ちーちゃん。
ふと思いついた短編です。
まぁ思いついたのは昨年の11月ですけどね☆
僕達は車に轢かれた。
僕達が何処かへ出かけようとする度に、嫌気が差すほど両親は注意してきた。
両親は間違ったことは言っていなかった。
それなのに------
なつやすみ。しゅくだいはたいへんだけど、ともだちやちーちゃんとたくさんあそべるからぼくはだいすきだ!
「はやくいこう!おくれちゃうよ!!」
しんごうはあかいろだけど、それをまってたらみんなとのやくそくのじかんにおくれちゃう!
「でも、おとうさんとおかあさんがいつもいってたよ?どうろをわたるときは、ちゃあんと白いしましまのところを、しんごうがあおのときに、わたりなさいって!」
そう言っているちーちゃんはすごくふあんそうなかおをしていたけど、
「だいじょーぶ!ここあんまり車こないから、たまにはへーきだよ!おくれてなかまはずれになったらになっちゃったらいやだろ?さぁいこ!!」
「あっ……まって、おにいちゃーーーーー」
あの日、友だちと公えんでおにごっこをしてあそぶやくそくをしていた。
あさからあそぶやくそくだったけど、ぼくたちは、ねぼうしちゃって、いそいで公えんにいった。 まぁ、公えんには行けなかったんだけどね。
友だちはみんなぼくたちのことしんぱいしてびょういんまできてくれた。
ちーちゃんとぼくはいっしょのへやで、ほかにはだれもいなかった。
いもうとのちーちゃんの友だちも、右どなりのちーちゃんのベッドのまわりにたくさんいた。
おかあさんたちもいっぱいいた。なんだかむずかしいことをずっとはなしていたけど、ぼくにはぜんぜんわからなかった。
びょういんにきたばっかりのころはたくさんきてくれた。
みんなきてくれて、たくさんしゃべれて楽しかった。
だけどだんだん友だちがこなくなってきて、さいきんはだれもいなくて、ちーちゃんとずっとはなしてた。
車にひかれるまえのはなしをずっと、あきるまで。
病院でも、べんきょうはしなきゃいけない。
小学校でみんながおそわったことをぼくたちがしらなかったら、けががなおってから学校いったときにみんなにからかわれちゃう。
「病院」というかんじはさいきん覚えたかん字だ。
よく見るかん字だから、かきとりをしなくてもおぼえられた。
学校とちがってここは友だちがちーちゃんだけだから、ちょっとさみしいけど、なにもない病院でやることができたから、ひまはつぶせるようになった。
いつもどおりちーちゃんとはなしていたとき、ぼくはちょっとへんだなと思った。
ちーちゃんのまわりにへんなきかいがふえたんだ。
そのせいか、ちーちゃんがすこしだけ、とおいところにいるみたいだった。
でもそれはきっとすごいきかいで、ちーちゃんはあっというまに、けががなおっちゃうのかなと思った。でも、そしたらぼくはこの病院にひとりぼっちになっちゃう。
ひとりぼっちはいやだ。
「ぼくにもあのきかいをつけてはやくなおして!ひとりぼっちはいやだ!!」
その日、りんごのかわをむいてくれているおかあさんに、ぼくはわがままを言った。
おかあさんはちょっとこまったかおをしてから、ぼくに言った。
「……ちーちゃんはまだ6歳でしょ?だからあの機械が必要なの。でも、こうちゃんは8歳。お兄ちゃんだから、あの機械がなくても頑張れるよね?」
そっか!ちーちゃんはまだぼくよりこどもだからあれがいるのか!
ならぼくは、おにいちゃんらしくがんばらないと!
