表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/27

許すこと、許されること (3)



仕切り直して僕らは途中でお花を買い、誠のお墓へ向かった。



1時間後、誠のお墓がある墓地に到着した。


僕らはバケツに水を汲み、ゆっくりと、誠のお墓の前まで来た。



〈霧矢家之墓〉



そう書かれているのを見て、目を逸らしたくなった。


その文字を見てしまうと、今まで目を背け続けてきた、"誠はもうこの世にはい"という現実に、向き合わなければいけなくなる。


もう、逃げることは出来ないのだと。



僕らは誠のお墓を綺麗に洗い、お花を供えた。


そしてお線香をつけ、お花とお線香の間に手紙を置く。



僕と麗はその場に腰を下ろし、静かに手を合わせ、目を瞑った。


お線香の香りが、鼻をくすぐる。


この香りは嫌いだ。


誠と母さんの葬式を、死に顔を、僕が殺したのだという事実を、思い出してしまうから。




(……遅くなってごめん。お前と会うのも、自分に向き合うのも怖くて、ずっと逃げてた。誠……お前の苦しみに気がつけなくてごめんな。ずっと辛かったのに1人で耐えて、壊れちまったんだよな、きっと。僕が気づいていれば、お前の様子が変だった時に理由を聞いていれば、お前はまだ生きてたかもしれないのに。お前の1番近くにいたのに気づけなかった。僕がお前を見殺しにしたようなものだよな)




合わせている手が震えてくる。


きちんと伝えられるだろうか。


この言葉が、誠に届いてくれるだろうか。




(…………見てたかもしれないけど僕さ、死のうとしたんだ。お前も母さんも死んで、僕が殺したんだって。だから僕も死んで、償おうとした。直接、謝りたかった。……けど、出来なかった。心のどこかで死にたくないって思ってたんだよ。だから、今俺の隣にいる人が、"一緒に死のうかな"って言った時、他人を巻き込みたくないからっていう免罪符を手に入れた俺は、あっさり死ぬのをやめたんだ。本当に自分は弱いなって痛感したよ)




誠に届いてほしくて、懸命に言葉を紡いだ。


けれど、やっぱりどうしても次の言葉が言い出せない。



こんなこと伝えてほんとにいいのだろうか。


誠は許してくれるだろうか。



そんなことばかりが頭の中でぐるぐる回っている。


けれど、今言わなければ、きちんと伝えなければいけない。


誠に伝えずに、これから悠々と僕だけ生きることなんて絶対出来ないから。




(………………あのさ、誠。自分勝手って分かってるけど、でももし誠が許してくれるのなら、……生きてもいいかな?普通に、生きてみてもいいかな?もう逃げるのはやめにしたい。お前からも、自分からも。立ち止まって、考えて、やっぱり生きたいって思っちゃったんだ。……これを今日お前に伝えたかった。久しぶりに会ったのにこんな話かよって思ってると思うけど許して欲しい。……お前のことは一生忘れない。ていうか忘れることなんて絶対できない。僕の中で霧矢誠は永遠だ。お前は僕にとって、最高でかけがえのない親友だよ。今まで本当にありがとうございました)




僕は静かにゆっくりと目を開け、誠のお墓を見つめた。


やっと誠に伝えられた。


逃げずに、向き合えた。



僕の心はお墓に来る前とは打って変わって、重たい鉛が溶けたように、心がすっと軽くなっていた。



しかしこれはただの自己満足にすぎない。


直接誠と話したわけでもなく、ただ一方的に僕が気持ちを伝えていただけなのだから。


今回は優が誠に心の中で気持ちを伝える場面だったので、一つ一つの文章が長いです!読みにくかったらすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