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本日は晴天こちら姫風工務店  作者: アルファルド
1章ユニコーンと姫君の涙
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第八話

すいません。遅くなりました


 寒空の中で商店街の中の一軒のシャッターが開く。

 中から無精髭を生やした三十代くらいの男が現れる。

「良い朝だねぇ」

「ただ寒いだけだ」

 男のぼやきに後ろから呆れた声が答える。

「つうか普通に考えて普通の店は5時には開かない」

「おや、いらっしゃい彩斗くん」

 男が後ろを向くと心底めんどくさそうな顔右目に眼帯をした姫風彩斗が立ってた。

「頼まれてたものは準備はできているよ」

 男がニヤリと笑うと店に招き入れる。

 店の中はどう見ても雑貨屋で棚には鍋やフライパン、洗剤などが並ぶが男が奥に入るとすぐに巨大なケースを3つ持ってくる。

「一つずつ確認をお願いしようか」

 男が左のケースを開くと細い鉄の筒がいくつも付いた銃、一般的にはガトリング砲と言われる部類の銃が入っていた。

「確認した」

 彩斗はガトリング砲を確認するとそのまま真ん中のケースを開くとそこには鉄の筒一本入っている。一般的にはロケットランチャーと呼ばれるものである。

「ふ、これだけ見るとただのテロリストだな」

 おそらくこの街でこんな武装をしているのは自分だけだろう。

 最後のケースを開くと巨大な長い筒と銃器が入っている。

「アンチマテリアルライフルか……」

 おそらくはこの中における切り札。

 大口怪弾を用いて装甲や遮蔽物ごと対象を破壊するライフル。

「以上が頼まれたものだね、あとはこれかい?」

 男が木製の箱を取りだし開けるとそこには大量の綿が積めておりその中央に銀色の突起物が顔を覗かせている。

「とゆうか、こんな物何に使うんだい、普通には使えないサイズだろう」

「あぁ、だろうな」

 彩斗が木箱の蓋をしめると携帯が鳴る。

「もしもし」

「宇佐美です、事務所は無事です、あと虎丸も無事です」

 電話越しに宇佐美の元気な声が響く。

「よし、虎丸に燃料いれとけ」

「了解であります!!」

 彩斗は電話を切ると男に視線を向ける。

「支払いはいつもので頼む」

「はいはい一子さん持ちね」

 男は呆れながらトランクと木箱を纏めながら呆れている。

「いつまでもお世話になってないで自立したらどうだい」

 男はキャスターに荷物を乗せ外に出るとポケットからタバコを取りだし口にくわえると彩斗も懐からタバコを取りだし口にくわえるると火を灯すとキャスターを押す。

「もう帰るのかい?」

「あぁ、このまま居ても説教だけだろうしな」

 彩斗は踵を返しそのまま帰路に着く。

「姫風彩斗、君はいつまでそこに居れるかな」

 男はタバコを路上に押し付けながら彩斗にも聞こえない声でボヤく。










 蝋燭の揺らめきにより照らされた部屋に五人の人間が椅子に座っている。1人は筋肉質な身体には似合わず仮面を被っており髪は白髪にしてこの中でも一番の威圧感を持っている。

