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本日は晴天こちら姫風工務店  作者: アルファルド
1章ユニコーンと姫君の涙
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第二話

 ユニコーン捜索の為に真昼のビル群の道を姫風彩斗が歩く。服装は黒いコートを纏い、裏路地を入りごみ捨て場にたどり着くと片膝を着く。

「此処でいいかねぇ」

 彩斗はポケットからチョークを取りだす。

「神の目、観測者、主の恩恵、探し人を訪ねよ」

 彩斗はチョークで文字を書きながら呟くと文字が光を放ち浮き上がる。

「形無き者よ、因果の理、この者共に翼を与えよ」

 浮かび上がった文字が集まり光の鳥となる。

「さぁ、探せ」

 彩斗が呟くと光の鳥が飛びやがり消える。

「さて、帰るか」

「待ってください」

 後ろを振り返ると学生服を着た少年が彩斗を睨んでいる。

「なにか用かな、少年」

「今の魔法ですよね、何をしてたんですか」

 少年がさらに睨み付けてくる。

「答える必要はないだろう?」

「仕方ないですね、魔装解放・・・・・・」

 少年が呟くと少年が彩斗の視界から消えると彩斗の身体が宙を舞う。

「は!?」

 先程の少年が右腕に鎧のような物、いやガントレットを装備し佇んでいる。彩斗は壁を蹴ると宙返りしながらアスファルトに着地する。

「驚いたな。少年、マホウツカイか?」

「ん!?」

 彩斗の言葉に少年が焦る。たった一瞬ただ一撃彩斗に攻撃しただけで彩斗は少年がマホウツカイであることを看破したのだ。

「なぜわかったんですか?」

「あぁ、簡単だよ。君の魔力だよ、君の移動した道筋に魔力の残子が残っているんだ、魔術兵装じゃこんな現象は起こらない。それはマホウだけの起こす現象だその武器事態が魔力を発生させるマホウだけだ」

 少年の周りで何かが弾ける。

「ん!?」

 彩斗が懐からナイフを取りだし構える。

「そんなナイフでどう戦う気ですか?」

「ただのナイフじゃないさ」

 彩斗がナイフを振ると青い閃光が走る。

「なに!?」

 少年が横に跳ぶと少年の足元を細い切り込みが入る。

「戦人フラガって知ってるか?」

 少年の周りで再び何かが弾けるが一度目よりも音の回数が多く鳴る。

「何かあるな、少年」 音に不信感を感じた彩斗が前方に走り出す。

「く!?」

 少年が鋭い蹴りを彩斗に放つが彩斗は無駄の無いステップで回避する。

「おぉ、速いな、そして鋭いが!」

 少年の蹴りを回避した彩斗が特に速くもない蹴りを放とうとすると少年は後ろに下がろうとすると腹に拳を叩きこみ少年が少しよろける。

「それだけだよ少年、速かろうが鋭かろうとそれはただの蹴りだよ少年」

「く・・・・・・」

 少年はどうやらかなり重いのを貰ったようでかなりよろめいている。

「まるで喧嘩ですね、貴方の戦い方は」

 確かに彩斗は特別な戦い方はしていない。ただフェイントをかけ急所を殴り付けただけのまるで子供の喧嘩の様な戦い方だ。

「喧嘩か、だろうな、君の蹴りくらい対応できなければ生きていけないからな」

「ならば、速度を上げさせてもらいます!」

 少年の周りで閃光が弾ける。先ほどの音が断続的に鳴り響く。やがて少年の弾ける物の正体が姿を表す。電気である。少年は身体に電気を帯びているのである。

「なるほど電気か」

「はい、では行きます」

 少年が消えると彩斗の上に現れるとその拳を振り降ろすと彩斗はニヤける。

「少年、速くしようが関係ないんだよ」

 再びナイフが青く光を帯び、閃光が少年に放たれると少年は身体を回転させ、回避するが無理な姿勢からの回転でアスファルトに転げ落ちる。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 少年がアスファルトから立ち上がり肩で息をする。

「あれを避けるか、普通」

 彩斗は微笑しながらタバコを口にくわえ、火をつける。

「あとな、少年、魔法使いを相手に休んでていいのか?」

「しまった!!」

 少年が彩斗に向かって走るが彩斗は詠唱始める。

「魔獣の瞳、因果の理、道化師よ踊り狂え」

 彩斗の前方に黒い球体が20個ほど出現すると少年が足でブレーキをかけるがその一瞬を彩斗は見逃さない。全ての球体が回転を始めると少年に向かい閃光を放つ。

「ち、避けきれないか」

 少年が目を閉じると、少年の周りが再び電気を帯びる。だが先程よりも激しく、そして少年の身体を金色の閃光が包み込む。

「ライトニングシフト!」

 少年が叫ぶと少年が閃光となり、人間の速度を越えた速度で後ろに下がり、先程まで少年の居たアスファルトを黒い閃光が抉る。

「少年、休んでる暇はないぞ」

 黒い球体の回転が止まっておらず、再び少年に向かい黒い閃光が放たれる。

「く、ライトニングシフト!!」

 少年が叫び再び閃光となり駆ける。彩斗はタバコを指揮棒の様に振ると球体の角度が変わる。彩斗は単体攻撃から範囲攻撃に切り替えてきたのだ。少年は休む暇なく閃光となり駆け続ける。否、閃光とならなければ避けることができないのだ。

