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お兄様は危機感を感じてます。

 未だに、セシルへのプレゼントに悩むアランの元に、また可愛らしい手紙が届きました。談話室でウキウキとして読む様子に、周りの友人たちは、またかっと思っていましたが。

「兄の座を奪われる」

悲壮感漂わせて叫ぶ様子に、みんな眉間にしわを寄せてしまいました。

「は?」

「ジョゼフに兄の座を奪われる!!どうしよう!!」

「はっ・・・何言ってんだよ。アランだって兄だろ」

ギョームが首を傾げながら突っ込んだ。

「違う!!セシルが、ジョゼフと一緒に手遊び歌で魔法を使ってる」

「いや、普通だろう」

オーギュストは不思議そうに首を傾げた、子供の時に初級魔法で遊ぶことはよくあることです。

「俺としかやらなかったのに!!セシルはいつも俺としか魔法を使わなかったのに」

「そう言うことか・・・そりゃ一緒にいないだから、今一緒にいるジョゼフ君と遊んでやるだろう?」

「ジョゼフの後ろにくっついて離れないとか!!!」

「いや、別に小さい子には普通にあるんじゃないか?俺の妹も小さい時はくっ付いてきたぞ」

エリクは呆れながら言いました。

「ジョゼフにはくっつく事はなかったんだよ!いつも俺の足にくっついてたのに!仲良くなってる!」

「いや、普通に良いことだろう」

オーギュストも呆れながら言いました。

「というか、アラン。君はセシルちゃんを独り占めしてたのか?」

それまで静観していたアルベールが呆れながら言った。

「・・・そんなことはない、セシルが一番俺に懐いてたんだ」

 みんな怪しいと心の中で呟きました。ここまで溺愛してたのなら、きっと他の兄弟が来る前にさらって遊んでたにちがいない、妹の話をするときだけ顔が溶けるアランの様子に、重症度がうかがえます。


「あのさ、セシル姫にとってジョゼフ君は兄だろ?屋敷には兄弟二人だけ、それなら仲良くなるし一緒に遊ぶよ、気にするな。帰ったらまた一緒に遊べばいいだけだ」

エリクが諭す様に言うも、アランはまた手紙を見つめて悲壮な顔をした。


「俺に一番懐いてたんだぞ!!それなのに見ろ!!」

「無視かーい」

そう言ってアラン見せられたのは、2人の手紙です。

ジョゼフはセシルがお祖母様を怖がって、自分の背中にひっついて離れないとか、お母様たちから貰ったぬいぐるみと一緒にセシルと寝ているとか、手遊び歌で上手にセシルが丸い玉を作れたとか書いてありました。

セシルからはお祖母様が怖くてジョゼフお兄様と一緒にいる。ジョゼフお兄様が優しく手遊び歌を教えてくれていっぱい作れる様になったとか、うさちゃんと一緒に寝てますと書いてありました。最後にはちゃんと、アランお兄様早く帰って来てねッとあります。


「早く帰って来てねって書いてあるじゃん。大丈夫だ、お前が一番だってよ」

適当にエリックが言えば、アランは違うと怒ってしまいました。

「よく見ろ!!絵に俺がいない!!書いてあるのがセシルとジョゼフとばあやだ!!こないだの手紙には俺の絵があったのに」

「「ぇー」」

 エリクとギョームが”そこー?”っと思いながら絵を見れば、拙い絵で書かれている横に小さく大人の字で誰を描いたか書いてありました。アルベールとオーギュストに見せれば、呆れた顔しか返ってきません。

「あんまり、構いすぎるとセシルちゃんに嫌われるぞ」

エリックが同じ妹持つ兄として忠告することにしました。

「なぜ?!」

「いや、今はいいけど。少し大きくなってませてくるとな」

 エリクが自身の妹を思い出しながら言えば、信じらんないっという表情をアランがしているのに気付きました。大っ嫌いと言われるぞっと言おうと思っていましたが、今の状態でいうと危険と判断し、エリクはため息をついてごまかしました。

