嘘だと言ってくれ 2
そこに座っている酒呑童子は普通ではなく、イレギュラーだということが判明したので色々と話を聞きたいのだが、当の本人がだんまりを決め込んでしまっているので聞こうにも聞けないという状況になってしまっている。
出来れば洗いざらい全て話してもらいたい。物凄く先行きが不安になってしまっているのですが一体どうすればいいですか神様。
そうこうしていると、そっぽ向くのをやめて俯き、うんうんと唸っていた酒呑童子が一度小さく頷いていきなり顔を上げた。
表情は少し硬いものになっている。
「渚よ……」
「お、おう」
「お主は先程、わしのスキルボードに何故名前と種族以外が書かれておらぬのか聞いてきたが……」
酒呑童子の表情が真剣な顔付きになっていたので、その雰囲気につられて自ずとこちらも真剣になる。
「あれはな……」
答えとなるところで酒呑童子は言いよどみ、焦らされているかのような感覚になる。その間に、一体何を言うつもりなのか等と考えると少し緊張もしてくる。
「どういうことかと言うとじゃな……」
からからと乾いた喉で唾を飲み込む。
「…んのじゃ」
「ん?」
「わ……んのじゃ」
声が小さいので、酒呑童子が何を言っているのかが聞き取りづらく一部しか聞くことが出来なかった。
「なんて?」
「だからじゃな……その……」
「なに?」
響も気になるのか、早く言うように促している。
「ううううう……!…………分からぬ、のじゃ……」
「「は?」」
酒呑童子から出た言葉に、動揺せずにはいられなかった。響も思ったことは同じだったようで、同タイミングで疑問の言葉を発した。
「分からないって、どうゆう事だ」
「ん、こっちもわけが分からない」
「知らんのじゃ!分からないのじゃ!とにかく、わしもわけがわからないのじゃぁぁぁぁぁぁ!」
少し泣きそうになりながらも、酒呑童子は必死にわけが分からないと叫んだ……
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