変化 (2)
いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。
気がつくと、辺りは綺麗な夕焼け色に染まっていた。
目を開け空を見上げる。
何やら周囲でひそひそと話し声が聞こえた。
『起きたよ』
『そうだねえ』
『生きててよかったね』
『俺は初めから死んでないって言ってたじゃないか』
『けんちゃんが最初に脈を確認してたんだから』
僕のことを言っているのか?
目だけ動かし周囲を確認すると、僕のことを覗き込んでいる3人の子供たちと目が合った。
『お兄ちゃん大丈夫?』
目が合ったうちの1人からそう聞かれた。
僕は慌てて起き上がった。
「ああ、大丈夫だよ」
『お兄ちゃん、疲れてる?なんか疲れた顔してるよ』
第三者からパッと見て分かるほど、僕は疲弊した顔をしているのか。
「……そうかもしれないね。多分、すごく疲れてる」
『何かあったの?』
なんの汚れも知らなそうな純粋な瞳で、全員がこちらを見ている。
「うーん、何かあったといえばあったかな。とても、悲しいこと」
こんなに小さい子達相手に、僕は何を言っているのだろう。
何も無いよ、と言えばすぐに済む話なのに。
『悲しいこと?』
「うん。大切な人がもうすぐいなくなっちゃうんだ」
本当に、何を言っているのだろうか。
『そうなんだ。お兄ちゃんはそれが分かっても、毎日頑張ってるんだね。偉い偉い』
その言葉を発した男の子に頭をなでられた。
涙が目尻を伝う感覚があった。
『お兄ちゃん、どこか痛いの?』
涙のせいか、男の子たちが心配そうに僕を見ている。
「違うよ。痛くない。ありがとう。君たちすごいね。ちょっと元気でたよ。ありがとう」
『えへへ。それならよかった。じゃあ僕たち帰らなきゃ!またね、お兄ちゃん!』
嵐のように子供達は去って行った。
子供たちが言った“またね”。
次会う時があるなら、それはいつになるだろう。
あの子たちが大人になった時だろうか。
本人たちにとっては何気ない一言かもしれないけれど、“また”があるなら、まだ頑張らなきゃなと、自然とそう思えた。
とても短いですが、優が前に進むために、ここはとても重要な場面だと個人的に思っています。




