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本日は晴天こちら姫風工務店  作者: アルファルド
1章ユニコーンと姫君の涙
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第四話

どうも今回はプロローグの続きが語られます

 焦げ付いた大地と焼け焦げた匂いが辺りに漂う。

 人間であれば一瞬で消え去るほどの破壊の閃光が起こした現象のなかでは一切の生物の生存は許されない。

 そう普通なら生存は許されない。

 だがその死の閃光の中一人の人間はよろけながも立っている。

 姫風彩斗である。

 彼はユニコーンの閃光の中生き抜いたのだ。

「ち、死ぬかと思ったぞ」

 だが実際彩斗は死の危機に直面した。【戦人フラガの短剣】もなくユニコーンランスをあの状況でどうやって防ぎきったのか。

 仮にもし直撃を受けていたのならば生存は許されない。

 ならばなぜ彩斗は生きているのか、答えは簡単である。ユニコーンランスは彩斗に直撃していなかったのだ。

 彩斗が決死の覚悟で引き抜いた漆黒のハンドガンはただのハンドガンではない。

 魔装【フリッグレプリカ】かのソロモン機関の封印指定魔銃【フリッグバレル】のレプリカ。

 その銃弾に当たりし存在はの指向性を変更される。

 彩斗の放った銃弾によりユニコーンランスは指向性を直前で変更されていた、彩斗を殺す為の一撃を殺せない一撃に変更したのだ。

 だがあくまでもレプリカであるため指向性の変更に難がある。威力を減殺しきれず地面に直撃した。

爆風と発生する熱を無効化しきれず彩斗自身のダメージは深い。

 よく見ると彩斗の身体は所々切り傷があり羽織っていたコートも左側の袖口が破れ地肌が露出している。

 右手にはバレルが砕けマガジンがグリップにヒビが入った銃が握られていた。彩斗は肩で息をしており。ユニコーンを見据えている。

(このままじゃまずい)

 彩斗が自身の身の内の魔力を高める。

「拘束者、因果の鎖、咎人を縛り付けろ」

 ユニコーンの足元から深紅の鎖が現れユニコーンを拘束しようと襲いかかり絡みつくとユニコーンの角が光始める。

(悪いが動きを縛らせてもらう)

 束縛者、封魔の鎖、罪人を締め上げろ」

 今度は青い鎖がユニコーンを絡み付き縛りつける。

 【連続詠唱】である同系統の魔法を連続で重ねてかけることで強度を補う。高等スペル。

「罪深き者、裁きの支柱、その罪を悔い改めよ」 続いてユニコーンの周りを10本の白い柱が囲む。

 彩斗がこれで終わりとばかりに手を叩く。

「裁きを受けし者、貫かれし心臓、裁かれた罪人よ罪に潰れよ」

 更にユニコーンを白い細い剣のような物が貫くとユニコーンが鮮血を撒き散らしながらうめき声をあげるとユニコーンが光りだす。

 ユニコーンの周りに強力な魔力の歪みが発生しそのままユニコーンは驚くべき行動に出る。

 そのまま支柱ごと彩斗に突撃してきたのだ。先程の彩斗の詠唱は封印魔法の【連続詠唱】の4つ重ねたものである。縛る力が単純に四倍になった封印魔法をユニコーンは振り切り加速を初めたのだ。

 ユニコーンには彩斗の封印魔法はまるで効果が無いと言うことである。

「まずい!!」

 これは予想外である。流石にユニコーンといえど封印魔法を4つ受けてなおも突撃を止めない。

(何かないか・・・・・・少しズラせれば)

 彩斗は咄嗟に先程燃えていた箱を持ち上げユニコーンに投げつける。

 ユニコーンの角に当たり、半分炭化した箱は粉々に砕け中から紫色の綺麗な石が出る。

 石にユニコーンの角に当たるが砕けることなく火花を散らしながらユニコーンの角が石の表面を滑るようにズレるがユニコーンの加速は止まらない。

(間に合うか?)

