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本日は晴天こちら姫風工務店  作者: アルファルド
1章ユニコーンと姫君の涙
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第九話

 あたり一面が青に染まっている。

「ここは……」

 青い世界でアンは目覚める。

「私は何を……」

「おや、お目覚めですか?」

 アンの上の方から丁寧な言葉が聞こえる。

「いや〜流石ですよ、おかげで計画は順調です。後はユニコーンを待つばかりです」

 声は心底楽しそうに語るとアンはその声に不快感を覚える。

「貴方は何者よ」

「全てを手に入れる者であり、全てを知る者だよ、ククククク」










 暗がりの中で彩斗が眼を覚ます。

「ぐ、なんなんだよ。」

 彩斗の右目が激痛を訴え始め彩斗はベットから転がり落ちる。

「珠理のやつ全然眼帯きかないじゃねぇか」

 彩斗は眼帯をもらったときのことを思い出す。







「この眼帯はあなたの魔眼をある程度抑えるものよ」

 唐突に珠理が彩斗に黒い眼帯を渡してくる。

「ある程度ってなんだよ。完全じゃないのか?」

「ええ、無理ね、私も正直その魔眼はなんなのか理解してない上にそんな術式見たこともないわ」

 珠理は手を挙げお手上げを表すと彩斗はがっくりと立ち尽くす。

「一子さんなら何かわかるかもしれないわ」

「師匠かぁ、連絡取れないからな‥‥‥」

 彩斗はかつて自分を救い、魔法を教えてくれた人を思い浮かべる。

「師匠の足取りは正直誰もわからないからな」

 そういえば色々迷惑もかけた。

「あとは黒狼についてだけど、なぜ私たちを襲ったのかは不明」

「魔導六祖黒狼か」










 唐突に爆発音と共に結界が張られる。

「結界!!」

「彩斗さん」

 ドアを乱暴に開けた宇佐美が彩斗の部屋に迷彩服を着て入ってくる。

「宇佐美なにが起きた」

 慌てて入ってきた宇佐美に彩斗がコートに着替えながら聞く。

「ユニコーンです、いきなり街の真ん中に降りてきたです!!」

 宇佐美は軽く混乱しながら言うと彩斗が呆れながら部屋の隅に置かれたアンチマテリアルライフルをバラす。

「それでこの結界はなんだ?」

「分からないです、いきなり張られて宇佐美にも分からないです」

宇佐美はオロオロしながら目に涙を溜めていると宇佐美の頭に彩斗の手が置かれ撫でられる。

「彩斗さん、髪クチャクチャになっちゃうです」

 宇佐美が恥ずかしそうに照れる。

「行くぞ、あのクソ馬に見せてやるぞ人間の力ってやつを」

 彩斗は荷物をまとめるとそのまま玄関に向かい歩き始めその後ろを宇佐美がついて行く。










 黒いドレスを纏った女がユニコーンをビルの屋上から見ている。女は長身で髪は長いブロンドの髪だが顔には黒いレースが掛かっており表情は読み取れない。

「とりあえず結界張ったけどどうしようかしら、私が倒そうかしら、そうしたら誉めてくれるかしら」

 女はいきなり頭を押さえ始めるとぼそぼそと独り言を呟く。

「彩斗、誉めてくれるわ、そうよ、昔みたいに撫でてくれる、フフフフ、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗、彩斗」

 女は楽しそうに笑い始めるとその視線に黒いコートの男が写る。

「彩斗♪」

 女がビルから飛び降りる。










 彩斗が街のビル群のある通りを走りながら交差点を突っ切る。

「ユニコーンはどこだ」

 彩斗の息が上がりながら辺りを見渡すと空から黒いドレスを着た女が落ちて来る。地面に何か線のようなものが光る。彩斗が肩に掛けていたアサルトライフルを構える。

「お前、誰だ?」

「彩斗♪」

 彩斗がアサルトライフルのマガジンを切り替え女に銃弾を撃ち込むと女の正面に光る線が走ると銃弾が制止しポロポロとアスファルトの上に落ちる。

「何だと!?」

 彩斗が腰からナイフを抜くと女に走る。

「彩斗♪私の彩斗」

 彩斗が女にナイフを振るが彩斗の手元に光る線が走ると彩斗は奇妙な脱力感に襲われる。

「何だ、この感覚」

 彩斗は奇妙な感覚に違和感を覚え、女に蹴りを入れようとする。彩斗の足が青く光を放つ。魔力装填である。自身の魔力を足に籠め女を蹴り飛ばす。だが彩斗の足に再び光る線が走り脱力感に襲われる。

「魔力無効、いやアサルトの弾には籠もっていない、ならば!」

 彩斗が詠唱を始めようと距離をとるがいきなり何かに引き寄せられ近くの植木に叩きつけられる。

 彩斗はアスファルトを転がりながら筒のような物を懐から投げると筒が破裂し激しい閃光がほとばしり女性の視界覆い尽くし彩斗が腕から小型の投げナイフ二本取り出し一本を女性に投げつけもう一本を自らの後ろに投げる。

「無駄よ」

 彩斗の女性に投げたナイフの周りに線が走りナイフが力なく止まる。

「解!!」

 彩斗が言葉を発すると彩斗が消えその場所に先ほど投げたナイフが現れ後ろのナイフの位置に彩斗が現れ彩斗が背を向け走っている。

「逃がさないわよ」

 女性は焦って指を動かすとビルが倒壊し女性の視界から彩斗を隠す。











 宇佐美はショッピングモールの屋上に立っている。

「彩斗さんは大丈夫でしょうか、宇佐美は心配なのです」

 宇佐美は首に不格好にかかっている双眼鏡を覗くと商店街を歩く男を発見する。

「この結界の中を歩く?」

 男は黒いスーツに黒い帽子を被り何か大きなケースを引きずっている。

「ケース?」

 男が不意に横を向き双眼鏡の宇佐美と目が合う。

「え?」

 宇佐美は男と目が合うと自身の心臓に刃物を突きつけられる感覚に襲われる。

「く、幻覚」

 宇佐美の目の赤がより一層濃くなり、宇佐美の纏う空気が変わる。

「愚かですね、人間、宇佐美に幻術は利かないというのに、少しお仕置きが必要ですかね」

 宇佐美置いてあった大鎌に手を伸ばすが耳につけたインカムがノイズ混じりに音を拾う。

「宇佐美聞こえるか?」

 宇佐美の目が元に戻る。

「はい、宇佐美にはしっかりばっちりきっかり聞こえてますよ!!」

 宇佐美は元気に答えると彩斗が沈黙する。

「彩斗さん、どうしたですか?」

「インカムの音量上げすぎて耳がな」

 彩斗の冗談混じりな会話を投げかける。

「彩斗さん、こっちの準備は終わってます、いつでも行けます」

 宇佐美が真面目な声で返すと彩斗は一言だけ答える。

「わかった、帰ってお前の飯でも食いながら酒の肴にしよう」

 彩斗がそう言うとインカムを切る。

「絶対帰ってきてくださいね」

 宇佐美は一人結界で赤くなった空を見ていた。















 彩斗はビルの屋上を目指し非常階段を一人上がっている。

「さてもう屋上か、あのおっさん本当に大丈夫何だろうな」

 彩斗はトランクの中を覗き込みため息をつくと屋上にたどり着き屋上の中心に立つとアスファルトに手を置く。

「まぁあとは出たとこ勝負だ」

 足元が幾何学模様に光だし光の帯を出し始める。

「まぁ来るわな~」

 彩斗の後ろには優雅にそして神秘的にユニコーンが佇んでいた。

「さてじゃあ始めようか!!」










続く

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