表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想タックル  作者:
3/5

飲ませてはいけない薬

 おはようございます。僕です……そうです。

 ええ、薬を飲んだらこうなったんです。ぼんやりとしていてついうっかりなんですが、机に置いてあったので……。


 で、その薬を飲んでからこんな調子で、今まで頭の中にあった強烈なモヤモヤがスッキリ無くなってしまいました。効果てきめんってやつですね。

 こんな薬があるならどうしていままで僕に飲ませてくれなかったんだろうって一瞬思いましたが、すぐに分かりました。みんなの優しさだったんですね。


 どうしてこんな薬が近くに置かれていたのか、と考えると、謎ですね。いつのまにか僕のベッドの横の机に置いてあって……。

 たぶん、僕に現実を見させるために、誰かが置いたんでしょう。僕を嫌う誰かからの、飲め、ってメッセージだったんです。


 とても不思議な気分です。こんなに頭のなかがハッキリとしているのは生まれて初めてですから。自分が自分じゃないみたいだ。今までの僕はいったい誰だったんだろうってくらい、自分に対する意識が違うんですよ。


 でもしょうがないですよね。自分でもびっくりなんですよ。

 僕ってモンスターだったんですね。人間じゃないんだ。こんなに醜くて、汚くて、臭くて、頭がどうにかなりそうですよ。

 自分のこと人間だと思ってたんです。自認してたんです。おかしいですよね。でも、僕以外のモンスターもきっとそうですよ。自分を人間だと思ってて、なんとなくほかの人間に世話してもらっていて、そこに感謝の気持ちとかは特にないんです。人間社会のなかにいるから、金を稼いだり人に感謝したり愛し合ったり助け合ったりすることができなくても、自分を人間だと勘違いしてしまうんですよ。


 本当に馬鹿ですよね。犬や猫でも自分が人間じゃないことくらいはわかるでしょ、きっと。でも僕はわからなかった。それくらい馬鹿だったんだ……。


 絶望ってのはこういうことだ。気が付いた時には、どうしようもない。

 だんだんと怒りが芽生えてきているんです。僕に薬を飲ませたやつに対して、どうしてこんなことをしてくれたんだ、って。自分がモンスターだと気が付かなければ、こんな思いをすることはなかったのに。


 この薬、いつまで効果続くんですかね。僕が僕でいるうちに、復讐するんです。僕にこんな思いをさせたやつに、痛い目を見せてやらなきゃ。

 罪にはならないから大丈夫ですよ。だって僕はモンスターなんだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