ドアの向こうは
3日連続投稿なんて2年ぶりくらい…
ホルダーでない者がダンジョン内、もしくはギルド関係施設以外でバレットを常時召喚しておくのは法律で禁止されている。その事を酒呑童子に伝えると、彼女は姿を消し、不可視のものとした。
バレットは未召喚の待機状態、離界化という状態になる事が出来るのでそうしないのか聞いてみたが、本人曰く、
「そんなに魔力量が多いのなら離界化せずともよいし、なんならお釣りがくるのじゃ」
との事らしい。
そんな訳で、実際には近くに酒呑童子がいるのだが、気分的には1人で歩いている。
「のう渚よ、お主は1人で暮らしておるのかえ?」
「いや、妹が1人いて親は母さんも父さんも2人共いないから、2人で暮らしてる」
「ふむ、妹と2人でか……その妹とは仲が良いのかの?」
「当たり前だろ!」
「なら良い。して渚よ、まだ着かぬのか?」
「もうすぐだって。なんなら見えてるぞ。あそこの一軒家が、俺の家だ」
指をさしながら、酒呑童子に我が家を教える。
そうこうしていると、もう家の目の前まで来た。
「はい到着!ここが、俺の家だ!」
そう言って、何時ものようにドアノブに手をかけようとしたのだが、何故かピタリと体が止まる。
このドアの向こうに、何かがいる。
そう、まるで鬼神の如き怒りを感じさせるようなオーラを放つ何者かが……
そして、俺は思い出した。
不可視化を解き、どうしたのかとこちらを見てくる酒呑童子の事など気にとめず、素早くポケットに忍ばせているスマホを取り出し、メールを確認する。
気の所為、そうであったらどれほど良かったことか。しかし現実は悲しいかな、嫌な予感は見事に的中してしまっていた。
そこには、おびただしい数のメールが届いていた。
初めの方はまだ帰ってこないのか、という感じの文が送られており、その後もメールが続いている。それを目にした俺は、そっとスマホを閉じた。
「のう渚よ、入らぬのか?わしは早う入りたいのじゃが……」
「お、おう、入る、入るけども……」
まずい、まずいぞ御神渚。どうしてメールに気付かなかったんだ!おバカ!これは多分結構怒ってるぞ……やべぇ
「何を悩んでるのじゃ渚!もう良いであろう?入るぞ!」
頭をフル回転させている俺を他所に、痺れを切らした酒呑童子がドアノブに手をかけドアを開けた。開けてしまった。
咄嗟に手を伸ばすも間に合わず、虚しくその手は空を切る。
そして、酒呑童子が開けたドアの向こうには
「なぎにぃ……どうして、どうしてこんなに遅くなったの……!メールだって、何度も何度もしたのに……!」
少し青みがかった長い銀髪を腰まで流した、酒呑童子に負けず劣らずの容姿を持ち、同じくらいの身長である小柄な美少女。そう、妹である御神響が玄関に立っていた。
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