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 突然こんな手紙を送りつけてしまってごめんね。ただ、これはきっと君にとって害のある手紙じゃないと思うんだ。警戒しても仕方ないけど、出来ることなら最後まで読んでほしい。


 俺は縁あって、君の友達、ちかこちゃんの友達だ。君のことも知っている。さくらちゃんというんだよね。


 さて、さっそく本題に入るけど、君はいじめられていたね。そして、今もいじめられている。君はきっとそれから逃げることが出来ないんだね。君は戦わなくちゃいけない。


 実はね、それは珍しいことじゃないんだ。ある日突然戦いが始まることも、親がいなかったり居場所がない子供も、特別なことじゃない。けっこうありふれた事件だ。ありふれた悲劇なんだ。


 なにしろ、学校は戦場だ。影で気持ちがからまりあって、表でこうげきされ、教師にはそっぽを向かれたりする。年齢が上がるにつれ、こうげきのレベルも上がり、より逃げにくくなる。耐えれば終わるというものではない。傷は一生残り、まれに死者も出る。


 俺は今から、そんな君に戦い方を教えよう。君の状況における、君だけの戦い方を指導しよう。この手紙は、戦場のすゝめってやつだ。どう、悪い感じはしないだろ。


 大切なことはたった一つだ。いくつもあったら覚えきれない。


 君は一人で戦わなくていいということだ。周りに大人がいたら利用しろ。それは君のぶきだ。周りにいじめをよく思わない生徒がいるなら利用しろ。それも君のぶきだ。


 ただし、使い方はよく考えて。大人に何をどういえば、どのように動くのか、よく考えなければならない。大人たちと君と違うのは、この戦場における勝利のいみだ。


 あやまらせれば勝ちじゃない。大人はいつも、「ごめんなさい」が終わりの合図と決めつけるが、それはちがう。


 みとめさせれば、あきらめさせれば、分かり合えれば、終わらせられれば、それが勝利だ。それができなければ勝利とはいえない。


 くわしいことは次のページに載せておくから、興味があれば見て、参考にして。もし相談があればちかこちゃんを通じてまた連絡すること。


 君は一人じゃないということだけ、絶対に忘れないように。願わくば、君の戦場から俺や要のような人間が二度と生まれませんように。


 強くあれ。触れたら殺すというくらいの気持ちでいこう。電線みたいにね。


 地味であれ。電線の上で休んでいても気付かれない雀のように。


 教室の全員がそんなふうになれたなら、学校という場所はきっと戦場なんかじゃなくなると思うんだ。一人一人が力を持って、全員が同じ線の上で歌でも歌えるような、そんな平和を手に入れてくれ。


 俺たちがたどり着けなかった場所、電線の上、そこだけを目指して飛んでほしい。




 一晴は手を止めた。何か違う気がする。書いた手紙をびりびりに破くと、ごみ箱に捨てた。


 しかし、何も違ってはいないような気もする。一晴は、今破いたばかりの手紙と同じことを再び手紙にしたため始めた。



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