第2話:目覚め2
拓は迅を無視して歩いていた。
迅 「そんなに怒るなよ〜。たまには加減を間違えることもあるじゃないか。」
持っている木刀を軽く振りながらあまり反省の無い声が人気の無い森の中に響いた。
拓 「怒っていません。それにあれは間違えたの限度を超えています。」
冷たい声で返して歩くスピードを速める。
その後は言葉を一言も交わさずに家に着いた。
拓 「ただいま〜」
ガラッと扉を開けると同時に
? 「おかえりー!!」
元気がありすぎる声が耳元で聞こえる。
拓 「おっ、おい!いきなり抱きつくな理沙!!」
理 「良いじゃんか〜。私達はもう結婚を誓った仲でしょ。?」
拓 「だから俺はそんな小さい時の事は覚えて無いって言ってるだろうが!!」
顔が真っ赤になりながらも理沙を離そうとするが、腕が腰の後ろで完全にかみ合っているので全然離れない。
迅 「熱熱だねぇ〜お二人さん。」
冷やかす声で言ってくる迅。
拓 「そんなんじゃ
「はい!そうなんです!拓ったら私を離してくれないんですよ。」
拓の反論は虚しくも理沙に阻まれた。
拓 「ハァもう良いよ。」
理沙をくっつけたまま歩きだす。
くっ付いている彼女の名前は椎名 理沙。
前住んでいた家が隣同士で小さい時に良く遊んでいた。
しかし、彼等の住む村に山賊達が攻め込んで、村人は二人以外はみんな死んでしまい、そこに来た救護隊の一人が迅だったのだ。
迅が二人を引き取り今まで育ててくれた命の恩人なのだ。
そして今にいたる。
理沙に能力が有るかは検査をしてないから分からないらしい。
理 「ちょっと待っててね。」
リビングに着くとそう言って腰まである長い栗色の髪をなびかせて台所に向かった。
迅 「拓も大変だねぇ〜。結婚したら毎日あんな風に抱きつかれるんだから。」
少し遅れて入って来た迅が言った。
拓 「結婚なんてしませんよ。」
疲れた口調でその言葉をなんとか出した。
迅 「そんなの勿体無いよ〜。あんな可愛い子そんなに居ないよ?」
そんなに可愛いのか?あいつが?
……
……
………
有り得ないな。
そんな事を考えていると、
理 「ご飯だよ〜!!!!!」
耳元で言われビクッとして前を見ると美味しそうな料理が並んでいた。
迅 「何寝てるんだよ拓。先に飯食っちまったじゃねーか。今日の飯も最高だったよ理沙ちゃん!じゃあ先に風呂入らせてもらうよ。」
それだけ言うと迅はリビングを出ていった。
理 「迅さん早っ!!ほら、拓も早く食べないと捨てちゃうよ?」
拓はゆっくりとソファーから立ち上がり料理が並べてある机についた。
拓 「いただきます。」
手を合わせてしっかりと言う。
今はもう飯を食べて風呂にも入り、布団を敷いて寝ようとしていた。
今日あった事を少しだけ思い出しながら夢の世界に入っていった。