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終章 



「此度の働き、まことに見事だった。感謝するぞ。レオナルド」

「勿体なき」

「陛下。調子に乗るから褒めないでちょうだい」


 ……。

 魔神サブナックとの戦いから一夜明けて。

 謁見の間にて、俺と師匠は王の御前にいた。

 俺は跪いているが、師匠は立ったままだ。


 どうしてかといえば、五極星は各国の王族と同レベルの扱いを受けるからだ。

 まぁそれがなくてもこの人は跪いたりはしないだろうけど。


「厳しいな。しかし、どういう風の吹き回しだ? 弟子など取らぬと公言していたお前が弟子を取るとは。しかもそれがレオナルドとは驚いたぞ?」

「たまたまよ。気まぐれといってもいいわ。まぁ、私の修行についてきているし、この子なりに素質はあったということでしょうけど」

「お前からするとその程度か。魔神を倒した弟子は」

「私の弟子だもの。倒せて当然。倒せてなかったら破門だったわ」


 厳しすぎるだろ。

 顔を伏せつつ俺は内心呟く。


 ほかの五極星にもあったことはあるが、全員、ここまで弟子には厳しくない。

 一般的に見れば十分すぎるほど厳しい修行をつけていたが。


「厳しいな。それでも礼を言わせてほしい。我が国はレオナルドに救われた。国を代表して感謝を示そう」


 そういって国王は玉座から立ち上がると頭を下げた。

 それにつられて、騎士国の重鎮たちが跪く。あの祖父までもが。


「どうだ? 何か望みはないか? できるかぎりのことはするが?」

「だそうよ? 何か望みはないの? レオ」


 師匠を差し置いて何か言うわけにもいかず、様子をうかがっているとそんな言葉が飛んできた。

 珍しい。いつもなら必要ないわっていうところだろうに。

 けど。


「望みですか……とくには」

「そう? ルークライン家の取り潰しっていえば、王も叶えざるをえないわよ? だって、騎士国の守護者にしてはお粗末な結果だったものね。聖騎士団長さん」


 王の傍に控える茶色の髪の男性に向かって師匠はそう問う。

 俺がそのまま成長したような外見の男性は、俺の父であるクロード・ルークラインだ。


 背は高く、もう四十を超えているが三十代で十分通じるほど若々しい容姿をしている。


「返す言葉もありません」

「そうでしょうね。ちなみに息子が活躍したことについての感想は?」

「私に息子はおりません。拳皇殿」

「あら、そう」


 感情を出さない鉄仮面のままクロードは告げる。

 そのことに一切のショックはない。

 この人ならそういうだろうと予想通りだったからだ。


 期待はしていない。代わりに失望もない。

 この人はブレないのだ。


 あの日、俺を追放したときからこの人は俺を息子とは思っていないし、どれだけ強くなっても戻ってこいとは言わない。

 それがこの人なりの筋の通し方なんだろう。


「だ、そうよ?」

「問題ありません。俺にも父はいませんので」

「そう、それでいいならもう何も言わないわ」

「はい……陛下。一つ願いを叶えていただけないでしょうか?」


 少し考えて、ある願いを思いついた。

 あまり気が進まないけれど、これは言っておかないとマズい。


「なんだ? 言ってみよ」

「はい。此度の聖騎士団の失態。帳消しにしていただけませんか?」

「なに……?」


 その場にいた者たちが全員、目を見開く。

 それだけまさかの申し出だったということだ。


 正直、ルーカスなんてどうでもいいが、ミリアムも聖騎士として此度の件の責任を問われかねない。

 かといって、ミリアムだけを不問としてくれといっても、ミリアムは素直にそれを受け取りはしないだろう。

 それくらいはわかる。


 そうなると全体で帳消しにしてもらうしかない。


「しかし……それでは民にどう説明しろと?」

「すべて聖騎士団の手柄にすればよろしいかと。戦いはほぼ上空で行われていました。俺の存在を公にしなければ誰も気づきはしないでしょう」

「な、に!? 魔神討伐の功績を聖騎士団に譲るというのか!?」

「はい。それが俺の願いです。どうか叶えていただけませんか?」

「それは……こちらとしては願ったりだが……お前はいいのか? 魔神討伐ともなれば、大陸中に名が轟くぞ?」

「名声に興味はありません」


 そういうと王は大きくため息を吐いて、玉座の背もたれによりかかる。


