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 次の日


 僕の部屋に脅迫状は来なかった。


 しかし、興味深い情報をパソコンで見つけた。

 最近僕がロボットの事ばかり調べているせいかもしれないが、おすすめニュース欄の上から3番目くらいに「人間型ロボット」という記事があった。コメントがひとつもきていないし、ほとんど誰も見ていないのだろう。どうせ、風の噂のような根も葉もない言葉が並べてあるだけだと思った。だか、やたらと詳しい気がした。

「これまでのものより限りなく人間に近い人間型ロボット」、「ロボットが人間と一緒に生活」、「昨年製造された」、そして、一応モザイクのかかった南と思われる横からの写真。

 僕が最近知った事ばかりが書かれている。


 ( ……もしかして、あの盗聴器はこの記者の仕業か? いや、だとしたら脅迫状なんて書く必要がない。じゃあ一体…… )


 記事の続きにはこうあった。


 「このロボットの技術はまだ誰も実現できていないものである。ロボットの情報を集めている私でもここまで人間らしいものは初めてだ。このロボットは全く世間に知られてはいないが、注目するのは武力の強化を図っている世界大国達だろう。ロボットなら、改造を重ねてより人間より強く賢くできる可能性が高い。

  しかし、これらの野望が果たされていない原因のひとつは、この人間型ロボットの開発者であると思われる大手ロボットメーカー研究員のトップが亡くなり、その設計図などもまだ発見されていないことだろう。

  もしその設計図が世界大国の手に渡ってしまえば、地球全体がまたもや大きな戦争という危機にさらされてしまうかもしれない。……」


 と、読んでいる途中でそのページが消えた。さすがに、あの写真はプライバシーに関わるとあとから記事を消したのだろう。

 しかし、新しい情報を手に入れることができた。


 ( 研究員のトップ……。お母さんのことじゃないか。僕も一瞬よぎったけど、お母さんがこのロボットを開発したんだ……。すごい、……すごい。

  でも、戦争?危険だ。世界中が、……南が。 )


 そう。人間型ロボットの設計図を僕が最初に見つけなければ、世界中が、南が、危ない。

 先にどこかの国が見つけてしまえば、兵器として製造するだろう。そして、南も連れて行かれて兵器に改造されてしまうかもしれない。

 何としても、設計図の場所を探し出さなければならない。


 仕事の昼休み、僕はロボットメーカーの母の研究室に行くことにした。南も行ってみたいと言ったので連れて行った。

 ロボットの研究所に着き、母の息子です、というとすぐに研究室へ入れてくれた。どうやら母の研究室はもう使われていないらしい。

 研究室の中は当時そのままって感じだった。まだやりかけみたいなものもあった。


 ( お母さん、研究をしていたのに死んじゃったんだな……。 )


 そんなことも考えたが、今はそんなことだらだらと考えている暇はない。

 僕は母が生きている6歳くらいまで、たまにこの研究室に見学しに来ることもあった。だから少し懐かしい感じもした。ここではいつも母は1人だった。このボールペンをよく使っていた。その棚に少しお菓子が置いてあった。あのコーヒーポットでコーヒーを入れていた……。そしてそこのドアの向こうには入れてもらえなかった……。

 見たところ、そのドアは壁と同化してある隠し戸で、暗証番号8けたを入れなければならない。

 ( 8けた……。)

 僕は直感的に誕生日を2つ入れる気がした。僕と妹の茉弥の誕生日を入れた。誰も見ていないことを確認して、南に合図した。ドアは押すと開いた。中は真っ暗。


 「キャーーーー!!」


 南は部屋から飛び出して僕の腰にタックルしてきた。


 「誰かいるの。」


 「え?だってここには誰も入れないはず……。」

連載中ですが、よかったら評価お願いします。

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