 彩斗が自身の魔力を高める。

「穿つ者・・・・・・」  彩斗の詠唱に割り込むように彩斗に衝撃が走り、彩斗は空に打ち上げられる。「う・・・・・・!」

 強烈な痛みと激しい嘔吐感から彩斗は血を口から吹き出すと今度は地面に叩き付けられ木々に身体をぶつけながら大地を跳ねる。

「う・・・・・・」

 彩斗が明らかな過呼吸で木々に身体を預ける。

 彩斗が自分の身体を見ようと視線を下ろすとそこには肋のあたりが抉りとられた自分の身体が映る。「やべえな・・・・・・」

 死を感じる。死が近づいてくる。

(とにかく逃げないと)

 彩斗が右手に力を入れようとすると身体が前に倒れる。

「こっちもか・・・・・・」

 右手があるべき場所に右手がないのだ。

「これは流石に死ぬかもな」

 彩斗は死ぬ可能性に対して落ち着いている。

 あの日魔法使いに助けられた命。

 仲間達を諦めた命。

救うと誓った少女を守れなかった命。

「は、下らない」

 思えば後悔ばかりの命、ならば。

 彩斗は目を閉じ意識を手放した。










「私か? 私は魔法使いじゃ」

 雪の降るイギリスの道で少年が出会った少女は自分を魔法使いと名乗った。

「魔法使い・・・・・・」 少年の顔が怒りに歪むと少年を縛りつける鎖がひび割れ砕ける。

 少年が少女に飛びかかる。

「なんじゃ、発情期かの〜」

 いきなり飛びかかる少年を少女は浮遊して避けると笑顔で少年を見る。

「世界の剣、蒼天の地より遣われし使徒」

 少年の身体から黒い影が溢れる。

「なんじゃと!!」

 少女は少年の詠唱を聞くとあわてて少女が帽子をとり少年に向かい加速して体当たりしてくる。

「ぐぁ!!」

 少年は少女の加速した体当たりに少年はバランスを崩し雪の中に沈む。少女が少年の胸ぐらを掴む。

「お前、なんでその詠唱を知っておる。それが何を意味するかわかっとるのか!!」

 少女は少年を揺らす。そう少女はこの詠唱を知っていた。

「魔法使いに話すことなんてねぇ!!」 

 少年は瞳孔を開き少女を睨み付ける。

 少女は呆れるがここで空に向かい火柱が立つ。

「あれ、町の方だ、退け!!」

 少年は火柱の立った方に向かい走る。

 森を駆け、土を踏みしめ少年は走った。

 遠くで少女の制止の声が聞こえるがそんなもの関係無いとばかりに走る。

 やがて町にたどり着き少年は驚愕する。街が丸ごと一つ燃えているのだ。

「嘘だろ・・・・・・」

 少年は地面を叩く。悔しげにただ地面を叩く。

「探さなきゃ」

 少年はそう呟き走りだすとまっすぐ公園に向かう。現在自分たちが住んでいる場所だ。そして少年はたどり着いた。

公園で探し人を見つけるがそこにはもう一人居たのだ少女を抱えた男がだ。

「珠理を離せよ!!」

 少年が叫ぶと少女を抱えた男が少年の方を向く。その身体は筋肉質な銀髪に深紅の瞳。一目でただ者ではない事がわかる存在感をかもし出していた。

 純粋な恐怖、ただ恐怖を覚え少年の足は震えだす。

「なんだ、まだ生きている人間が居たのか」

 男は手を前に出すと手のひらに炎が形成され逆巻く。

「消えろ」

 男は少年に向かいその炎を放出する。

 少年にとっての絶対的な力、死刑宣告、少年の全てを焼き尽くす炎が少年に迫る。

「それはさせんよ、ローグの炎の魔法使いよ」

 そう誰かが呟いた。

 少年を炎が焼き尽くすことはなかった。なぜならば光が少年を守っていたのだ。

「やれやれ、あわてて来てみれば危機一髪じゃな」

 少年の後ろから魔法使いの格好をした少女が呆れながら現れる。

「悪いがその子を置いて此処から消えてくれんかの、今ならまだそれで許そう」

 少女が笑いながら少年の前にたち目の前の男に言い放つ。

