私は恋の支援者
私には親友の女の子と男の子がいる。
小中高と一緒に過ごしてきている幼馴染の親友が。
彼女の名前は石倉美波。文武両道、容姿端麗。
小さい頃は元気で私を沢山連れ回して遊び回っていた。中学生の頃も活発で部活動ではテニス部で全国大会に出場するくらいの活躍を見せた。
高校生に入ってから大分落ち着いて今ではお淑やかな聖女様と呼ばれている。
そんな彼女と対になる男の子。こちらも小中高と一緒に過ごしてきている幼馴染。
彼の名前は如月光樹。文武両道、眉目秀麗。
小さい頃は気も小さく美波に沢山連れ回された同士だ。中学生になってからは逆に元気になり、生徒会長まで務め沢山の人望を集めた。高校生になってからも持ち前の明るさを活かしてたくさんの友達が出来ている。美波が聖女ならこっちは王子様だ。
そしてそんな2人の幼馴染として過ごして来た私。立花凛花。
小さい頃は美波に連れ回され、中学になる頃には美波の明るさが映り剣道部に所属して全国大会で3位になったこともある。高校でももちろん剣道をやっている。私は2人と違って文武両道じゃない。どちらか一方しか伸ばせなかった。
今年で高校生活も2年目になる。勉強や部活も落ち着いてきて他のことにも頭が回るようになったからか。私は昨日から親友2人に相談されてしまった。
◇◇◇◇
始業式前日。
私は中学の頃からの日課の素振り100回をする為に朝早く起きて素振りしていた。
毎日素振りをするのは私のルーティーンとなっている。これを続けたおかげで全国にも行けたと思ってるのでこの日課は辞めるつもりは無い。
そこへ親友の1人光樹が来た。光樹はこんな早く起きる人間じゃない。あいつは休みの日ならお昼まで寝てるからな、そんな光樹がこんなこれから日が昇りそうな時間帯に私のところに来る理由がわからなかった。
「おはよう、凛花」
「おはよ光樹、それよりどうしたん?こんな朝早くに寝てないの?」
「よく分かったな」
「まぁ、あんたが朝早く起きられるわけないからね」
「そうだね、朝は苦手だよ、だから起きてた」
そりゃそうだ、光樹を平日起こしてるのは私か美波だから、アラームをいくつも掛けといても起きない、だから私か美波が毎日起こしてる。
そうそう、私と美波、光樹の家は隣同士。私の家が真ん中にあって左右に光樹、美波の家だ。だから家族ぐるみの付き合いでここの3家は仲がいい。
「それで?どうしたの?」
「ちょっと凛花に相談したいことがあってさ、昼は美波がいるからちょっと出来なくて」
「ふーん、わかった私の部屋行ってて」
私は竹刀を片付けて、光樹を部屋に先に行かせとく。幼馴染だけあってもう部屋の行き来は普通でそんなに気にせず部屋に呼ぶ。
私は素振りでかいた汗を流すためひとまずシャワーを浴びに行く。
シャワーを浴び終わったら半袖半ズボンの体操服を着てからキッチンに行き冷蔵庫からオレンジジュースの缶を2つ持ち自分の部屋に戻る。
部屋を開けると私がいつも愛用している人をダメにするクッションで横になって光樹が待ってた。
「それで、相談ってなに?」
オレンジジュースの1つを光樹に投げながら私はベットに腰掛けもう1つのオレンジジュースを飲む。
「あぁ、実はさ俺、み「美波が好きなのは知ってるよ」なみが・・・え?」
「いや、美波が好きなのは知ってるって、中学の時から好きでしょ、いや、恋と自覚したのはその辺からでホントは小学生の時には気になってたもんね」
光樹は美波の事が好き、小学生の頃はよく美波を虐めてたもんね、好きな子に対してやるような意地悪を、それから中学に上がって、恋と自覚して、それでもこの関係を壊せなくて、好きだけど仲のいい親友で今までやってきた。
「え?なんで・・・知ってんの?」
「いや、外から見れば丸わかりだよ?多分気づいてないのは当の本人だけ」
「まじかぁ〜、まぁいいや、それでその・・・俺もそろそろ美波と付き合いたいなって思っててさ、手伝ってくれない?」
「はぁ〜、やっとその気になった?まぁ手伝うのはいいけど、自分でも頑張らないと何もなんないからね」
「あぁ、分かってる!ありがと!凛花」
そして光樹は私に相談出来て協力を取りつけることが出来たから安心したのかそのままクッションに沈んで眠りやがった。
はぁ、そこ私のリラックスタイムする場所なんだけどな〜、仕方なく、朝食を食べる為キッチンに降りて準備に取り掛かる。
◇◇◇◇
お昼過ぎに光樹は起きた。
「いや〜悪い悪い、寝落ちしちゃった」
「はぁ、私の至福のひとときを邪魔して、もうお昼過ぎてるんだから自分の家に戻りな」
「おう!ありがとな!」
光樹はそう言い、家を出てった。まったく、私はそのまま光樹の寝ていたクッションに座り漫画を読んでいた。
そうやってたら1階からお邪魔しますって声が聞こえて来て誰かが階段を上がってくる。
まぁこんな自分の家のように入ってくるのは光樹や美波の家の人たちだけだし、多分美波が来たんだな。そう思い待ってると美波が部屋に入ってきた。
「こんにちは、凛ちゃん」
「こんにちは、美波」
美波は私の正面に正座で座る。いつもはベットやら一緒にクッションに乗ってくるのにそれをせずに正座なんてなんだろうと思い顔を上げる。
「凛ちゃん、相談したいことがあるんです」
「・・・・・・はい」
「聞いてくれませんか?」
「・・・・・・いいよ」
非常にデジャブを感じるが聞こう。親友として聞かない選択肢はないから。
「私ね、光樹の事が好きなの!恋人になりたいんだけど!手伝ってくれない?」
案の定、予想通りの相談だった。
つかお前らお互い好きなのになんで気づかないのかな?私は中学の時から2人の気持ちを知ってるから凄いヤキモキしてるんだけど!?
「・・・いいよ、手伝うよ」
「ありがとー!凛ちゃん」
美波はそのまま私に抱きついてきた。
はぁ前途多難だな。お互い好きなのに相手は幼馴染だから仲がいいだけだと思ってる。
こんな2人を見ているとバラしてくっつけてしまいたい。でもそれは出来ないからね。
まぁ、やっと進もうと思ったんだ、応援してあげよう。
そうして私は光樹と美波の恋のキューピットをする事になった。