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 今年も図書委員となった椿が図書室で当番の仕事をしていた時のことである。

 椿が戻ってきた本を書架へと戻す作業をしていると、制服の裾を誰かに引っ張られたので、本を腕に抱えたまま彼女が振り返ると、無表情の少年が立っていた。

 前髪は長めで若干目にかかっているものの、色白で中性的な顔立ちをしているのが一目でわかるほど可愛らしい顔をしている。

 幼さの残る顔立ちから、椿は彼が新入生ではないかと考えた。

 本を戻していた椿が図書委員だと予想をして、探していた本がどこにあるのかを聞きたいのかもしれない


「何か本をお探しでしょうか?」


 どこの書架に何の種類の本があるのかを記憶していた椿はきっと本を探し出せるはずと思い話し掛けたのだが、少年は喋ること無く首を横に振った。

 椿は少年の動作を見て、声を出せ! と心の中でツッコミを入れる。

 ツッコミを入れると同時に、あれ? このやり取り前にもやったような気が……と椿は思い、少年の顔をジッと見てみたが、彼とどこで会ったのかを思い出せない。

 本を探していないにも拘わらず椿に接触してきたということは、少年の方がどこで彼女に会ったのかを知っているということだ。


「あの、どこかでお会いしたことがありましたかしら?」

「……水嶋様の……パーティー……」


 か細い声であったが、椿は少年の声をかろうじて聞き取れた。

 水嶋のパーティー、無表情の少年、声を出せとのツッコミ。

 これらを組み合わせた結果、椿はようやく少年のことを思い出すことができたのである。


「貴方、もしかして三年ほど前のパーティー会場で親御さんとはぐれた方でしょうか?」


 椿の言葉が合っていたのか、少年は途端にソワソワとし始める。


「うん。……そう」

「まぁ、そうでしたか。鳳峰学園に通っていらしたのね。初等部からですか? 中等部からですか?」

「……初等部から」

「あら、それは存じ上げなくて申し訳ございませんでした」


 少年は首を横に振り、気にしていないと意思表示している。


「私は朝比奈椿と申します。貴方のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「……久慈川、くじかわ けい


 少年の名前を聞いた椿は笑顔のまま瞬時に固まった。

 頭の中で何度も少年の名前を反芻する。


 確か、久慈川蛍は『恋花』の攻略キャラの一人であったはずだ。

 化粧品メーカー社長の父親と女優の母親を持ち、母親似の中性的な顔立ちをした美少年。

 彼は自分が主張する前に周囲が何でも先回りして世話してきた為に、自己主張をあまりしない性格へと育ってしまう。


 自己主張をしない彼が唯一好んでいたのが絵を描くことであった。理由は絵を描いている時だけは周囲が静かになるからというものである。

 久慈川は、鳳峰学園中等部に入学後すぐに美術部へと入部するのだが、『恋花』では椿にいじめられた美緒がコッソリと泣いているところを見られてしまったのが切っ掛けとなり、彼との交流が始まった。

 やがてそれが恋になり、彼は幼馴染みの女の子の助けを借りて、美緒をいじめる椿と対決することになる。

 

 そして、最後はいつも通りに椿が当て付けで自ら命を絶つのである。


 『恋花』のことを思い出して黙ったままでいる椿を久慈川は不思議そうな目で見ていた。


「……どうしたの?」

「あ、いえ。パーティーの時よりも随分と大人っぽくなられましたね、と思いまして」

「……そんなに、変わらないよ」

「そんなことはございませんわ。私の記憶の中では、久慈川君は幼い印象でしたから」


 水嶋のパーティー会場で見た当時十歳の久慈川は幼いとしか言いようがない。

 今も充分幼いのだが、三年前よりは身長も伸びている為、大人っぽくなったという言葉が適切だろう。

 中性的な顔立ちの為、可愛いとは思うが、男の子に可愛いは禁句であると分かっているので、椿は敢えて口にしない。


「今日はいかがなさったのですか? 久慈川君は図書委員ではございませんでしょう?」

「蛍」

「はい?」

「……蛍って呼んで」


 これはどういうことだろうかと椿は再び笑顔のまま固まる。


「え、えーと、私と久慈川君はほぼ初対面ではありませんか? ですので、久慈川君の下の名前をお呼びするほど貴方のことを存じ上げていないのです。どうしてもと仰るのであれば、これから先、久慈川君と親交を深めて仲良くなってから下の名前でお呼びすることになりますが、それでよろしいでしょうか?」


 下の名前で呼んでくれと言われても、一度言葉を交わしただけのほぼ初対面の異性をそう簡単に下の名前を呼ぶことはできない。


「仲良くなったら、名前で呼んでくれる?」

「えぇ」

「絶対?」

「絶対です」

「……じゃあ、それでいいよ」

「それと、久慈川君。これは余計なお世話ですが、一応。先輩に対しては敬語を使った方がよろしいですわよ。私は気にしませんが、年功序列を気にする上級生はおります。悪目立ちして色々と言われてしまいますから気を付けて下さいね」