 その隣には同じく白髪だが和服の着物を纏った男が不敵に笑っている。

 もう1人は全身黒のスーツに黒い帽子を被った男である。

 その隣には血のような真っ赤な着物を纏った黒い髪の美しい女性が花札を1人で捲っている。

 そして最後にフードを被った小柄の少年が座っているがその表情はフードに隠れて伺えない。

「それでは五弦機関定例会議を行う」

 仮面の男がそういうと中央から二つの上に伸びる樹と下に伸びる樹が表示される。

「先日捕獲したリリスを含め現在我々は三体の悪魔を所持している」

 仮面の男はそう言うとメンバーの顔がニヤつく。

「次はハミエルか」

 フードの少年は質問するが答えたのはスーツの男であった。

「ハミエルは見送ります」

「なぜだ」

 和服の男は睨みながら言い放つ。

「クリフォトもセフィロトは数字の大きい順番に集めなければならないのですよ」

 スーツの男は何が可笑しいのか笑いながら答えると和服の男がスーツの男に短剣を投げる。

「俺の前でその顔でニヤけるな六道零也」

「これは失礼しました黒司竜馬どの」

 零也がニヤけながら答えると竜馬が日本刀を抜き放つと竜馬の腕に黒い影がまとわりつく。

「零也、てめぇ」

 和服の男は苦虫をすりつぶしたような顔で零也を睨み付けるが零也は涼しげな顔をしている。

「やめろ……」

 仮面の男がその威圧感を大きくすると竜馬は後退するが零也は涼しげな顔で佇んでいる。

「悪魔と天使の収集に関しては零也に一任してある」

 仮面の男はそのまま威圧感を解かずに言い放つと竜馬が何か言いたそうに仮面の男を睨み付けるが男の威圧感が膨れ上がり再び後退する。

「当面はサンダルフォンかバールの捜索ですね」

 零也が当面の目的を言うとフードの少年が立ち上がり出口に向かう。

「ガンダージュブ何処に行くきだ」

「会議はもう終わりだろ、僕は真祖探しで忙しいんだ、僕たちの計画にはあいつの心臓が必要なんだろ」

 ガンダージュブはフードに隠れた顔からは伺えないが楽しいそうに語る。

「そうだ、我々の計画、その先にあるもの、真の平和だ」










 キャスターに物騒な物を乗せ彩斗は町を歩いている。

「今所持品検査されたら一発でブタ箱直行だな」

 そんなことを呟きながら口に煙草を加えながら歩いていると彩斗の足元に百円玉が転がってくる。

「ん?」

「すいませ〜ん」

 百円玉を拾い上げ、声のする方を見ると反対側の車線から学生服を着た少年が缶コーヒーを片手に手を振っている。

「いやいや、どんだけ転がってんだよこの百円玉」

 彩斗は軽く数メートル転がってきた百円玉を拾い上げると少し笑う。

 彩斗は百円玉を指で弾くと車の間を縫うように加速し少年に届くと彩斗は踵を返しそのまま歩き始める。










 姫風工務店のソファーに宇佐美は横になる。

「ふぅ〜虎丸も燃料入れたし、ご飯の炊く用意もしたです」

 宇佐美は1人呟くとソファーから立ち上がりいつも彩斗の座る一番窓際の席に座る。

「タバコ臭いです……」

 タバコの臭いが充満する席に宇佐美は嬉しそうに机に顎を置くと目を閉じ吐息をたて始める。

「たくクソ重てぇぞこれ」

 宇佐美が眠りにつくと同時に彩斗が扉を開け帰宅すると視界の隅に宇佐美を見つけるとそのまま苦笑いを浮かべるとそのまま台所にはいる。

「相変わらず我が家の冷蔵庫は何も無いな……」

 特に調味料以外の物の無い冷蔵庫の中に缶コーラを取りだしそのまま開けると口をつけ一気に飲み干すとそのまま胸元のタバコに手を伸ばす。

「そういや組み立てて見るからな」

 ケースの中から武骨な鉄の塊を取り出し組み立てていくとやがて長い筒に平たい鉄の塊がついたアンチ・マテリアルライフルが出来上がると彩斗は食器棚の引き出しから銀色の何か文字が刻まれた弾丸を取り出す。

「つか宇佐美のやつマジで入れやがったな」

 先日宇佐美に銀製品はみんな纏めとけと言ったら銀スプーンと一緒に銀弾丸を仕舞ったようだ。

「たく……ってこれはねぇよ」

 彩斗の視界に入ってきたものに思わず彩斗は突っ込みを入れる。

 なぜなら食器棚の中に手榴弾が放り込んであるのだ。

「仕方ないか……」

 彩斗はぼやくとそのまま手榴弾を机に置きソファーに腰をかけるとタバコに火を灯す。

「むにゃ〜彩斗さんダメですよ〜それは食べ物じゃありませんよ〜」

 ふと彩斗の耳に宇佐美の寝言が入ってくる。

「こいつなんの夢見てんだよ……」

 彩斗は若干笑いながら呆れてる。

「彩斗さん〜それは鉄パイプですよ〜ジャムつけても食べれませんよ〜」

 宇佐美の中では現在彩斗は鉄パイプにジャムをつけ食べようとしているらしい。それを聞いた彩斗はコートからハンドガンを取り出しセーフティーを下げ宇佐美の横に発砲した。

「はにゃ!!」

 宇佐美は驚いて椅子から飛び起きると宇佐美のデコに冷たいものが当たる。

 恐る恐る視線を上に移すと彩斗が冷ややかな目で宇佐美のデコにハンドガンを押し付けている。

「彩斗さん……どうしました?」

 宇佐美は恐怖に身を震わしながら質問すると彩斗は微笑む。

「鉄パイプにジャム?」

「い!?」

 彩斗の言葉に宇佐美はその場で土下座する。

「たく、虎丸に燃料入れたのか?」

「はい、彩斗さんの特注弾待ちです!!」

 宇佐美が敬礼しながら答える。

「なら行くぞ」

 彩斗は鍵を回しながら宇佐美を促し外に出ると事務所一階の車庫のシャッターの前に立ち。そのすぐ横の扉の鍵を開けると目の前に巨大な砲身にキャタピラーの着いた鉄の塊が現れる。

「まさかこいつを使う日が来ようとはな」

 彩斗は若干呆れながら呟く。

「戦車ですもんね……普通使いませんし持ってませんよ」

 彩斗達は戦車に弾丸詰めそのまま二階へ上がって行った。










 その夜、美咲市中心部のビルの上に純白のユニコーンが降り立ったことをまだ誰も知る由もなかった。










つづく

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