第5話:目覚め5
迅 「俺はお前の中の能力を奪いに来たんだ。」
いつもの声で平然と言ってくる。
拓 「お、俺の能力だって?」
迅 「そうだ。俺達の組織の中では《鍵》って呼ばれている。」
拓 「《鍵》?何の鍵ですか?」
迅 「おっと、これ以上喋ると俺の首が飛ばされるから、黙って死んでくれ。」
それまでの会話を打ち切り銃を構え出した。
〈ダァァン!!!!〉
撃つ前にまた動き避けるが、
〈ドガァァ!!!!!!!!!!!!〉
凄まじい轟音と爆風で拓は吹き飛ばされ木に背中を強打した。
拓 「グッ!?ガハッ!!!!」
激しく咳き込みながらも敵の様子を探ろうと辺りを見回す。
迅 「よくアレを避けたね。完全には避けれなかったみたいだけど。」
声のした方を直ぐに向く。
拓 「なっ!?」
拓が目にしたのは笑顔をなくした冷たい顔の迅と…………変わり果てた左腕だった。
あまりにも人間離れしたそれに拓は言葉は出て来なかった。
迅 「あぁ拓に見せるのは初めてだったね。コレが僕の能力だよ。」
迅の左腕は銃の形に変わっていた。
迅 「今日で最初の最後になるからちゃんと覚えて逝けよ。」
迅はそこまで言うと銃口を拓に真っ直ぐ向けた。
拓 「ハッ!?」
突然の殺気に現実に引き戻された。
《ダァァン!!!!》
銃口に光が集まって一つになって吐き出された。
拓 「ヤッバ!!!!」
急いで逃げようとしたが、虚しくも拓は光ごと地面に叩きつけられた。
《ゴォォォ…………》
爆発音はどんどん小さくなって無くなっていった。
拓 「グッ……ハァ、ハァ、ハァ」
拓は爆発に巻き込まれたがギリギリでダメージを最小限に押さえた。
迅 「驚いたな。まさかアレを喰らってまだ息があるなんて…」
一歩一歩確実に拓に近づいてきながら迅は本当に驚いていた。
迅 「殺すのが勿体無いぐらい惜しいな君は。」
そして銃口を地面で倒れている再び拓に向けた。
拓 「………糞がっ!!」
小さく地面に吠えながらも必死に動こうとしたが、それは酷くやられた右足によって阻まれた。
迅 「この距離なら何も分からないまま綺麗に死ねるよ。
それじゃあ本当のサヨナラだよ拓。」
迅の左腕の銃口に光が集まる。
拓 《糞っ!!俺はこんな所で死んで良いのか!!俺が死んだら残った理沙はどうなる!!そうだ!俺はあいつの為にもこんな所で
「死んでたまるかぁ!!!!!!!!!!」
拓が叫んだ瞬間拓の周りで光が飛び出し、そしてあの声が頭に響いた。
しかし、それは何時もの声とは違い全てを優しく包んでくれるような、そんな感じがした。