Criminoid
「度々すいませんねぇ~」
「そう思うのなら来ないでくださいよ」
「今回はすぐ済ませますからね~。浦崎さん」
浦崎は耳掃除をしている。日元は笑顔を崩さない、横で雛元と鏡崎がそれを見ている。浦崎は意に介さず、足を組んで耳掃除を続ける。
「もう終わりですから、勘弁してください」
「もう終わり?」
浦崎が聞き返す、その瞬間日元の顔から笑みが消える。
「浦崎さん、あなたこの事件の犯人。そしてビジランテでしょう」
「は?犯人?おれが?それに...ビジ...?なんだ」
浦崎がとぼける。日元は浦崎を睨む。
「まず第一にあなた、犯人が足を引きずってる。って言いましたよね」
「ああ」
「犯人の目撃証言、私聞き込みしたんですけどね。なかったんですよ」
「それで」
「足を引きずりながら深夜の繁華街を誰も見られずに歩く。これって不可能なんじゃないんですか?」
「それにあなたが乗ったタクシーなんですけどね」
「見つからないんですよ、あの時間帯に走ったタクシー」
「何かの間違いだろ、きっと」
「そう言われましてもねぇ...」
「日元さんの言う通りです、あの時間通っていたタクシーはありませんでした」
雛元が答える。
「な...何言ってやがる...」
浦崎がたじろぐ、
「浦崎才。お前を逮捕する」
鏡崎が手錠を使い、浦崎を取り押さえる。
「は...離せ!俺は無罪だ!」
浦崎はじたばと暴れる、手錠で魔法が阻害されているので、浦崎は暴れることしかできない。雛元も浦崎を取り押さえる。
「犯人はみんなそう言うんですよ」
雛元はそう言い、鏡崎と共に浦崎を運ぶ。日元は「お先に失礼します」と言い残し、去っていった。
「ま、何はともあれお疲れ様」
浦崎を刑務所に送った後、鏡崎と日元は喫茶店に居た。
「いえ、犯人が捕まってよかったです」
「あいつは未だに否定を続けてるようだ」
「そうですか...」
「ま、そんなもんだろうな」
鏡崎は煙草を吸う。日元はうつむく
「鏡崎さん」
「なんだ、ここは喫煙席だぞ」
「今日は用事があるので、この辺でおいとましてもいいですか?」
「ん、うん」
日元は店を出た。
日元は自宅のリビングにあるソファに座っていた。机の上にはワイングラスがある。
「感謝するよ、レイブン」
日元が床に言葉を投げかける、言葉を言い終わるが否や男が床から生えてくる。男はワイングラスを取り、傍のワインを入れて飲む。
「これもぼくらの目的の為、お安い御用だよ。でもそっちも分かってるよね」
日元は立ち上がり机の上のリモコンを押す、本棚の奥に刀と袴が見える。そして日元は刀と袴を取りに行く。男は床を泳ぐようにしてそれに付いて行く。
「ああ、君たちの組織についていくよ」
「わざわざ遠い所からお越しいただきありがとうございます。私K署の署長の河本です」
署長室で秋山が男女二人組に頭を下げていた。二人は秋山よりもひとまわり年下だ。
「現在の進捗状況を教えて下さい」
女性が冷たく言い放つ。
「それなんですが...事件が解決してしまいまして...」
「分かりました、ではそこへ案内してください」