「はぁ、えっとあれだ。女の子は成長が早いだよ。恥ずかしがるんだ、君だってこの歳で母親が構ってきたらウザいって思うだろ。それと同じだ」

「俺のセシルはそんなことない!」

「あー」

エリクは頭を抱えました、あんなに全力で否定している状態では無理です。その様子に、ギョームはエリクの肩に手を置いて項を垂れました。

「これは重症だ。俺たち手ではどうしようもない。重度なシスコンだ。人間完璧な人などいないとこれで証明された」

「そうだな。誰しも欠点はあるな。」

二人は頷きあいました。アルベールとオーギュストは呆れてしまい、すでに視線は手元の本に戻っています。

「普通だ!俺のセシルは可愛いだ。」

「うんうん」

「3歳の誕生日後の絵姿を楽しみにしているよ」

オーギュストが手を振りながら目線は本のままに言うと、アランは胸を張って言いました。

「楽しみにしてくれ!可愛いから限られた人にしか配らないと思う!」

そう言うと、返信を書きにアランは部屋へと戻って行きました。


パンっと小気味好い音をさせてオーギュストがいきなり本を閉じました。その音に周りの人たちの視線が集まります。

「よし、言質はとった。聴いたか?」

アランがいなくなった後、オーギュストが言った言葉に、みんな首を傾げ先ほどの会話を思い出しました。

「あ?・・・あー絵姿か?」

ギョームは遅れて返事をしました。

「あぁ!当たり前だろ」

「え、興味あったの?オーギュスト、さっきからほぼ無視してたのに」

エリクがびっくりしながら聞くと、足を組み直してオーギュストは答えました。

「興味丸出して聞いてたら、あのシスコンが、絵姿なんて見せる気が無くなるだろう」

「まぁ、確かに」

アルベールはうなづきながら、にやりとした顔でオーギュストを見ました彼も悪い顔をしています。

「それは、相当可愛いってこと?まだ幼児だよ」

不思議そうにギョームが聞くと、ニヤリとアルベールが微笑み言いました。

「こないだ、アランの弟のエドガーにあった。セシル姫は、彼に似てるらしい。目がクリッとしていて可愛い顔だった。何よりもセシル姫もエドガーも母親似だ」

アルベールの言葉に、まだエドガーに会った事が無い皆んなは首を傾げましたが、最後の母親似で納得した。

「シュゼット夫人似か・・・」

エリクは母親のお茶会であったシュゼット夫人を思い出していた。父親に似ても美人になることは間違いないのだが、シュゼット夫人可愛らしい女性で、一部の男子では人気の人妻です。

「というか、お前ら組んでたな」

「何のことー?」

アルベールが笑いながら視線を逸らします。

「はぁー」


オーギュストが真面目な顔をしながら話し始めました。

「考えてみろ。今の話から総合するに、懐けば相当甘えん坊で可愛い姫だ。3歳を過ぎれば遊びに行った時に顔合わせができる。そこで仲良くなれば」

「お前・・・ロリコンだったの?」

エリクが警戒心丸出しで問いかけました。

「違う!将来の話をしてるんだ。俺たちの身分と釣り合いの取れる令嬢は、仮婚約してるじゃないか。大きくなれば年の差なんて問題ない!」

その言葉に、周りの青年たちの一部は顔をそらしました、小さい時に決められた婚約者がいる人たちです。巻き込まれたら大変です。

「いやーまー大切だけど。・・・あの感じだと厳しいじゃないか?」

「「何故?!」」

オーギュストとアルベールの声がハモりました。

エリクが冷静に分析し始めました。

「セシル姫の近しい男の親族を考えて見てよ。兄が4人。そして、公爵である父親、前にちらり話を聞いた限りでは、お爺様もデレデレだそうだ。あのドラク前公爵がね。あわせて、計6人いる。話から総合するにかなり溺愛されている。そして、マルディ家は武闘派です、アルベールは守護派、オーギュストは神聖派。あの6人に対して防衛ができる?弟たちを乗り越えたとして、アランと公爵たちが残ってる」

「・・・」

「それは誰も無理じゃないかな?」

ギョームが言えば、びしりっとエリクが指差して言いました。

「正解!」

オーギュストが唸りました。

「つまり、あの6人が認めた男しかセシル姫と婚約できないってことか。難易度高いなー」

「くっ・・・」


「いやいやいや、気が早いから、二人とも」


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