ホラー?
その日は会社で残業がたまっていたために帰りが遅かった。駅から歩いて自宅に向かう。
いくら帰るのが小さな集合住宅とはいえ街頭も疎らで薄暗い道を独り歩くのはなんだか心細い。おまけに今日は夜も更けているせいか街灯の間の闇が底知れぬ何かを孕んでいるかのようで一層不気味に感じられた。
そんな感覚を振り払おうと大きく足を踏み出した瞬間、いきなりずん、と背中が重くなった。疲れが一気にやってきたのか?と思った。
まぁこんな道のど真ん中でぼーっとしていてもしょうがないので重たい脚を引きずりながらも家に帰った。
家にたどり着くと、「あら、子供なんてどうしたの?」と妻に言われた。
だがどこにも子供なんていない。 それを見かねたのか妻が「まあいいわ、悪い子じゃあなさそうだから上がっていきなさい」というとふっと背中が軽くなった。
そのあとはご飯を食べ風呂に入りベットへと入ったのだが、特に変わったことは起こらなかった。
「今日のあれはなんだったんだ…?まぁ特にあれから何もなかったからいいか。」とひとりごちたのを偶然聞いていた妻が言った。「え?まだいるわよ?」
妻の視線の先ではカーテンが何かがくるまってでもいるかのように膨らんでいた。そう、ちょうど子供くらいの大きさにーーー