KIMOTI〜後悔の味〜
主人公藤崎悠馬は退屈な日々を過ごしていた。
そんな彼の楽しみはクラス委員の篠原咲希と話すことだった。
だがそんな悠馬は咲希に強く当たってしまう
予想できない展開があなたを待っています
「悠馬! 起きなさい!」
聞き慣れた声が俺、藤崎悠馬を叩き起こす。母さんの声だ。
「はいはい。ああ、また何もない一日が始まるのか」
重い体を精一杯起こし、リビングへと向かう。
「おはよう、母さん」
そう言ってリビングの扉を開けた。
そこにはいつもと変わらない朝の光景が広がっていた。
「早くご飯食べなさい。遅刻するわよ」
俺にとってはこの会話すらも当たり前のように思えてしまう。そんなことを考えながら時計を見た。
「げっ、もう7時じゃん!」
まずい。僕は都内の高校に通っている。登校にかかる時間は1時間くらいだろうか。8時15分までには学校に着かなければ遅刻となってしまう。準備もあるし到底朝ごはんを食べる時間などない。
「俺、朝食いらないわ。 というかなんでもっと早く起こしてくれなかったわけ?」
「あのねえお母さんだって大変なの! そろそろ一人で起きなさい!」
「は〜い」
そしてリビングをそのまま後にし、身支度をして何も言わずに家から出た。
そのあと電車に乗り遅れそうだったので、少し急いで最寄駅へと向かった。
なんとか社会人でごった返す電車に乗り、なんとかギリギリ遅刻せずに学校に着くことができた。
「今日もまたギリギリね!」
「げっ」
教室に入った瞬間、クラス委員、篠原咲希が声をかけてきた。
彼女は中学時代からの付き合いだ。彼女は勉強が全然できないが、スポーツは天才レベルでバドミントンの全国大会にも出場している。他はほぼ知らない。少しミステリアスな感じだ。俺はそんな咲希に惚れている。当たり前の生活の中で当たり前のこの咲希との会話が俺の毎日の唯一の楽しみだ。
「悪いなギリギリで」
「別に悪いとは言ってないじゃない」
「あの言い方は人を責めるって感じだろ」
「あら、ごめんなさいね」
つい俺は咲希に強く当たってしまう。少し嫌われないかとかも思う。
でも咲希は楽しそうに話してくれる。きっとこれから俺にも漫画みたいな展開があるんだろうなあと柄にもなく少し期待をしていた。
そんなことを考えながらまたいつもの授業が始まった。
4限目の授業は体育だ。
「ああ、お腹減ったし暑い中ハードルなんて最悪だ、、」
その後アップをしてハードルを何度か走った後のことだ。
グワんと視界が揺らぐ。足がうまく動かない。
そんな時、自分が走る番が来た。体調は最悪だ。でも、今から体調不良を伝えてズルだと他の人に思われるのも嫌だ。
「走るか、、」
そんな中走り出し、なんとか一つのハードルを超え2個目のハードルに向かってジャンプしようとした時、
「ドサッ!!」
「おい! あいつ倒れたぞ!」
「やばい! ハードルが、、」
「危ない!」
「ああ最悪、、今日帰ったら母さんにこっぴどく叱られるだろうな」
そんな悠長なことを考えていた。そんな時俺の頭に大きな衝撃が走り俺は意識を失ってしまった。・・・・・・
目が覚めた時に見えたのは知らない部屋と体に繋がる無数の管だった。
「先生! 目を覚ましました!」
誰だろうか。女性の声がした瞬間は咲希じゃないかと少し期待したが現実は違かった。
そんなことを考えていたが、眠気が襲ってきたので寝ることにした。
その後、再び目を覚まし一日がたった。その一日で色々なことを聞いた。倒れた時にハードルの角が頭にぶち当たったらしい。それで俺は実に2週間と3日の間眠っていたらしい。幸い後遺症はなかった。母さんは泣きながら俺に抱きついてきた。そして母さんは俺にもう一つ教えてくれた。
「咲希ちゃんがね、、毎日お見舞いに来てくれてたのよ。」
それを聞いた瞬間胸がドキッと跳ねた。
咲希が会いに来てくれたそれだけで少し下向いていた心が上向きになった気がした。
その後、無事退院し学校に通うことになった。
お礼を言わなきゃなと思い学校に向かった。ただ、それを口実に咲希と話せることが楽しみだった。
楽しみだったんだ。
なんで。なんで。
俺にしては珍しく早く学校についた。先に褒められるかなと淡い期待をした。俺がクラスについた時、咲希の声はしなかった。
「おい、咲希はどこにいるんだ?」
少し焦りながらもクラスメイトに聞いてみた。
「咲希ならちょうど昨日転校したぞ。 お前に別れの挨拶を言いたかったって言ってたぞ、、」
は? 頭が追いつかない。転校? あの咲希が?
「そ、、うか」
冷静を装いつつ返事をする。
そのあと、授業は何も頭に入ってこなかった。
「ただいま」
まだ頭の整理がつかない。
「悠馬! 今日あんたのクラスメイトのお母さんに聞いたんだけど咲希ちゃん転校したの!?」
ああうるさいな。そうだよ。咲希は、俺が恋した人はちゃんと話すこともなくどこかへ行ってしまった。
「ああ う、うるさいやつがいなくなってスッキリしたよ、」
思ってもないことが口から出る。そうだ、俺は咲希にだってそうだった。
自分から話しかけに行くことは愚か、素直に話なんてしたことがなかった。
もちろん彼女の連絡先なんて知らない。彼女は本当にプライベートに関しては不明だった。
そんな中でもクラス委員をやっていけたのは彼女のカリスマ性と言えるだろう。
一度俺は咲希に連絡先を聞こうとしたこともあった。
でも、言えなかった。俺は怖かった。それで断られることが怖かった。
頭が悪いことばっかり考える
「ごめん、母さん、ちょっと一人にさせて、、」
母さんはおそらく俺の顔を見て察してくれたのだろう。それ以上は何も深追いされなかった。
自室についた後、自分を責め続けた。もっと正直に生きてれば。思えばあの時きちんと自分で起きていれば。朝食を食べていれば。そもそも咲希に正直に気持ちを伝えていれば・・・・・・
ああ神様お願いですどうか一度だけチャンスをください。次こそは正直に生きます
だから、どうか、、
あの日から1週間が過ぎた。
あれから俺は死んだように毎日を過ごしている。
日々を過ごし、後悔以外何も感じていなかった。
世間の大人たちは言う「正直に生きろ! 後悔するぞ!」と
この言葉を今の俺はその通りだと思う。
でも昔の俺はどうだろう。
そうだ。後悔なんて馬鹿らしいと言うだろう。
ああ、後悔かあ
あの時、もしもとか思っても結局そうしなかったのは俺だ。
後悔ってのは昔の自分の否定だ。
もう否定するのはやめよう。
でも、もし過去に戻れるとしたら、素直に生きたいな、、
作品いかがでしたでしょうか。
後悔とはなにか深いですねえ、、
これから悠馬はどんな人生を送るのでしょう。
あなたも素直になれないことなどないでしょうか。
自分の気持ちを素直に言うのはとても難しいことです。
生き方を決めるのは自分自身です。
後悔とは自己批判でもあります。
もし機会があれば後悔をバネにして成長する話とかもかけたらと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました!