お風呂の中のサムライ。
僕の家には、10年前からお風呂好きのサムライがいるんだ!
安くで買った、古い空き家を改装して住んでいるんだよ、、、!
・・・でも?
元からいた、サムライはお風呂だけは五右衛門風呂がいいと言って聞かないんだ!
サムライの強い要望で、お風呂はほとんど変えない事になったんだよ、、、!
『ねえ、どうして? お風呂は五右衛門風呂がいいの?』
『拙者! お風呂は、五右衛門風呂と決まっておるからでござる!』
『風呂好きのサムライって、、、? 珍しいよねぇ~!』
『体の汚れは、心の汚れ! 綺麗が一番でござるよ!』
『でもさ~ほとんど、1日中お風呂に入ってない、、、?』
『そうでござるか? ちゃんと、ご飯を食べる時と寝る時はお風呂に
いないでござるよ!』
『まあ、そうだけど、、、! 来生助さんは、どうしてお侍になったの?』
『拙者の家系は、みんなサムライでござるよ! 自ずとサムライになるのは
拙者自身も分かっていたでござる!』
『ふーん、そうなんだ!、、、』
『剛史殿! 今日は、お風呂が熱いでござる! もう少しぬるくしてくだされ!』
『分かった! 分かった! やっぱりサムライは、ケチが多いな~』
『・・・うん? 何か言ったでござるか?』
『ううん、何も言ってないよ!』
『そうでござるか~しかし、、、? いいお湯になってきたでござるなぁ~』
『それは! 良かった良かった!』
▽
こうやって、、、僕とサムライさんとの共同生活を始めて10年になるが、、、!
いろいろサムライの事が分かってきたよ!
僕もずっと独身で、仕事に疲れて田舎の空き家をリフォームして住む事に
したら、、、? まさか!? そこにはサムライが既に住んでいたんだ、、、!
*
はじめは、なんやかんやと口を出してきてめんどくさいなと思っていたのだけど。
案外、情に厚いし! 義理人情があるサムライで、、、。
僕も、来生助を見て! 見習う事がいっぱいあることに気が付いたんだよ!
しかし、、、?
サムライというのに、、、。
やたらと? お風呂が長いし、、、!
1回入ったら、、、?
何十時間も出てこないんだよ!
そんなに、お風呂に浸かってて、ふやけないのかな、、、?
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・・・でもこんな時代に、昔のサムライがいる方が気になるよね?
来生助さんに、どうしてか聞いた事があるのだけど、、、。
『来生助さんは、何故? この時代にいるの? ずっと気になってたんだよ!』
『うむ! 拙者には当時、幼馴染の女の子の事が大好きだったでござるよ!
何時かは、彼女と【結婚】したいと思っていたところに、親が選んだ許婚の女性
を連れて来たでござる! 拙者は、反対したでござるが無理だったでござるよ!
それに、、、サムライになる事も条件に入ってたでござる! 拙者は幼馴染の女
の子の事は、忘れる事にして! 許婚の彼女と結婚しておサムライにもなったで
ござるが、この時代難しい時代でござってな! 戦が続いて拙者の家族も敵のサ
ムライに殺されて、拙者も戦いの末、刀出で切られて亡くなったでござるよ!』
『・・・ということは? 魂だけココに残ったという事なのかな?』
『そうかもしれないでござるな~!』
『“ござるな~”って! のん気に! きっと他の人には、来生助さんは見えてな
いんだと思うよ!』
『これも! “ご縁” 剛史殿と一緒に住めて拙者は嬉しいでござるよ~!』
『まあ~僕もだけどね!』
『嬉しい事を言ってくれるでござるな~!』
『まあ~来生助さんからは、学ぶ事が多いからね!』
『えぇ!? 拙者からで、ござるか?』
『うん! 今の人にはない考え方だし! 生きざまが僕はカッコイイって思って
るんだよね!』
『・・・そうでござるか? 拙者も剛史殿からたくさん学んでいるでござるよ!』
『えぇ!? 僕から、、、?』
『そうでござるよ! 拙者の時代にないモノがいっぱいあるでござる! 剛史殿は
それらを使いこなしているでござるよ!』
『・・・うーん? それじゃお互いさまなのかな、、、?』
『そうでござるね!』
『これからも、お互い助けあって行こうね!』
『そうでござるね! それでは、早速! お風呂に入るでござる!』
『じゃあ、僕は薪を割って火を焚くかな!』
『よろしくでござるよ!』
『任せてよ!』
いつもの僕たちのやり取り。
これが! 普通の生活になってしまったよ!
僕は、心底おサムライさんの事が好きになったのかもしれないな!!!
最後までお読みいただきありがとうございます。