許すこと、許されること (2)
真夏の昼間なだけあって、人がそれなりに沢山いた。
普段は、人がいない真夜中にこの海に来ているので何だかとても新鮮だった。
『優!』
名前を呼ばれた気がして、僕は振り向いた。
そこには、いつもと変わらぬ笑顔で麗が立っていた。
ただ、陽の光の下で笑う麗はいつもよりも輝いて見えた。
『なんか、明るいところで優見るの初めてだからなんか変な感じする』
「僕もそう思ってた」
そう言い、2人で笑い合う。
『じゃあ、行こうか』
麗が海とは反対の方向へ歩き出す。
僕はまだどこに行くかも聞いていない。
「麗、待って。今日はどこに行くの?」
そう問うと麗は焦ったように振り向いた。
『あれ、私行先言ってなかったっけ?』
ごめんごめんと言いながらこちらへ戻ってくる。
そして、真剣な顔をして言った。
『誠君の、お墓に行こう』
麗が誠への手紙を書いてきて欲しいと言った時から何となく予想はしていた。
しかし、いざ行こうと言われると足がすくむ。
僕が本当に行ってもいいのだろうか?
そんなことを考えていると、麗がまた口を開いた。
『前、優の話を聞いた時思ったんだ。優、誠くんにお葬式以来会いに行けてないでしょう?……だから、会いに行こう。そして、きちんと話そう。優が思ってること。誠くんに、伝えに行こう?』
……そうだ。
僕は誠に伝えなくちゃいけないことがある。
まだ、ちょっと怖いけれど、それでも今行かないといけない気がした。
僕は息を吸って、震える口を開いた。
「分かった。行こう」
そう言うと麗は優しく微笑んだ。
『よし!そうと決まれば早速行こうか。途中でお花買っていこう』
そう言って麗は歩き出した。
だが、少しして何かを思い出したように困った顔をしてこちらへ振り向いた。
『……誠君のお墓って、どこにある?』
その言葉を聞き、僕は自分の口角が上がるのを感じた。
夜に会っても昼に会っても、麗は、麗だ。
それにとても安心感を覚えた。
僕が笑っていることに気がついた麗は頬をふくらませて言った。
『笑わないでよ!どこって聞いてるだけなのに!』
「いや、麗が誠のお墓の場所知ってるわけがないって分かってるけど、気づくタイミングが、やっぱり麗だなって」
口角は上がったまま、ごめんごめんと謝る。
『それってどういうこと?いい意味?いい意味じゃなかったら怒るよ』
「いい意味!いい意味だよ」
こんなくだらないやりとりさえも、僕の心を落ち着かせた。




