私の隣で歌うこの男の鼻歌。
___私の名前は 『三好 かさね』高校2年生の16歳だよ。
___そして?
私の隣の席の男の子の名前は 『岩井 康生』彼も16歳。
___岩井君はね?
私の隣の席で授業中に、よく鼻歌を歌うのよ!
___しかも、、、!?
凄くイイ歌でね! 私は初めて聴く歌なのだけど、、、?
何時も、隣で岩井君が歌うから私も自然に覚えちゃったよ。
___凄く、優しいメロディーでね!
聴いてるだけで、凄く心が落ち着く歌なんだよ。
*
___この歌って、、、?
有名なアーティストが歌う曲なのかな、、、?
でも、今まで聴いた事のない曲だし!
___もっと、この先を聞きたいのだけど、、、?
私は、あいにく、、、。
岩井君と仲がイイ訳じゃないから、、、直接聞けないし!
___しかもね、、、?
鼻歌だから、同じところを何度も何度も繰り返すの。
きっと、ココがサビの部分なのだろうけど、、、?
私は、もっとこの曲を聴きたい!
なんなら? 最後まで聴きたい!
・・・でも、岩井君に聞けない!
どうしたらいいのかしら、、、?
▼
___そんな時に、物凄くいいタイミングで。
岩井君に、聞いてくれる男子がいたのよ!
それは! 遠藤君だったわ!
『なあ? 岩井! いつも、歌ってるその鼻歌って? 誰の歌なの?』
『・・・えぇ!?』
【いいぞ! 遠藤君、私が聞けなかった事を聞いてくれて!】
『あぁ~この歌? 俺が作った曲なんだよ!』
『___えぇ!? マジで!?』
【まさか!? まさかの!? 岩井君が作った歌だったったなんて!】
『あぁ、俺さ~バンドとかしたいから! 一人で夜な夜な曲作ってんだよ!』
『へーえ! 凄いじゃん!!!』
『でも、まだメンバーいないからさ~先に曲作っておいて! 後から
メンバー探せばいいかなと思ってるんだよね!』
『___そうか! 岩井、頑張れよ!』
『___あぁ!』
▽
___まさか!? 私が想像していなかった事、、、!?
岩井君が作った歌だったなんて!!!
___でも、それが分かると、、、?
もっと、この先も聴いてみたい!
___岩井君に直接言えば、、、?
歌ってくれるかな、、、?
でも、話すまで仲がイイ私じゃないのに、【その鼻歌の曲を聴かせて!】
なんか? とてもじゃないけど、、、聞けないよ!!!
*
___だけど、、、?
それからも、私は岩井君のその鼻歌を聴くのだけど、、、?
同じところばかりで、先に進むことはなかったのよ!
___私は、遂に勇気を振り絞って! 岩井君に言ってみたのよ!
『・・・い.岩井君!』
『・・・えぇ!? なに三好さん、、、?』
『あ.あのね? どうしても、その、岩井君が歌う鼻歌を全部聴きたいの!』
『・・・急に、どうしたの三好さん、、、?』
『いつも、岩井君が鼻歌を歌うその曲の先が気になって! 仕方がなかったのよ!
私、岩井君の歌う鼻歌が好きなの! だから、最後までその曲を聴いてみたいの!』
『三好さん、、、分かったよ! じゃあ、放課後屋上に来て!』
『___うん!』
*
こうして、私は放課後やっと、岩井君のあの鼻歌を最後まで聴けると思って
ウキウキしながら、屋上に行くと、、、?
『えぇ!?』
___私だけかと思っていたら、、、?
既に、クラスの半分ぐらいの子達が集まっていたわ!
『かさねちゃん! ありがとう~みんな岩井君のあの鼻歌が気になって
たんだよ~でもさ~直接! 岩井君に聞けなくて、そんな時にかさねちゃんが』
岩井君に言ってくれたもんだから~嬉しくて! 本当にありがとう~』
『みんな、岩井君の鼻歌! 気になってたんだね! 勇気を振り絞って!
岩井君に言ってみて、よかったわ!』
・・・そうすると?
岩井君が、少し段差があるところに上り、皆の前でこう言ったの!
『・・・なんか? みんな、ありがとう! 俺の鼻歌がそんなに気になる
鼻歌で、俺もびっくりしてるけど、、、? じゃ、みんなの前であの鼻歌
の歌を唄います!』
___そう言うと、、、?
岩井君は静かに歌いだしたの。
とっても甘くて優しい歌声が、切なく優しい歌詞に凄くあっていたわ。
みんな、岩井君の歌に聴き惚れていたのよ。
最後まで、聴き終わると、、、?
みんながスタンディングオベーションとなり、拍手が止まらなかったの。
『岩井君って? ひょっとしたら、、、? プロのアーティストになれ
るんじゃないの、、、?』
『___私もそう思うわ!』
*
___数年後、、、。
岩井君は、プロのアーティストになったのよ!
私はあの時、気づかなかったけど、、、?
岩井君のあの鼻歌と岩井君自身に想いを寄せていた事に今更気づいたのよ。
【でも? 最後まで、あの鼻歌の曲を聴けて良かったわ。】
それだけは、今でも後悔していないから!!!
最後までお読みいただきありがとうございます。