「それ、茜にも言われる」

「茜さん、と仰る方はご友人ですか? 私のみならず、ご友人もそう仰っているのですから、気を付けた方がよろしいですわ」


 特に鳳峰学園に通っている生徒は、きちんと躾けられた良家の子供が大半なので、礼儀にうるさくて当たり前なのだ。

 初等部の頃は上級生と接する機会がほとんどなかったこともあり、まだ大目に見て貰っていたかもしれないが、中等部になるとそうはいかない。

 敬語を使わずにタメ口だなんて馬鹿にされていると思われ、久慈川が生意気だと呼び出されることになる。


「……努力する、します」

「頑張って下さいね」

「僕、何て呼べばいい、ですか?」 

「私をですか? 普通に朝比奈先輩、でよろしいのではないでしょうか?」

「じゃあ、朝比奈先輩って呼、びます」


 椿は初めて後輩から『先輩』と呼ばれ、馬鹿正直に嬉しくなってしまった。


「ですが、初等部の時にも話し掛けてきて下さればよろしかったのに」


 いくら上級生と接する機会がほとんどなく、椿が六年生の終わりぐらいの出来事だったとしても学校内ですれ違うことがあったはずだ。

 三年近く経ってから話し掛けられるとはという驚きもある。


「……いつも誰かが先輩の横にいたから話し掛けられなかった、んです。今日は、たまたま一人で居るの見つけたから」

「そうでしたのね。ですが、覚えていて下さってありがとうございました。忘れてしまっていてごめんなさいね」

「思い出してくれたからいいよ」


 忘れていた椿を責め立てもしない優しい久慈川の言葉に椿は胸を撫で下ろした。

 ソワソワとしている久慈川を見ると、どうやら彼は椿が思い出してくれて嬉しいと感じているように見える。

 こんなにも簡単に久慈川の感情を読み取れるのは身近に彼と同じような態度をとる恭介が居るお蔭だ。

 恭介の方が多少は感情の起伏があるが、目と体の動きを見れば大抵の感情は分かる。

 まさか恭介のお陰で久慈川と上手くコミュニケーションが取れるとは椿は思っていなかった。


「これからも図書室にきていい?」

「構いませんが、仕事中は難しいですね。本を戻している時は多少の会話は出来ますが、カウンターに居る時は無理です」

「……教室まで行っていい、ですか?」

「上級生の教室に重要な用事も無くいらっしゃるのは好ましいとは言えませんわね」


 自分の提案を椿に次々と断られ、久慈川は機嫌を損ねている。

 機嫌を損ねていると言っても、椿から視線を逸らして床を見始めたのでそう思っただけである。


「久慈川君は部活動はされております?」


 椿の問いに彼女から視線を逸らしたままの久慈川がコクリと頷いた。


「……美術、部です」

「でしたら、美術部の三年生に八雲杏奈さんという方がいらっしゃるのですが、彼女は私のはとこで友人ですの。彼女に事情を話しておきますから、お話しする時は杏奈さんもご一緒させていただいても構いませんか? 申し訳ないのですが、事情があってあまり異性と二人きりでいるのを見られるのは困るのです」

「今、二人だよ?」

「今は、仕事中の私に貴方が何かを訊ねていると周囲は思っているでしょうから大丈夫です。つまり、図書室で図書委員に何かを聞いている状態ですので誤解されようがないのです」


 久慈川は納得したのか「ふーん」とだけ口にした。


「同じ部活動であれば、接点があるのですが、私は帰宅部ですのでそれも無理ですし」

「ううん。分かった。明日、八雲、先輩にお話してみる、ます」

「えぇ。私も杏奈さんにお話ししておきますね」

「じゃあ、バイバイ」


 椿に向かって手を振りながら久慈川は図書室から出て行った。



 その日の夜、椿は自室で杏奈に今日あったことを電話していた。


『まぁ、よく三年近く覚えてたものよね』

「本当にね。私から親切にされたのが嬉しかったのかな? でもあの子は周囲からあれこれやってもらってるみたいだし、親切にされただけで懐かれるのも変な話よね」

『逆にしつこいくらいに世話を焼かれて鬱陶しいと思ってるのかもよ? で、椿がさりげなくしつこくなく接してくれたから、仲良くなりたいって思ったのかも』

「見た目が本当に可愛い子だからね。ついつい世話を焼きたくなる気持ちは分からなくはないけど」


 確かに、過剰に世話を焼かれている状況だったのなら、杏奈の言っていることにも納得出来る。

 だが、学校内で彼と二人で会うのは椿の噂もあり、悪目立ちしてしまうし久慈川の評判も悪くなる。

 

