コーヒーブレイク8
うふふ~。輝く笑顔をふりまくアクア。なんて眩しいのだろうか……さすがは人魚姫だ。姫かはしらんが。水族の長だから、あらかた間違ってもいないだろう。
そんなアクアが俺に言った何気ない質問が「魔法使いってなに?」だった。
俺は、ここに連れてこられる前にロロンから頂いた平手打ちとトカゲみたいなのが現れて水の塊をぶつけられた事を思い出した。
「……あんな水の塊をぶつけておいて、魔法をしらないって? からかってます?」
まあ、あれは俺にも非があったかもしれないが、誤解だし。だけど……いきなりあれはないだろうと少しイラッとして言ってしまった。
「……ごめんなさい。あれは……びっくりしたし。人間だと思ったら怖くなって、つい」
四尻尾議会の大会議室。代表議席は四人なのに……無駄に広いし。傍聴席みたいなのもある。
その一角から、おずおずと俺のほうに向かって歩いてくるロロンがいた。
俺は……額に手を当てて「あちゃぁ~」と言ったあとに全力で否定の意味で手をバタつかせた。
「あっ、いや。べつにロロンさんが悪い訳じゃなくてですね……あのトカゲにですよ。うん」
俺の前でウルウルするのはやめてくれ! 獣耳をぺタンとしてる美少女を泣かすなんて……ほらみろ。この場にいる沢山の亜人さんが一斉に俺を睨んでるじゃんかよ。
シー、タン、アクア、アジュールの代表クラスは、世界樹が召喚した俺を『守護者』として認識してくれてるみたいだから、敵意はないけれど……他の方々はまだ俺を信じてません。そんな顔をしているなかでの……美少女を泣かすなんて悪魔認定だよ。
そして! それは当たり前のように起きた。
シャキイイイイイン――――。俺の顔前で寸止めされた危険な物。
俺の顔面での寸止め……どうも獣人は身体能力が高いのか寸止めがお好きのようだ。
俺の目の前には水色に輝く剣が付きつけられている。そして睨みながら「貴様か! ロロンに如何わしいことを……くっ」と言ってきたのは、銀色の胸当てを装備している獣人だった。
「ふん。一応は名のっておくぞ。『守護者』様らしいのでな」
「「「こらっ! やめっ」」」「あらら~」
「ふん。防衛第三騎士団所属のソフィア・チョコレートだ」
なんとも偉そうな美少女騎士だった。