うん!とぼくは大きくへんじをした。
さいきん、またちーちゃんのまわりにきかいがふえた。
ぼくのベッドとちーちゃんのベッドのあいだにふえたから、まえよりもっと話しづらくなった。
でも、話すこともなくなってきたし、ぼくはそんなに気にしなかった。
ぼくは勉強をしていた。
もう、ぜんぜんちーちゃんの声を聞かなくなった。
ほんとにちーちゃんがそこにいるのかもわからない。
カーテンがかかっていて、ぼくからは大きな機械のかげだけしか見えなかった。
夜にすこし、さみしくなって、話しかけてみたんだけど、へんじをしてくれるのは機械の音だけ。
勉強も、もうあきていた。
いたくなかった。
けがをして、ぐるぐるにほうたいをまかれていた右手と右足が、いたくなくなっていた。
ぼくはうれしくなって、そのことをすぐにお母さんに言った。
その日の夕方に、
「こうちゃん明日には退院できるって!また学校いけるよ!よかったね!」
と、にこにことしていた。さいきん、お母さんがぜんぜんわらってなかったから、たいいん?することよりも、おかあさんがわらったことがすごくうれしかった。
夜、だれもいなくなったへやで、右をむいて、ちーちゃんにむかって少し大きめの声でぼくはこう言った。
「ぼくは先にたいいんしちゃうけど、毎日おみまいにくるからね!すぐに元気になってね!」
ちーちゃんはわからないけど、機械はいつもどおり元気だった。
その日はえんぴつをもたなかった。
つぎの日
ぼくはひさしぶりに家にかえった。
ちーちゃんよりも先に。
その日はおとうさんとおかあさんと3人でおいわいをした。ケーキも食べた。おいしかったなぁ、いちごのショートケーキ。また食べたいなぁ。
そこでぼくはちーちゃんのことを思い出した。
「ちーちゃんがたいいんしたらまたたべれるね!」というとおとうさんとおかあさんはすこししてから、「そうだね」と言った。
それから何年もの月日が流れた。
気がつけば僕は高校受験を終えていた。
妹は死んだ。
僕が退院した翌年に、静かに息を引き取った。医者は「できる手は尽くした」と言っていたが、こちらとしては死んだのには変わりはない。そんなの医者の言い訳だろうとしか思えなかった。
妹が死んだショックで、母親は家事全般をしなくなり、食事をとること自体少なくなった。時々コンビニに行って、カップラーメンを大量に買ってきてはそれを食べきるまで外に出ない。基本部屋の隅でぐったりとしているだけの廃人と化した。
それに見かねた父親は、帰りが段々遅くなり、家にいる時間が少なくなった。僕は下校中に、父親が知らない女の人と並んで歩いているのを見た。それも1度だけじゃない。毎回女の人も違う。明らかに浮気だとわかった。昼間から仕事などせずに、女遊びに浸っていた。
現在、僕は田舎の叔母さんの家で寝泊まりをしている。
なるべく迷惑をかけないよう、高校も安い公立を選んだし、部活にも入っていない。
夏。あの事故が起きた季節であり、彼岸の時期でもある。
僕は電車で2時間かけて故郷に戻った。
駅からまた30分ほど歩いて、墓地に着いた。
昔は薄気味悪がっていたけど、今はちーちゃんに会う事が出来る、大切な場所だ。
入口付近にある桶を手に取り、水を汲み、ちーちゃんの元へ足を運んだ。
ちーちゃんはもうここからは動けないだろう。
だから僕はありったけ話をして、ちーちゃんを色んなところに連れて行ってやろうと思う。
「……去年は叔母さんと一緒に旅行に行った話をしたよな。
……ごめんな、高校受験があってあれぐらいしか話がなかったんだ。」
卒塔婆が1本、軽く音を鳴らした。
「……そうか。楽しかった。か……。ありがとう。」
目頭が熱くなってくるのを感じて、僕は自分の頬を軽く叩き、気を取り直してこう切り出した。
「……さぁ!今日はたくさん話を持ってきたからな!楽しみにしとけよ〜!」
その瞬間、強い風が吹いた。
「いつもありがとう。お兄ちゃん。」
自分で読んでみても周りの状況が掴めないような文を創ります。めろんぱんβです。
ちーちゃん。どうでしたでしょうか。僕には妹どころか兄弟が誰もいないので、幼少期には暇ばかりしていました。誰かしら欲しかったです。できれば妹が。とびきり可愛いの。…気持ち悪いですねはい。
さて、ちーちゃん。死んでしまいましたが、こうちゃんはどれほどの葛藤の末にあの様に落ち着いたのでしょうか。自分でも気になります。
お父さんはありがちな堕ち方ですね。ひどいものです。
著作活動ですが、これからも続けていきます。
連載もしたいので、大変になりそうですが僕も頑張るので、見てくれている方も気長に待って頂けると幸いです。
ちーちゃん。を読んでくださりありがとうございました。ではまた。