コーヒーブレイク1
「「「せっ、世界樹様ぁあああああ」」」
「くっ、なにをしてるのです! 早くあの者を捕らえるのです。場合によっては殺してしまっても構いません」
それは突然に起こった悲劇であった。
世界樹に埋め込まれた不思議な小石。
突然に現れた人間により投げつけられたと報告がきている。投げつけた瞬間に大きな爆発音も聞こえたそうだが……報告を受けた者は、意味が分からなかった。
ここは亜人の国パーステール。世界樹の加護により、ひっそりとではあるが多種の亜人が人間から逃げのび、やっと手に入れた安住の地であった。
周りであたふたしている騎士達に「急げ!」と指示を出したのは、緑の髪にキリッとした緑の瞳に長い耳の美少女エルフだ。
「……シー・グリーン、いますか?」
美少女エルフを呼ぶ声が世界樹と呼ばれている大樹から聞こえてきた。
シーの周りにいた数人のエルフが畏まるが、シーは「みんなの手当てを優先なさい」と言って世界樹の元へ歩みを進めた。
「……シー。どこ?」
儚げな声と世界樹の前に現れた幼い女の子がシーに倒れかかった。
とっさにそれを支えようと両手を出すが、スゥーっとすり抜けてしまう。
「世界樹様……無理なさらないで……具現化されなくても、お話しできます。お願いです今は休んで下さい」
シーは自分が着ていた白いローブを倒れている世界樹の女の子にかける。
ハァハァと呼吸を荒くしながらも世界樹がシーの両手を握った。
「……私の体に沢山の小石が……ぶつけられ……埋め込まれた事で、人間を恨んではいけませんよ。人間は……まだ幼い存在な、の、うっ……」
「世界樹様……無理に話すとお体にさわります。必ずこの不思議な小石は取り除きますから」
具現化した女の子の体が薄くなったり、戻ったりを繰り返している。辛そうにしながらもシーを悲しませないように……微笑む姿がまた痛々しかった。
「シー。いいですか、よく聞いて。このままですと私は一週間もたないでしょう。おそらく……国に張ってある結界は、もってあと……三日でしょう」
「…………」
「いいですか、私の巫女シー・グリーン。すぐに議会を。四尻尾議会をここで……」
「世界、樹……様? 世界樹様ぁああ」




