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初めての召喚(成り行き)

連日投稿ぽぽいぽい

あまりの急展開に思わず面食らっていると、目の前の少女が怪訝そうな顔をして話しかけてきた。可愛い。


「お主じゃお主!おーい!聞こえておらんのかの?聞こえてるなら返事して欲しいのじゃ……」


「あ、えーと、はい、聞こえてます」


「聞こえておったのか、なら良かったのじゃ!それはそうと、わしを呼んだのはお主でよいのかの?」


「あー、まぁ……そうなりますね」


返事を返すとうんうんと頷く少女。その仕草の一つ一つが人を魅了することが出来るであろう魅力を秘めている。


「なら、まぁ取り敢えず名を名乗っておくとしようかの。わしの名前は酒呑童子。数多の鬼共を従えていた鬼なのじゃ!」


「酒呑童子…!?」


酒呑童子といえば、妖怪の中で最上級の一角である鬼の名前である。

もし本物ならば、とんでもない大物だ。

だが、カードには星が5つ描かれていた。という事は、バレットの中では最上位に君臨しているという事。


バレットを召喚した際のカードには全て星が描かれており、その星の数によって能力の強さが変わってくる。現在は、星が1つ描かれたものから、2つ、3つ、4つ、そして、5つが最高とされており、当然星の数が多いほど能力や強さが上がり、希少性も高くなる。とされているため、本物である信憑性が高い。


「ほれ、わしは名乗ったのじゃ。お主にも名乗って欲しいのじゃがのう…?それと、敬語はやめよ。お主のいつもの話し方でいいのじゃ」


腰に手を添え、方目を閉じて早く名乗れという雰囲気を醸し出しながらそう言ってくる酒呑童子。


「そういう事なら……んん!俺の名前は御神渚(みかみなぎさ)。自称幸運のしがない男子高校生!」


「ほう、御神渚か。良い名前なのじゃ!」


笑って見せながらそういう酒呑童子に、一瞬見惚れてしまった。

落ち着くために深呼吸して呼吸を整え、もう一度酒呑童子と目を合わせる。不意に、彼女の髪が目に止まった。日本人ではほぼ見かけない、とても綺麗な白く長い髪が。


「この髪が気になるのかの?」


その視線に気付かれたのか、酒呑童子は自分の髪を指しそう聞いてくる。


「あ、見すぎたか。嫌だったらすまん!」


「カカッ、気にしておらん。大丈夫じゃ!それよりも、この髪を見て思うことはあるかの?」


髪を見て思うこと、か。

その答えは、反射であるのではないかと言うくらいに、自分でも驚くほどスムーズに声となって口から零れた。


「綺麗だ……」



思わず口にしてしまい、咄嗟に酒呑童子の方を見る。

さも驚いた、というような顔をしている酒呑童子と目が合ったが、次の瞬間には目をそらされてしまった。


「ま、まさか綺麗などと言われるとは……」


「あ、いやその、思わず口にしてしまったというかなんと言うか……」


顔を少し赤くしてこちらを見てくる酒呑童子。まさか怒らせてしまったのだろうか。


「いや……そう、か……綺麗か……カカッ」


「えーっと……」


「……渚」


「はひっ」


思わず噛んでしまった上に少し声が上ずってしまった。羞恥心から少し顔が赤くなっている気がする。


「ありがとうの」


「えっ…」


まさか感謝の言葉を言われるなどと思ってもいなかったため、驚き声を上げてしまう。


「長いこと生きていたのじゃが、渚のように綺麗と言ってくれるやつは今までおらんかった。奇っ怪だと思われることは多々あった。じゃから、渚、お主がわしのこの髪を綺麗と言ってくれた事が、ほんの些細なことかもしれんが、わしには嬉しかったのじゃ」


真っ直ぐこちらの目を見ながら、嬉しそうにそう伝えてくる酒呑童子。

彼女の綺麗な白い髪は、もしかしたら彼女自身のコンプレックスに近いものだったのかもしれない。だからどう思うかと聞いてきたのだろう。


「少なくとも、俺はほんとに綺麗だと思うけどな。逆に、そう思わなかった奴らの気が知れないぐらいだ!」


「カカッ、嬉しいことを言ってくれるの……まぁ、わしの事を嫌わんでくれて良かったのじゃ!じゃあ早速契約するとするかの!」


「おう!……ん?ちょっと待て!」


何か聴き逃してはいけないことを言っていた気がする。


「なんじゃ渚」


「契約って……」


「なんじゃ、知らなかったのか?わしらバレットを召喚した者が、わしらをカードから顕現させるとその時点で契約成立となるのじゃ」


「えっ、でも俺酒呑童子カードから出した覚えはないんだが……」


「まぁ、それはわしが勝手に出たからの。当たり前じゃな」


どうやらこの酒呑童子は自分の意思だけでカードから出てきたらしい。


「勝手にって……バレットってそんなこと出来んのか!?」


もしそうならかなり大変な事になりやしないだろうか。


「いんや、普通は出来ないのじゃ。ただちょっとわしらが特別なだけじゃ」


どうやら杞憂に終わったらしいが、それでも少なからず特別な者達は存在するらしい。


「まさか渚、わしと契約するのは嫌なのかの…?」


目を潤わせながらそう尋ねてくる酒呑童子。そんな事を言われたら嫌だなんて言えるはずがない。まぁ、言うつもりなんて微塵もなかったのだが。


「まさか!酒呑童子のようなやつが契約してくれるなら大歓迎!寧ろお願いします!」


「うむうむ!良かったのじゃ!では早速行くとするかの!」


「行くって何処へ?」


「何処へって、決まっておるであろう?お主の家じゃ」


当たり前だろうとでも言うかのような態度でふんぞり返っている酒呑童子だが、何か大事な事を忘れてしまっている気がする。


「家って……酒呑童子、着いてくんのか?」


「当然じゃろう?わしと渚はもう離れられぬのじゃからな!さぁ行くぞ渚!」


早く行こうと酒呑童子が手を取ってきて、そのまま歩き始める。先程から何か思い出せないことがあるのだが、まぁ大丈夫だろう。

そう思い、先導していた酒呑童子の隣まで行き、共に歩み出した。


「なぁ、酒呑童子」


「なんじゃ渚」


「家、真逆なんだけど」


「はっ、早く言わんか馬鹿者!間違えてしもうたではないか!」


「早く言えって、元はと言えば酒呑童子がそっちに歩き出したんじゃねーか!」


「ぐ、ぐぬぬ……言い返せんのじゃ……」


「ったく…んじゃ、気を取り直して。行くぞ!酒呑童子」


「うむ!」









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