「って訳だから、久慈川君と会う時は杏奈も一緒に来てよね」

『いいよー。あの子、美術部でも無口で黙々と絵を描いてるから、他の部員がちょっと遠巻きにしててね。可愛い顔してるから話し掛けたいって雰囲気なんだけど、本人が話し掛けるなオーラを出してるから中々打ち解けられなくてさ』

「気を許した相手にしか話せないタイプか。杏奈とも仲良くなったら他の部員とも早めに打ち解けられそうよね」

『まぁ、皆悪い子達じゃないからね。そうなればいいなと思ってるわ』

「じゃあ、明日からよろしくね」



 杏奈と電話した翌日から、椿が彼女とお昼を食べているところに久慈川が来て昼食を一緒に食べるようになった。

 椿が久慈川に友人と一緒にご飯を食べなくてもいいのかと聞くと彼は、「いないから」とだけ答えて黙々とご飯を食べ始めてしまい、杏奈に視線で咎められてしまう。


「そ、そういえば、久慈川君のクラスは体育祭では何組なんです?」

「……赤組、です」

「あら、でしたら杏奈さんと一緒ですわね」

「朝比奈先輩は?」

「私は黄組でしたわ。赤組は、美術部員が割といらっしゃるので、パネル作成の心配はございませんわね。羨ましいですわ」


 ちなみに椿のクラスは恭介のクラスと同じチームである。

 色分けの時に、恭介のクラスと同じだと知った篠崎があからさまに落ち込んでいる様子を見せていた。

 彼は隣に居た千弦に肩を叩かれ我に返っていたが、非常に残念そうに見えた。

 恭介も残念に思っていたようで、放課後にサロン棟の個室で今年は勝負が出来ないとグチグチ言っていたのである。

 

「黄組にも美術部員は居るじゃない」

「お一人だけですからね。彼にだけ負担がいってしまうのが悪いと思っているのですが、私が手伝おうにも他の方々が手を出すなと仰って」

「そりゃそうでしょうね」


 などと、世間話をしてお昼を過ごしている訳である。


 最初の頃はカフェテリアに居る他の生徒にジロジロと見られていたが、ほぼ毎日、久慈川と一緒にご飯を食べていたので、すっかり他の生徒は慣れてしまったのか椿達を見る視線は格段に減っていた。

 それでも、興味本位で見ている生徒や、若干の敵意を持った目で見ている生徒も中にはいる。

 これは、久慈川が一年生の中で王子様ポジションにいるせいだと椿は思っていた。

 恭介のみならず、久慈川まで独り占めしているなんてと思われているのだ。

 だが、そういう目で見てくるだけで椿に直接何かを言ってくるような生徒は居なかった訳である。

 

 そんな中、久慈川と昼食を食べるようになってしばらく経ったある日の放課後、椿は下級生と思われる見慣れない女子生徒から声を掛けられた。


「朝比奈先輩ですよね?」

「えぇ」

「私、一年の名取茜なとりあかねと申します。お話があるのですが、お時間よろしいですか?」


 椿は茜という名前を聞いて、あぁ、この子が久慈川の友人か、とすぐに察しが付いた。

 決して友好的とは言えない名取の雰囲気に、これはきっと久慈川の件で何かを言われるなと彼女は理解する。


「構いませんわ。カフェテリアでよろしいかしら? それともサロン棟に参りますか?」

「人に聞かれて困る話でもありませんし、カフェテリアで結構です。それに放課後のカフェテリアにはほとんど人はいらっしゃらないでしょう」

「いらしたとしても数名でしょうしね。では、参りましょうか」


 カフェテリアで飲み物を注文し、ついでに名取の分もと思ったが、彼女にハッキリ「いりません」と拒否されてしまう。

 自分の分の飲み物を受け取った椿は、空いている席に腰を下ろした。

 周囲にはまばらに生徒の姿があるが、あまりこちらに興味が無いのか携帯を見ていたり、読書をしていたりしている。

 これなら仮に話を聞かれても吹聴される心配はなさそうだ。


「では、名取さん。お話とはなんでしょうか?」


 十中八九、久慈川のことだと分かっているが、椿は彼女が話を切り出しやすいように促した。


「単刀直入に申し上げます。蛍にこれ以上近寄るのは止めて下さい」


 椿の予想通り、名取は久慈川のことを話題に出してくる。


「近寄るも何も、久慈川君の方から話し掛けてきて下さるのよ?」

「嘘です。蛍は信頼していない相手に自分から話し掛ける子じゃないのは私が一番よく分かってます。朝比奈先輩から話し掛けない限りはあり得ません。もしかしたら、朝比奈先輩は蛍を使って水嶋様に嫉妬してもらいたいのかもしれませんけど、逆効果ですよ」

