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僕の長い話終わりました

過去回想終わりました。

  ……て話。すごい話長くなっちゃったけど(笑)。まあ、最後はこないだの話だけどね。」


 「……しょー君、頑張ったんだね……」


 南が目を大っきくして泣き出した。


 「やめろよ〜(笑)。……

  ……あらためて、南、僕を助けてくれて本当にありがとうございます。

  それが1番伝えたかったんだ。」


 「そっちこそ、やめてよ!感謝なんて。

  あと、敬語ダメって決まりでしょ!」


 そう言ってはいるが、南も苦労したと思う。


 「……そーだったな。」


 「しょー君そんなに辛いことがあったのにこんなに頑張ってるなんてすごいよ。」


 「それは、南のお陰なんだって!

  ……でも、南だって頑張ってるじゃん。今は研究所の寮で暮らしてるけど、前はおじいちゃんたちのうちだったんでしょ?」


 「うん……、親が訳あって私を面倒見切れなくて、父祖たちのお家に住んでたけど、もうお年だから厳しくなって、……

  だから、叔父さんであるしょー君のお父さんのうちにお世話になるってことになったんだけど、さすがにただ住まわせてもらうのは嫌だったから、研究所で雇ってもらうことにしたの。」


 「それで、僕が引きこもっている去年の間に勉強したんだね。」


 「そう!勉強といっても最低限だけどね…

  それで、しょー君のお父さんのそばで簡単な仕事をさせてもらってるってわけ。」


 「ふーん、うちのお父さんが役に立てて良かった。

  ところで、そのおじいちゃんの家ってどんなところなの?」


 「う〜〜ん……忘れちゃった。」


 「…そー、なんだ……」


 そんなこと、忘れるわけない。

 しばらく南はうつむいて黙っていたが、衝撃的なことを言い出した。


 「……実はね、よく分からないの。さっき話も、みんなしょー君のお父さんから聞いた話で…

  私、昔の記憶が無いの。」


 (……え!?)


 「どういうこと?」


 「ここに来てからの記憶しかないの。

  起きたら、あの研究所の寮のベッドいたの。

  それから、叔父さんに事情を聞いて…、

  記憶が無いって言ったら、やっぱりかみたいな反応で……

  叔父さんが言うには、相当辛いことがあったから記憶を無意識に閉ざしているのかもしれない、って。」


 「……まぁ、一応筋は通ってるな。

  ……記憶に苦しめられるのも大変だけど、記憶が無い方が辛いかもな…」


 「う~ん、それはどうなんだろう。

  両方味わわないと分からないよ。でも、私は今のままでいい気がする。」


 「……そっか。

  ……もう結構暗くなったし、そろそろ帰るか。」


 「あ、うん。

  記憶が無いって話は叔父さんに誰にも話すなって言われてるし、秘密だよ。」


 「もちろん。」


 「あと、見せたいものがあるから、私の寮の部屋に着いて来てくれない?」


 「…うん、了解。」


 (え!!なんだろう?

  このワンピース似合う?とか?映画のチケット二枚あるから一緒に行かない?とか?)


 でも、南はかなり深刻な顔をしていた。図書室を出て、薄暗い廊下を歩いて、寮へと向かった。

 寮にはあまり行ったことがなかったが、部屋数は結構多いみたいだ。

 南の部屋に着いた。かなり奥のほうで、一回行っただけでは覚えられなさそうだ。


 「入れるのは恥ずかしいから、ちょっと外で待ってて。」


 「あ、うん。」


 少しドアのぞいてみると、白とピンクで家具とかがそろえてあって、いかにも女子の部屋って感じだった。

 南が持ってきたものはとても小さかった。


 「これなの…」


 手に取ってみるともっと小さく見えた。よく見ると、相当細かい基盤のようだ。


 「これ、どこで見つけたの?」


 「昨日、疲れて床に寝っ転がってたらタンスの引き出しの裏にくっついてるのを見つけたの。」


 背中がゾッと電気が通るような感覚がした。


 「……一応、僕が預かっておいて、お父さんに見せてみるよ。何か分かるかもしれないし。心配するな。」


 そう言ったものの、とても怖かった。


 (まさか…)

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