
ことわざは異世界だと違うらしい。
「なめくじでも良いが、流石に眠いな」
「ねてて いいよ わたし おとなしく してる」
ツェツィリーちゃんの顔が遠ざかる。
「うん、すまない」
ツェツィリーちゃんは絵本を持ってきて、ベッドの奥の壁に寄り掛かるように座った。
うん?
ツェツィリーちゃんは俺の脇の下に手を差し込むと、よいしょーと引き寄せて、彼女の太ももの上に俺の頭を置いた。