「はい?」


 突拍子もない名取の言葉に椿は首を傾げた。

 

「蛍は無口ですし、他人に対してベタベタするタイプじゃないので、たとえ水嶋様といえど、ただ話しているだけで嫉妬なさるわけがありません」

「そもそも、恭介さんは嫉妬なさるような性格をしておりませんわ。あと、名取さんは誤解なさっておいでのようですけれど、私は久慈川君と三年ほど前にお会いしておりますのよ?」

「嘘です。蛍からは何も聞いてません。蛍は幼馴染みである私に隠し事なんてしませんから」


 幼馴染み、という言葉を聞いた椿は目の前の名取がゲーム内の久慈川の手助けをした幼馴染みの少女なのではないだろうかと思った。

 名前までは覚えていないので臆測だが、久慈川に名取の他に幼馴染みがいないのであれば確定である。

 しかし、今は名取がゲーム内の幼馴染みと同じかなどと考えている場合ではない。


「嘘ではございませんわ。三年ほど前の水嶋家主催のパーティーで、ご家族とはぐれた彼に私が話し掛けて、よく人が見える場所まで連れて行って差し上げたのです。彼はその時のことを感謝なさっていたようで、中等部に入学して私の姿を見て話し掛けてきて下さったという訳です」


 名取は信じられないというように目を見開き驚いている。

 椿が人助けをしたことにおどろいているのか、久慈川が自分に隠し事をしていたことに驚いているのかは椿には判別が付かない。


「……それでも、蛍に近寄るのは止めて下さい。ご自分の立場をお考えになって下さい。貴女と一緒に居ることは蛍の為になりません。蛍まで他の生徒から避けられてしまいます。それでなくても、あの子は人見知りで無口で他人を寄せ付けない人間なのに……」


 名取がポツリと零した後半のセリフを聞いた椿は、彼女が自分と同じ立場の人間だということに気が付いた。

 椿も恭介が他の人から遠巻きにされたり、交流を持たなかったりすることを心配している。

 どうにかしようとしていた椿の姿と、目の前の名取の姿が重なった。

 彼女はただ、久慈川を心配しているのだ。

 評判が悪く、他の生徒から怖がられ避けられている椿と一緒にいれば、彼も同じような人間だと他の生徒から思われ、避けられることを恐れている。

 杏奈が居るから大丈夫だと思っていたのだが、名取はそうは思わなかったということだ。


「杏奈さんと一緒でしたから大丈夫だろうと、そこまで考えが及んでおりませんでした。申し訳ございません」

「え?」

「名取さんが心配なさるのも無理はありませんわね。ですが、一度冷静になって久慈川君と話し合っていただけますか? 彼にも仰りたいことがあるかもしれませんし」

「…………分かりました。引き留めてしまって申し訳ありませんでした」


 傲慢、我儘だと噂されている椿が悩む様子もなくあっさりと謝罪したことで毒気を抜かれたのか、名取も素直に従った。

 だが、やはり気まずいと思ったのか、名取は立ち上がると椿に綺麗なお辞儀をして早足で立ち去ってしまう。

 椿は椿で一年生なのに上級生に物を言えるのはすごいな、と感心していた。

 それだけ久慈川を大事に思い心配していたということである。

 あの二人の話し合いがこじれなければいいけれど、と思いながら椿は残った紅茶を飲み干した。



 後日、昼食時に名取を連れた久慈川が椿達のところへとやってくる。


「茜がごめんなさい」

「気にしておりませんから」

「茜」


 久慈川にせっつかれた名取が一歩前に出て椿に向かい頭を下げた。


「早とちりでした。申し訳ありませんでした」

「ですので、気にしておりません。頭を上げて下さい。それで、どのような話し合いをされたのですか?」


 椿が二人に椅子に座るように促すと、久慈川はあっさりと、名取はおずおずと椅子に腰を下ろし、二人で話し合った結果を彼女が説明をしてくれる。

 やはりこの二人、主導権は当たり前だが名取の方にあるらしい。


「では、久慈川君が私達と昼食を頂くのは週に一度と決まりましたのね」

「はい」

「分かりました。久慈川君、他に仲の良いお友達が出来るといいですわね」

「……頑張ります」


 久慈川と恭介の違うところはこういう積極性の有り無しである。

 二人の話し合いがこじれずに終わったことに椿はホッとした。


 そして、さらに後日。


「あんた、下級生に頭を下げさせた冷酷人間って言われてるわよ」

「事実だけど違う!」


 あの場面を見ていた生徒達が好き勝手に噂をしていることを杏奈から聞かされた椿は、彼らが頭を下げたのは事実だけど意味が違う! と何度も机を拳で叩きながら口にしていた。

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