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8,社会人編『まっすー』

ゆうは専門学校や大学には行かなかった。


特にやりたいことがあったわけでもないので、はなっから行く気がなかった。

ゆえに、高校生活は遊び倒した。


ゆうが配属してから3ヶ月。

6つ年上の後輩が出来た。


この後輩、元々この業界を少し経験していた為、

ゆうとの3ヶ月の差がちょうど良かった。


同じぐらいのレベルで育っていった。


研修内容も一緒で、仲良くなるのにそう時間はかからなかった。


先に言っておく。

『まっすー』とは最後まで付き合うことは無かった。


このまっすーだ。

ゆうが彼氏を本格的に作らなくなった原因は。

いや、まっすーは全く悪くない。

ゆうの自業自得なんだけどね。


まっすーとは、よくご飯を食べに行った。

2人でも行くし、みんなとも行く。


一番最初に二人で遊び行ったのはお台場だ。

今でも覚えてる。

イン〇タを遡れば載ってるが、完全に匂わせている。

どっからどう見てもデートだった。

決して付き合ってはいないがな。


当時実家住まいだったゆう。


まっすーは友達とシェアハウスしており、たまにまっすーの家でご飯をご馳走になったりもした。


急激に仲良くなり始めたのは、ゆうが一人暮らしを始めてからだ。


ゆうの実家は、最寄り駅でも自転車で25分かかる。

歩きなら2時間はみた方がいいな。

通勤には電車を使っていた。

その電車が50分ほど。


通勤距離に不満を持っていた。


更に、一人暮らしというものに憧れもあった。


特に趣味も物欲もないゆう。

一人暮らしするには十分のお金は持っていた。


駅から徒歩6分。

電車に乗ってるのはたった20分。


快適だった。


当時まっすーは、横浜で友達とシェアハウスをしていたが、

なんとゆうの隣駅に引っ越してきた。

どうやらシェアハウスはやめたらしい。


今思えば既にまっすーはゆうのこと好きだったんだろうな。


まっすーとは家がとても近くなった。

そしてお互い一人暮らし。


お互いの家を行き来することが増えた。


増えたというより、今日はゆうがまっすーんち。

今日はまっすーとゆうんち。

こんな感じで毎日一緒だった。


もうカップルだろ。

いいえ。付き合ってないんです。


そう。まっすーはゆうに手を出していないのだ。


寝る時は同じ布団だった。


一人暮らしで布団2枚なんて敷かないしね。


それでもまっすーはゆうに手を出さなかったのである。


不満は全くなかった。

ゆう自身の性欲が強いわけでもなく、なんならほぼない。

それでもずっと一緒にいてくれる。

付き合ってないので縛ることも縛られることも無い。


持ちつ持たれつ。

この距離感がお互いちょうど良かったのかもしれない。


ちなみにまっすーの家の合鍵はゆうが持っていた。


まっすーが仕事でゆうが休みの日。

ゆうはまっすーの家でグータラしているのであった。

何かある訳でもない。ただただグータラしてる。

いつでも出入りが許されていた。


まっすー7割ゆう3割

どちらの家を使うかの割合だ。


まっすーは料理が好きだった。

そして美味いんだ。

ゆうはよく食べた。

ゆえに太った。


これが幸せ太りというやつか。。。

あ、付き合ってないんだけどね。


このまっすーとゆうの関係を、職場の人はみんな知っていた。

カップルカップルと散々言われた。

ほんとに付き合ってないんだけどね。


だんだんスキンシップは増えていった。


寝る時に抱き合って寝たり、キスまではした。

が、致すことはなかった。


致さないだけで、カップルとなんら変わりなかったと思う。

むしろその辺のカップルより仲良かった自信がある。


二人で九州に旅行に行った。

ゆうと、ゆうの親友と、まっすー。3人で出かけた。

ハロウィンでは、職場の人と仮装をした。

まっすーとはお揃いの仮装をした。

職場のカップルと4人で韓国旅行にも行ったこともある。


思い返せば、いろんな所へ行き、色んなものを食べ、色んなことをした。


なぜ付き合ってなかったのか、ゆうも不思議に思う。

が、何も困ることはなかったので特にゆうからなにかすることは無かった。


まっすーは良い奴だった。

思えば、今までの人生の、出会った人の中で1番優しくて良い奴だった。

ゆえに、ゆうは今でも、今後一生、まっすーよりも素敵な人と付き合うことは無いだろうと思っている。


まっすーが怒ってるところは見たことがなかった。

イラッとすることがあっても表に出ない。

寛大な心を持っていた。

ゆうは自由に生きていた。

洗濯はまっすーだしご飯もまっすー。掃除もまっすーだ。


ゆうはダメ人間だった。

あ、休みの日は、たまにやってたよ。

やればできる子なんだから。


何度か思った。

これ常に二人でいるなら、お互いがそれぞれ一人暮らししてる意味無くない?

