コーヒーブレイク19
「「せーの」」そんな二人の心の声がした。きっと気合いを入れないと恥ずかしいのだろう。
「「『漆黒竜より授かりし黒き力を解放せよ! 漆黒のリボンよ我に力をバトルメイドモード』」」
ロロンとソフィアが、嫌々ながらに叫ぶと二人のポニテを結んでいた黒いリボンが輝き光に包まれる。
光の中でシルエットとして映し出される二人の体のラインが悩ましい。
「これはいったい?」
「なにが起きたのだ」
ほんの僅かな数秒という時間が過ぎると、目の前には黒のミニスカメイド服に白いエプロン、足元は黒の二―ハイに黒のメイド靴を着たロロンとソフィアが立っている。
「おお、なかなかじゃな」
二人の頭には、なぜか黒のホワイトブリムが装着されていた。黒いからブラックブリムなのかもしれない。
そして……一番の驚きは武器と黒いマントを装備していたことだろう。
ロロンは、召喚士らしく杖を手に持っていた。黒い支柱の先端が丸いリング状になっており、その中を漆黒の宝石が浮いているとても美しい一品だ。
ソフィアも、右手に黒いロングソードを左手に黒いショートソードを持ちまんざらでもない顔で立っていた。
さりげなくなびいている黒いマントも格好いいぞ。
(二刀流で長短の組み合わせって……風の○のナウ○カのユ○様じゃないか! なんて格好いいんだ)
武器の素材はなにで出来ているのか分からなかったが、なんとも黒々として堅そうな感じが俺でも見ただけで分かる。
「よいか、なにかあれば変身して戦うのじゃぞ。今後は実戦で使用していけば分かるじゃろうが、二人に用意した武器は妾が用意した神級の武器じゃ。そして着用している服も妾の竜素材を使った神級の防具になっておる。普段は『――メイドモード』と叫び、武器を持たない状態でおればメイド服の効果など誰も気づきもせんじゃろ。それに可愛いしな」
「たしかに、二人とも可愛いよ。それに俺はポニーテールが大好物なんだ」
「フフン。そうじゃろ。妾はアオイの事なら大概は分かるのじゃ」
なんだか意味ありげなノアは、ほっとくとして。いつまでも武器を持っている訳にもいなないので二人にはメイドへと変身してもらった。
あっ。ちなみにマントはメイドモードの時は装備しないらしい。たしかにメイド仕事には邪魔かもしれない。
せっかくだし、可愛いミニスカメイドにお茶でも入れてもらって。ティータイムを楽しもうとした時だった!
ドタバタと騒がしく、世界樹木の巫女であるシーが部屋に入ってきた。
「大変なことにっ、てっ……。ロロンとソフィアのその格好は何?」
「それより、大変なことって? なんかあったんですか?」
メイド姿が物珍しかったのか、大変なことを伝えに来たシーに俺が質問するはめになった。




