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メモリー・コントロール 〜忘れられない忘れもの〜

作者: てこ/ひかり
掲載日:2020/11/30

「遅い! 君、レポートはどうした?」

「忘れました」

「何? じゃあ何のために家に取りに帰ったんだ?」

「忘れました」


「何だと? 君、どこのゼミだね? 名前は?」

「忘れました」

「おいおい......誤魔化そうったってそうはいかないぞ。名前は?」

「忘れました」


「君は一体、何がしたいんだ?」

「忘れました」

「何のために僕の授業を受けている?」

「忘れました」


「......君、いくつだね?」

「忘れました」

「何もかも忘れたで済むと思っているのか?」

「忘れました」


「じゃあ、君のその体は......」

「忘れました」

「その声は......」

「忘れました」


「......僕は今、誰と喋っている?」

「忘れました」

「ここはどこだ?」

「忘れました」

「僕は誰だ!?」

「忘れました」

「......ここがどこかも分からない。自分が何者かも分からない。君が自分で選んだんだろ?」

「忘れました」


「何のために明日を目指す?」

「忘れました」

「教えてくれよ......一体何だったら思い出せるんだ?」

「忘れました」

「君は何のためにここに来たんだ!?」

「忘れました」

「ふざけるな! 大人をからかって、何が楽しいんだ!?」

「忘れました」


「......すまない。大きな声を出してしまった。そうだ......そう、僕も忘れていた。僕は一体何のために、ここに来たんだろう......」

「忘れました」

「......あの頃は、今の新入生みたいに、馬鹿みたいに大きな夢を描いていたっけな?」

「忘れました」


「何が目的だったのか、何が楽しかったのか。それすらも......」

「忘れました」

「また思い出せるかな......あの頃みたいに、がむしゃらになって走り出せば......」

「............」

「だってそうだろ? もう後悔したくないもんな? 不安や焦りなんて、そんなもの......」

「忘れました」


「ありがとう。そうだよな、僕だって、忘れ物がたくさんあったんだ。君と話せて良かった。おかげで明日もまた一歩、歩き出せそうだよ」


「ところで君、レポートは?」

「忘れました」

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