「貴様何者だ、俺の炎を貴様!!」

 男が逆上し先ほどよりも巨体な炎を手のひらに形成し放つ。

「まったく人の話を聞かん男じゃの」

 少女が呟き炎を見つめると少女達に当たる前に爆発する。

「無駄じゃよ、御主ごときでは私には傷をつけることは叶わんよ」

 少女はニヤけると男の纏う空気が変わる。

「不愉快だ、不愉快だ、不愉快だ、なぜ生存している貴様らのような脆弱な存在が生きているな!!」

 手に持っている少女を投げ捨てると男は両手で炎を形成し始める。

「話にならんの」

 炎が形成段階で男の手から消えると男の表情がかわる。

「貴様何者だ・・・・・・」

 男の纏う空気が冷え、先程とはうって変わり冷静に聞く。

「私か、私かは魔法使いじゃよ。ただの魔法使いじゃ」

「なるほど、貴方が噂に聞くウィザードか」

 男は冷静さを取り戻しながら質問すると少女がニヤリと笑う。

「いかにも、私がウィザードじゃよ」

 少女は自らの通り名をニヤけながら名乗る。

「それで、ウィザードともあろうお方がこのようなごみ溜めになんのご用かな」

 男は警戒を解かずに少女を見据える。

「用という用はないのぉ。じゃがここは大人しく消えておくことをオススメするかの」

 少女が笑みを崩し男を睨み付ける。

「仕方ない、ウィザードが相手では分が悪すぎる、ここは黙って消えましょう・・・・・・とでも言うか!!」

 男は珠理と呼ばれた少女を抱えると片手で炎を放つと魔法使いの少女に向かう。

「学習能力がないのぉ」

 少女は呆れながらも炎を砕く。

「貴方には効かないのはわかってますよ、だが後ろのガキはどうかな!!」

 男は既に二発目の炎を放ち少年に近づいている。魔法使いの少女は消すのが間に合わないと見ると少年を抱きしめ自らの身体を盾にした。

「ぐ・・・・・・」

 炎が少女に直撃し、少女の背中を焼く。

「おいあんたなにやってんだよ」

 少年はいきなり少女に抱きしめられそれどころか守られている意味がわからなくなり叫ぶ。

「騒ぐでない、私が守ってやるからの?」

 少女は慈愛に満ちた笑みを浮かべると炎を放った男の方を向く。既に男は珠理を連れて逃げた後であった。

「狙いは元からあの子のようじゃの」

 少女自分の腕の中の少年が泣き出す。

「珠理・・・・・・守るって言ったのに・・・・・・俺が守らなきゃいけないのに」

 少年は少女の胸で泣きじゃくる。その涙が悔しさからか情けなさからかは誰にもわからない。

「私は上月一子じゃ。お主名前は?」

「赤瀬彩斗」










 彩斗が口から血を吹き出す。自分の中の炎の記憶に目を覚ます。

「ち、またか!!」

 彩斗は辺りを見回すとそこは見慣れた教会の一室であった。彩斗はベッドに寝かされていた。彩斗は自身の状態を確認するとそこには消えた筈の右手が確かに存在しており、肋を確認すると包帯を巻かれていたがしっかりと肉がついた普通の肋であった。

「あら、起きたのね」

 彩斗は声をかけられ声のするほうを見れば修道服着た彩斗と同じくらいの歳の女性が立っていた。

「珠理・・・・・・」

「無茶するわね、幻想種相手にあの程度の装備で挑むなんて自殺と変わらないわよ」

 珠理は呆れながら彩斗の傍に座る。

「でも彩斗が助かって良かったわ」

 珠理が笑顔で彩斗に告げる。

「悪い珠理少し眠る」

 彩斗はその笑顔に顔を赤くしそのまま布団に潜る。

「えぇ眠いなら寝ればいいわ、ここには私しか居ないのだから」

 珠理が彩斗の髪を撫で彩斗は眠りについた。










続く

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