「さて、少年、そんなに使って大丈夫かな、それと一直線ではダメだぞ!!」

 彩斗が加速すると一瞬消える。閃光の上に現れ閃光に蹴りを叩き込むと少年が地面に叩きつけられる。

「ぐ、ライトニングシフト!!」

 少年は急ぎその場を離れると肩で息をする。

「なんなんだ・・・・・・ライトニングシフトについてくるなんて信じられない・・・・・・」

「魔力装填を知らないのか?」

 キョトンとした顔で彩斗は少年に訪ねる。

「魔力装填って言うのはルーン魔法の一種だよ、一時的に魔力を使って肉体能力を底上げするものさ」

「なんで教える」

 少年の疑問はとても正しいことである。敵にその理論を教えることで彼方が得るメリットは無く、むしろデメリットしか存在しない。だからこそわからない。なぜ教えるのかが。

「それはなぁ少年と俺の間にはそれを使っても埋まらない実力差があるからだよ」

 彩斗は不吉な笑みを浮かべながら言い放ち少年は目を見開き構える。少年の周りに先程とは比べ物にならない雷が弾ける。

「実力差ですか・・・・・・。ならば避けきれますか、俺の必殺の一撃を!!」

 少年の右手に雷が集まり始める。雷は一つの形に集まりそして収束し一本の刃を作り出す、否その長さは槍となる。

「これが俺の全力です、これでもまだ差はありますか!」

 少年の叫びに対し彩斗が指を鳴らすと辺りに浮く黒い球体が消える。

「何のつもりですか?」

「必要ないものを消しただけだよ、その槍を破るのにはこれで十分だよ」

 彩斗がナイフを前に構える。

「・・・・・・後悔しますよ、では行きます!!」

 雷の槍が一気に発電を始める。

「ライトニングランス!!」

 少年の咆哮と共に少年における必殺の雷撃が放たれる。およそ人間ならば避けることも弾くこともましてや防ぐことすらできない一撃をだがそれと同時に彩斗も動く。

「カウンターフラッガ」

 ナイフより青く光る閃光が放たれ、雷撃の槍に向かい放たれる。雷撃の槍に比べればか細い閃光だがそれが激突したとき、予想外の現象が起きる。青く光る閃光が雷撃の槍を拮抗する事なく易々と切り裂きその閃光が少年に向かい少年の足元に突き刺さる。

「何をしたんですか」

「戦人フラガの短刀だよ」

 戦人フラガ、魔法使いなら誰でも知っている魔法使い。あらやる魔法を貫く魔法を使用すると言われている存在。

「戦人フラガの短刀は普通に使うと魔力で刃を伸ばすだけだがな、あるたった一つの能力がある」

「能力?」

 彩斗がナイフをコートの中にナイフを仕舞いながら答える。

「必殺殺しさ、その名の通り、必殺技を殺す能力だよ、それが相手にとっての必殺であるのなら例外なく打ち砕き、滅ぼす戦人の閃光だ。君が必殺を誓い放つ一撃にはなんの意味もないと言うことだよ」

 少年が後ろに後ずさる。少年の必殺の一撃は完全に無効にされている。

「それでまだやるかな、少年」

 少年が構える。必殺の一撃は無効され、圧倒的なまでの経験差を見せられてなお、少年の目は死んでいない。

「・・・・・・折れないか、少年よ、俺の負けだ」

 彩斗が手を上げ降参のポーズを取る。

「何故ですか・・・・・・何故貴方の負けなんですか!!」

 少年は納得がいかないとばかりに叫ぶ。

「少年、お前は諦めて無いだろ、確かに俺は少年を殺せる。だができるとしたいかは別だ、俺は殺しはしたくない、だから俺が少年に勝つには少年に負けを認めさせるしか無い、だが少年は諦めない、ならば俺は勝てない」

 彩斗が呆れながら説明すると足で地面を踏むと何かが砕ける。

「結界!? いつの間に」

「お前がマホウを展開した時からだが気づいてなかったのか?」

 彩斗はおどけるが少年は全く気づくことができなかったのだ。

「貴方はいったい」

「俺は姫風彩斗、しがない何でも屋だ」

 彩斗が自己紹介を始めると少年がキョトンとしている。

「さて少年は何者だ、ただでさえマホウツカイは数が少ない、此処に居てなおかつ魔法使いと見るやいきなり問答無用、それなりに理由があるのだろう」

「最近夜になると出没しているいう通り魔を探しています」

 少年の口から出たのはユニコーンとなんらかかわり合いのない事だった。彩斗は内心ユニコーンの情報を知らないかと思ったが少年は無関係の様であった。

「なるほど、此方の仕事とは関係無いか・・・・・・まぁ良い、少年、君はもう家に帰りなさい」

 彩斗は少年の肩に手を置くと笑顔で話す。

「なんなんですか、大変なら手伝います!!」

 少年はまっすぐに言い放つ。

「邪魔だよ、少年。死にたいならおすすめしよう」

 少年に彩斗は肩を叩きながら微笑む。

「君はまだ若いのだから精進したまえ少年」

 彩斗は路地裏からそのまま出ていく。










美咲市の郊外に黒服の一団が歩いている。手には布で巻かれた何かを何人かで持っている。

「隊長、本当にユニコーンなんて居るんですか」

「知らん、上は居ると信じてるらしいな、まぁこんな極東になんて来ないだろう」

 そう笑い合っていると辺りが霧に包まれ始め、光る何かが黒服の一団に突撃すると爆発が起きる。そして黒服の一団との連絡は途絶える。










つづく

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