が、それとこれとは別だ。

なにせ、付き合っていないのだから。


そんな関係が1年ほど続いた。

ある日思った。

飽きたな。


ゆうは最低だった。


安定した関係に飽きが来ていたのだ。


近辺は遊び尽くしたし、やることも無くなっていた。


その頃、同じ職場に2つ年上のれいくんがいた。


れいくんは公務員になるため学校へ通いながら、休みの日にアルバイトをしていた。


れいくんはイケメンだった。


まっすーも、どちらかと言うとイケメンだ。


が、まっすーは面倒くさがりなゆうに影響を受け、

だんだん腹に肉を付けるようになったのだ。


れいくんが輝いて見えていた。


特にゆうから行動を起こすことは無かった。


が、れいくんがゆうを気に入ってくれてたのは自分でも分かっていた。

まっすーも、れいくんのゆうへの扱いに、当然気付いていた。


職場の飲み会。

二次会は毎回カラオケオールで決まっていた。

ゆうは毎回参加していた。


お酒は飲まないが、そういう場が好きなのだ。


ゆえに、毎回座る席は決まっていた。


ゆうの右は壁だ。

ゆうの左にはだいたいまっすーが座っていた。


が、この日は違っていた。


まっすーは休みだった為、参加が遅れたのだ。


先に職場から直行していたゆう。

その右は壁だ。

左はどうだろうか。

そう。れいくんが座っていたのだ。


まっすーは分かりやすかった。


怒ってるところを見たことないが、れいくんに対しては別なのだ。


仕事中も。

直接は言わないが、れいくんへの不満を漏らすことがあった。

それをゆうが庇うと、不満げだった。


この日のカラオケのまっすーのテンションは、見るからに分かりやすかった。


思えば、れいくんは、人のものが欲しかっただけだったのかもしれない。


ゆうは気にしない。

ちょっと悪い気もしたが、別に付き合ってる訳でもない。

まっすーにどうこう言われる筋合いは無いのだ。

それがわかってるまっすーも何も言わない。


まっすーは明日朝番だから〜と言って、始発で帰った。

いつもならゆうはそれについて行く。

そう。いつもなら。


今日は違かった。

れいくんと一緒だった。

そして、れいくんもゆうも、休みだったのだ。


ちなみに飲み会の名目は、れいくんのサヨナラ会。

公務員試験に合格したれいくん。

職場を退社するのであった。


れいくんはゆうの家まで着いてきた。


自分の家に帰るより近いから。と。


確かにそうである。


自分でもわかっていた。

このまま家に帰ったら、間違いなくそういう流れに流れてしまうと。

けど、どうせ辞めたらもう会わない。

別にいいかな。

そう思っていた。


ゆうはクズだった。


まっすーも気付いていた。

真っ直ぐ寄り道しないで帰れよ。

そんなL〇NEが、来ていた。


寄り道じゃない。

ちゃんと真っ直ぐ帰ってる。

ゆうは。

そんな屁理屈も思いついていた。


が、ゆうは迷っていた。


まっすーとは付き合っていない。

だが、関係値はそこら辺のカップルなんかよりもあった。


ゆうは判断を誤った。

れいくんを家に連れてったのだ。


やはりそういう流れになった。

このタイミングでゆうはチキった。

そう。ゆうはチキンだからな。


ゆうは、れいくんに言った。

「彼氏としかそういうのしないって決めてるからダメ。」


れいくん「俺彼女居ないんだけどなぁ。んー。じゃあ入れなくていいから抜いてよ。」


ゆうは悩んだ。

が、入れないならセーフかな。

そう思った。


クズだな。


口と手で終わらせた。

ちなみにゆうも指で散々遊ばれた。


その後はお昼過ぎまで爆睡して、解散した。


まっすーは何も聞かなかった。

ゆうも、まっすーに何も言わなかった。


まっすーとの関係も、いままでと変わらず。

強いていえば、ゆうが1人の時の行動を気にするようになったかなくらいかな。


が、ここで、未来を変える、大きな出来事が起きる。



ゆうが一人暮らしを辞めたのだ。


理由は簡単。


ゆうの家は、ゆうが小4の時から母子家庭。

弟が1人いて、ずっと3人家族だ。


高校生の時にゆうの反抗期もあり、そうとう親には迷惑をかけた。


ラクをさせてあげたかった。


実家は実家でお母さんが家賃を払ってる。

ゆうはゆうで、家賃を払ってる。


色々調べた結果。

ローン組めば戸建ての家買ってもゆうの出費は大して変わらない。


そう。ゆうは戸建ての家を買って、一緒に住もうと思ったのだ。


ゆうなりの親孝行だ。

ちなみに、携帯代や、家のWiFi。

