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コーヒーブレイク28

「お母様。私もマスターの前に現れても、いいですの?」

「ウフッ。お待ちなさい、まずは召喚士様が提示した内容を確認してからですわ」


 真っ白スライムは、ニコリと微笑むと俺にウインクしてきた。


「おふっ。アオイ、アオイ。確認など不用じゃ、すべてを受け入れると答えるのじゃ」

「ですね。受け入れるべきです」

「私も同意見ですね」


 スライムの微笑みって……精神攻撃か何かなんだろうか?

 見事に女性陣のハートをわしづかみしている。


(可愛いは……正義か……)

(無論じゃ)

((はい!))


 だが、可愛いからなんでも許してしまうなんてダメだ。

 それに、俺が提示した内容ってのが気になる……。

 ここは本人に確認しなくては!


 そう思った時だった。


「なっ……」


 俺はガクッと膝を落とすと、まるで目眩でも起こしたかのように倒れこんでしまった。

 透かさず、ノアが俺を抱きとめると「なっ、んじゃと……」と呟く。

 それに反応したロロンとソフィアもアオイを確認すると「「えっ?」」と漏らした。





(寝ておるのう)


 真っ白スライムに聞かれないように、ノアは念話でロロン、ソフィアと話ながら三人で目を見やる。


(妾の時は、完全に魔力の涸渇による魔力ゼロで意識を失ったのじゃがな。今回、アオイの魔力はまだ残っている……いったいどうなっておるのじゃ)

(ノア様……アオイ様は大丈夫ですよね?)

(くっ。フユノ様をこんな目にあわせてしまうなど……私は騎士として失格だな)


「あのう……召喚士様?」


 真っ白スライムは、心配そうにしながらノアに抱かれているアオイの顔を覗きこんだ。


「わたくし達をお呼びになられて、お疲れかと思いますが……お伺い致しますわ」

「いたしまーすですの」


 お伺いする気まんまんの真っ白スライムに「ちょっと待つのじゃ」とノアが手で制止ながら、割り込む。ちなみに、ノアはもう漆黒竜神から、いつもの人の姿に戻っている。


「ウフッ。申し訳ございませんが、わたくしは召喚士様と話しておりますので、いくら竜神様であっても……」

「むう。お主の言う通りじゃが……。ん? お主は妾が竜神だと分かるのか?」

「これでも、わたくしはクィーンホーリースライムでございます。いくら竜神様が、お力を隠していても雰囲気で分かりますわ」

「むう。むう」

「ウフッ。それに竜神様も同じように召喚されたのでは? ならばお分かりかと存じますが」

「むう。むう。むう。仕方がないのう」


(ノア様! あのう、ノア様が、ご存じのことっていったい?)

(私も知りたいですノア様!)

(むう。もしもじゃ、妾と同じと言うのなら召喚の際にアオイから条件が提示されておるのじゃ)

((条件!? ですか……それって、いったいどんな条件ですか))

(むう。このクィーンホーリースライムに出された条件は妾には分からん……)

(ですか……。では! ノア様の時は、どんな条件だったんですか?)


 ロロンは、何気なく聞いただけだったのに。なんだかノアがビクッてなっている。

 ソフィアも知りたい、知りたいですと興味津々だった。


(わっ、妾のことは、いいのじゃ)

((えーっ))

(うっ、うるさいのじゃ)


「……あのう。さっきから念話で会議しておりますか? わたくし、時間がありませんので話を進めさせて頂きますわ」


 もうこの三人は無視しますとばかりに、クィーンホーリースライムがアオイへの質問を再開したのだった。



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