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グリモアレイド-A  作者: 二本針玲
1/23

始まり

幕開け

「いっ...嫌...」

闇の中で一人の女性が逃げ惑う。その怯えた目の先には一人の男が映っている。男は手に刀を持っている。それが路地裏の闇の中で光っている。男の表情は見えない、菅笠のようなものを被っていて全く顔が見えない。

「ごっごめんなさい...」


女性は先ほど取り巻きの男達と一緒に恐喝のようなことをしていた。しわだらけのスーツに眼鏡をかけた中年男性にだ、狙っていたというわけではない。ただなんとなくそこに居たから、路地裏に連れ込むと男性はすぐに謝って財布を出してきた。私はそれをひったくり、遊びに行こうとした。だが取り巻きの一人があいつを見つけた、時代錯誤の和服、菅笠。まるで昔の侍をそのままこの時代に連れて来たような印象を受けた。取り巻きはいつものように胸倉を掴む、だが

「」

男が何か呟いた、その瞬間一人殺された。首から血が噴水のように上がっていた、馬鹿の私でも助からないと即座に分かった。もう一人が男に魔法を浴びせた、許可されていない所で魔法を使うのは犯罪だがそんなことを言っている場合ではない。浴びせた魔法は火、だが男はそれを刀で両断し、その後一人殺した。そしてまた何か言った。

「」

聴き取れない。そしてナイフを投げる、ナイフは中年の男の頭に命中し、男は動かなくなる。不運な奴だ。


私は走る、後ろからは男が迫ってくる。男は身体が大きく狭い道を通るのに苦労している。路地裏を抜けた私は目の前に交番を見つけた、だが。

「えっ...」

突然力が抜ける、声も出ない。見ると右足にナイフが刺さっていた。私は地面に倒れこむ。

「いや...助けて...お願い...」

男は何も返さずに足を掴んで路地裏側に私を引っ張る。私は地面に爪を立てて抵抗する。途中でネイルが剥がれる。ある程度引っ張られたところで私は刀に貫かれる。死ぬ前に一瞬男の顔が見える。男は泣いていた。そこで私の意識は途絶えた。


「これはひどい...」

「悲しんでいる暇はありませんよ」

「日元さんは大丈夫なんですか...?俺は未だに慣れなくて...」

「ええ、悲しんでも彼らは帰ってきません。私たちの役目は犯人を見つけ出すことです。悲しむことではありません」

「言い方はきついが、日元の言う通りだぞ雛元」

「鏡崎さんまで...」

惨状を三人の刑事が見ていた。早朝、通行人が見つけた時には辺りは血の海になっていた。目の前には惨殺死体、目撃者のショックはとてつもないものだろう。不動産ビルの後ろに三人、路地裏の奥に一人死んでいる。

「この死体少し変ですね」

日元が女性の死体を見る。

「誰です?」

「名前は水村奏。あまり素行は良くなく、周囲から恨みを買いやすい人間だ。魔法は水魔法、魔法の評価は平均程度だ」

「水...」

「日元さん...何故この死体が変だと?」

雛元が聞く、日元は向こう側の死体を指さす。

「向こうの中年男性は頭をナイフのようなもので刺されて死んでいる、よこの男は首を斬られて、そしてもう一人は一刀両断されている。ここからこの男の戦闘力はとても高いことが分かります。ですが、それだと変なのです。何故犯人は水村さんを一度ナイフのようなもので足を刺してから胸に刃物を突き刺して殺しているのでしょう。水村さんは魔法の評価が平均程です、恐らく抵抗すらしなかったでしょう。だったら殺すのにこんな手間をかける必要はありません」

そして日元は水村が死んでいたところを指さす。

「そこに彼女のネイルが落ちていました、恐らく犯人は水野さんの足にナイフを刺した後引っ張ったのでしょう。何故このようなことを?そこの男性のように刃物を頭に刺して終わらせればいいじゃありませんか。これは恐らく」

「「犯人の魔法のトリガーになっていた」」

鏡崎と雛元が言う。

「犯人は必ずまた出てくる。もう一人を殺しに」

「現場での考察は終わりました。では戻りましょう」

「彼に会いに」


「今度は違う刑事か...何の用です?」

部屋に金髪の男が一人入っている。日元は笑顔を崩さずに中に入ってくる。

「何度も何度もすいません。浦崎さん、悪気があってしてるんじゃないんですよ」

「ほんとにそう思ってるんなら言葉じゃなく行動で示してほしいですよ、まったく」

浦崎が少し不機嫌に吐き捨てる。

「悪いと思ってますよ。それで犯人の話なのですが」

「何度も言ってるだろう!袴着た侍みたいな奴だ、顔も見ちゃいない!」

「そうですか。あともう一つ」

「あなたは家までどうやって帰りましたか?」

「おう、瓜屋が殺された後怖くなって道路まで走ったそしてタクシーに乗って家まで帰ろうとしたんだ、でも怖くなって警察署に駆け込んだんだよ!」

「なるほど、ありがとうございます。何かあればどんな些細なことでも言ってください」

「あ、それじゃ一つ」

「なんでしょう」

「犯人なんだが足を引きずってるような気がしたんだ」

日元は聞き終わるや否や取調室を出る。

「鏡崎さん。あの事件を見せて頂けますか?」

主人公二人が出ない

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