光熱費なんかもゆう持ちだ。

とりあえず金から始めようと思った。


思い立ってからは早かった。


家を見に行き審査をする。

審査に通れば契約完了。


トントン拍子で話は進んでいた。


当然、まっすーはいい顔はしなかった。

ゆうは見て見ぬふりをした。


ゆうは引っ越した。


まっすーの家からは車で30分程。

電車だと1時間くらいかかる。


まっすーがゆうの家に来ることはほとんど無くなった。

まぁ実家だしね。


次第に、ゆうがまっすーの家に行くことも減っていった。


まっすーは焦っていた。


このままだと自然消滅すると。


この時既に、まっすーは別の店舗に異動していた。

ゆえに、プライベートで連絡を取らなければ、顔を合わせることはなかったのである。


ゆうは、特に何も考えていなかった。

強いていえば、ネットの女友達が配信アプリを始めて、

よく聴きに行っていた。

まっすーんちに行くと聴けないので、あまり行きたくなかった。


なので行く回数が減っていただけである。


今思えば、こんなにも想ってくれる、想っていた、安心感のある友達なんてそう出来ないのだ。

お互い踏み出さなかっただけで、カップルだったのだ。

間違いなく両想いだった。


まっすーが急にゆうの家に来ると言い出した。


ゆうがしばらくまっすーの家に行ってなかったからだな。


うちに来たまっすー。

付き合って欲しいと、ゆうに告白をした。


最初、ゆうは答えを濁した。


まっすーが嫌いな訳では無い。

が、まっすーとあんなことやこんなことをしたいかと聞かれると、

答えが出ない。

今の関係を壊したくなかったのだ。


意地悪な質問をする。

ゆう「まっすーはゆうとえっちがしたいってこと?」


まっすー「そういう訳じゃないけど。。。」


ゆう「じゃあなんで今の関係じゃダメなの?今と変わらなくない?」


まっすー「そうなんだけど。。。」


ゆう「じゃあ別に付き合わなくていいじゃん。今のままで。」


まっすー「そうじゃないんだよ。。。付き合おうよ。」


まっすーは押すのがヘタだった。


ゆうはここで、かなり最低な言い訳をしてしまう。


ゆう「ゆうは、まだ遊びたい。ほら、れいくんとか。もう少し遊んでからなら付き合ってもいいかな!」


ほんとにクズだと思う。

付き合いたくない理由が遊びたい。

そして、ここでれいくんの名前を出す。

まっすーが唯一嫌がっていた人の名前だ。

まっすーが泣きそうだったのに気付いていた。


ゆうは気付いていながらも

「7月まで遊ばせて!それでもまだ好きだったらまた告白して!」


ほんとにひどい。

こんな奴いるのか。


いたわ。ここに。。。


まっすーは説得を諦めた。

その時は気づいていない。

が、今思えばわかる。

ゆうを諦めたのだ。


ゆうは泊まってけばいいのに〜と言ったのだが、

まっすーは帰った。


馬鹿なんじゃないかゆうは。


ここでゆうは、人生最大の婚期を逃したのである。


その後、ゆうはしっかりとれいくんと連絡をとっていた。

やはり、まっすーの吹っ切りに、何も気づいていなかったようだ。

2回、れいくんの家に遊びに行った。


れいくんとは付き合っていないので、入れてはいない。

入れなきゃセーフだからね!



7月が過ぎた。

まっすーとはほとんど連絡も取っていなかった。


そりゃそうだ。

好きな人に、尽くし続けた相手に、あんなことを言われたのだ。

愛想尽くすわな。。。


次第に連絡は全く取らなくなった。


サヨウナラ。まっすー。。。



ここからだ。

ゆうが完全にネットにハマっていくのは。。。



ちなみにまっすーは現在一児のパパだ。

大切な人を見つけたらしい。

よかった。

その事を知った頃かな。

まっすーの大切さを思い知ったのは。


それまでは何も思ってなかった。

何も気づいていなかった。


仲良かった人が離れていってしまったなぁ程度。


後から後悔しても遅いのだ。


過去に戻れると言われたら、100%ここに戻るであろう。


それほどまでに、当時気づいていなかったが、

ゆうはまっすーの事が好きだったようだ。


ゆうはクズだった。

それだけだ。


もう他人を傷付けたくない。

自分のクズさに気付いた時、自分はもう、誰かと付き合う日は来ないだろう。

そう思った。


このことは一生忘れないだろう。


もう戻ることの出来ない大切な思い出として。

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