許すこと、許されること (1)
8月28日 土曜日 午前10時55分
麗に全てを打ち明けてから1週間が経った今日、昼間だけれど、僕はいつもの海に来ていた。
それはあの日、僕が少し落ち着いたあとのこと。
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『ねえ、優?来週の土曜日1日空いてる?』
唐突に麗が聞いてきた。
何故そんな質問をするのかと疑問に思ったが、ここ最近は特に何も予定はない。
「……空いてるけど」
『じゃあさ、優の1日私にくれない?』
そう優しく問われる。
突然のことに戸惑った。
少し口ごもったが、麗の事だからなにか考えがあるのだろうと思った。
麗は穏やかに微笑んでいたが、目元は真剣だった。
「いいよ」
『じゃあ決まり!来週昼の11時にこの海集合ね』
そう言うと麗はまだなにか言いたそうに口をもごもごしている。
少しの間の後、麗は口を開いた。
『……あのね、お願いがあるの。来週来る時、誠君へのお手紙、書いてきてくれないかな?』
少し言いにくそうに、麗が言う。
僕はその言葉にどう反応すれば良いのかわからなかった。
なぜ、僕が誠に手紙を書くんだ?
それに、何を書けばいいかも全く分からない。
今更って、誠も思うだろう。
そんな僕の感情を読み取ったのか、麗は慌てて口を開く。
『あ、いや、急になんでって思うよね。……でも、必要なことなの。優の誠君への思いを書いてきて欲しい』
麗の目はとても冗談を言っているようには見えなかった。
「分かった」
麗のその真っ直ぐな瞳を見て、気がづいたらそう返事をしていた。
家に帰ったあと、僕は早速机に向かい、誠への手紙を書き始めた。
しかし、やはり何を書いたら良いか分からなかった。
その日は結局、【誠へ】とだけ書いて終わった。
それから1週間毎日悩みに悩んで、感謝の言葉と謝罪、それからどうして相談してくれなかったんだということまで書いた。
最後のはとても書くのを迷った。
しかし、僕が1番誠に伝えたいことでもあった。
どうして何も相談してくれなかったのか?
僕は誠にとってそんなに頼りない存在だった?
もし、迷惑をかけると思ったなんて言ったらいくら誠でも僕は怒ると思う。
友達だから、なんでも話して欲しいとかじゃない。
話したくないことももちろんあると思う。
それでも、自殺をしてしまうほど追い詰められていたのなら、僕に吐き出して欲しかった。
1人で抱え込んで壊れてしまう前に、愚痴でも、恐れでも、辛さでも何でもぶつけて欲しかった。
そんなの迷惑でもなんでもない。
そしたら、一緒に苦しんで、悩めたのに。
その苦しみから脱する方法を見つけられたら、誠はまだ生きていたかもしれないのに。
これは僕のエゴだと分かっている。
僕が誠の苦しみに気がついてあげられなかったことへの言い訳にもなってるかもしれない。
それでも僕は、そう思わずにはいられなかったのだ。
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スローペースでの投稿すみません。
読んで下さりありがとうございます!!




