表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/27

強くて、弱い人 (2)




再び長い沈黙が訪れた。


なんと返事をすれば良いのか分からない。


というよりも、急に《もうすぐ死ぬんだ》なんて言われても、その言葉をすぐに呑み込むなんてできるはずもない。



あんなに元気そうに見えるのに、もうすぐ死んでしまうのか?



今、僕の目の前に立っている彼女は華奢で、よく見ると手や足が骨ばっている。


ただそういう体型なのだろうと思っていたが、この華奢さも、実は病気のせいだったのか?



顔を上げると、寂しそうに微笑んでいる麗と目が合った。





『ごめんね、優』




麗は眉毛を八の字にして、申し訳なさそうに謝った。


なぜ麗が謝るのか、意味がわからない。





「……麗は、死ぬことが怖くないの?僕は、僕は麗がいなくなるのが怖い」




回らない思考で、やっとのことで絞り出した言葉がそれだった。


視界がぼやける。


でも今だけは流すまいと、震える唇を噛み締め必死に耐えた。



麗は、うーんと少し考え込んでいた。


そして、静かに言葉を紡ぎ始めた。





『……人はいつか、みんな死ぬ。それは今かもしれないし、明日かもしれない。この世界にいる誰だって、動物だって、虫さえも、今日を無事に過ごせる保証なんてない。ただ、私には皆よりちょっとだけ早い死が、既に見えてるだけ』





まるで生きることを諦めたかのような言葉。


いや、もう諦めているのか。


その言葉はあまりにも残酷な気がした。



僕はその言葉に、どう返したら良いか分からなかった。






『そう、思ってたんだけど、、』





麗が静かに口を開いた。


そう、思ってた?




『やっぱり死ぬのは怖いね。心臓が止まるってどんななんだろうとか考えると、もうなんか震えてきちゃって』




『……だから私は考えないようにしてただけなんだって、気づいちゃったんだよね』




麗は苦笑しながらそう言った。





『自分の死から目を背けて、大丈夫だって、装ってるだけ。呆れるでしょ?散々優には色々言ってきたのに、結局私は逃げてるだけって』




自嘲するように麗は続けた。



呆れてなんかいない。


麗は強い人だって、それに、麗は逃げてなんかいないって、そう伝えたいのに言葉が出てこない。


どうやってこの気持ちを伝えれば、過不足なく麗に伝えられるのかが分からない。


僕は俯いて黙ったままだ。




『ごめんね。急にこんなこと言って。……そろそろ帰ろうか』




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