プロローグ
イギリスの街外れの貧困街に雪が降る。
「さみぃ」
貧困街の道を少年が寒そうに呟く。少年の服装は煤で汚れた茶色いコートを羽織っており寒そうに震えている。
「それにしても今日の戦利品はなかなか良いぜ」
少年はポケットから高そうな財布を取りだし中身を見てニヤける。
「にしても、さっきのガキ結構持ってやがったな、格好は変だったが」
少年は財布をポケットにしまい、家路を急ぐ。
「ちょっと待ってくれんかの」
少年は声をかけられ後ろを振り向くと、先ほどの少女が立っていた。少女の服装はおとぎ話に出てくる魔法使いのような格好をしている。
「なに」
「財布、返してくれんかの?」
「ち!」
少年は後ろに踵を返して逃げようとする。
「魔城の鎖、拘束者、咎人を縛り付けよ」
少女が呟くと地面から深紅の鎖が現れ少年に向かうと瞬く間に少年を拘束してしまう。
「人の財布盗っていて逃げるとはかなり図々しいぞ、おぬし」
少女はニヤニヤしながら少年のポケットから財布を取りだしニヤける。
「うむ、まだ手をつけてないようじゃな」
「テメェ返せ!」
少年はみのむしになりながら叫ぶと少女がため息をつく。
「返せもなにも私のサイフじゃろうが」
「つか離せ、テメェなに者だよ」
少年はじたばたともがきながら騒ぐ。
「私か?私は魔法使いじゃ」