「さすがは拳皇の弟子。器が大きなことだ。よかろう。その願い、儂が叶えるとしよう」

「ありがとうございます。陛下」

「ふっ……これで聖騎士団は借りができてしまったな?」


 王はそばに控えるクロードを見ながらしゃべる。

 それに対してクロードは。


「そのようですね。感謝しておきましょう」

「あなたのためではないので、感謝は不要ですよ」

「ならば父として感謝はしておこう。娘に処罰が下る心配がなくなった」

「そういうことでしたら受け取っておきましょう」


 短い会話だが、謁見の間に恐ろしい緊張が走る。

 だれもが俺たちが親子だと知っており、お互いの縁を切っていることも知っている。

 ゆえに俺たちの会話は必要以上に空気を圧迫するのだ。


「ああ、陛下。一つ忠告が」

「む、なんだ? 聞こう」

「これから先、ルーカスを聖騎士団長にと思っているならお止めになるべきでしょう。あれは性格的に団長には向いていませんから」

「あら? 人を評するなんて偉くなったものね」

「師匠は知らないから言えるんですよ。ぶっちゃけ、あいつがまともな指揮を取れてれば魔神は復活しなかったと思いますよ」

「まぁ、すごいわね。あなたがそこまで貶すなんて」


 貶しているんじゃない。

 冷静な人物評価の結果だ。


 魔剣術の才能は認める。

 だがそれだけだ。あいつには人を率いる才能はない。


「確かにルーカスは自分の才能に過剰な自信を抱く傾向があります。その点は私の責任です。それが矯正されるまでは、ルーカスはただの聖騎士に留めておくべきでしょう」

「う、うむ……師であるお前がそういうならばそうなのだろうな。だが、お前の後任は誰にする? いきなり団長は務まらぬ。だから後任は長い目で育成していく必要がある」

「レオ。あなたの妹はどうなのかしら?」

「ルーカスよりはマシでしょうが……まだ十五です。経験不足だと思いますよ」


 どうして師匠や俺が騎士国の人事にここまで耳を傾けているかといえば、ある程度、防衛体制がしっかりしていてもらわないとこちらが困るからだ。


 冥神教団は動き出した。

 これから五極星は魔神討伐に動く。

 そうなると各国の問題に手を貸している余裕はなくなるのだ。


「経験ねぇ……なら積ませたらどうかしら? そのルーカスとかいう問題児も一緒に」

「は?」

「聖王国で極星会議を開くわ。それにはティアナも出席させるから、あなた護衛していきなさい。私は用があるから別行動よ。だから騎士国からもその二人をお借りするわ。よろしくて?」


 なにもよろしくない。

 極星会議というのは五極星たちが集まる会議のことだ。


 王と同格の彼らが集まるというのは一大事であり、めったに開かれることはない。

 今回は魔神が復活したし、それについての話し合いだろう。


 ティアナが出席するのも現状、もっとも狙われそうだからということだろうな。


 けど、それにミリアムとルーカスを連れていくのは謎だ。

 悪いけど。


「足手まといです。必要ありません」

「右手。今は使えないのよ? 応援がいたほうが便利だと思うわよ?」

「片手でもあの二人より強いので問題ありません。尻拭いをするのが目に見えているのでお断りします」


 主にルーカスの尻拭いだ。

 あいつは碌なことしないし、自分の実力も冷静に測れないから質が悪い。


 自分が弱いという自覚があれば行動は慎重になるけど、あいつにそれを期待するのは冥神教徒に女神ルシアを崇めろと言うくらい不毛だ。


「あら、そうなの。ティアナ。あなたはどうかしら?」


 謁見の間の入り口に師匠が目を向ける。

 そこにはティアナとミリアム、そしてルーカスが立っていた。


 ティアナは医務室にいた二人の治療に当たっていたのだ。

 本人もかなり消耗していたというのに、どうしてもと聞かなかったのだ。


 おかげでミリアムとルーカスはほぼ回復したらしい。


「私は賑やかなほうが楽しいと思います」

「ピクニックじゃないんだ。移動中に狙われることも考えられる。そこの間抜けに足を引っ張られている余裕はないよ」

「だれが間抜けだ! だれが!」


 お前だよ。

 くそっ。傷が回復したせいで威勢も回復したか。


 今回の敗北で意気消沈してくれると楽だったのに。


「お前以外に誰がいる? 聖騎士を何人も失った団長代理さん」

「くっ……! そ、それは相手が魔神だったからだ! ただの冥神教徒なら今回のような結果には!」

「ふーん、確かにすごい子ね。これは矯正は難しいかしら? でも、騎士国が弱体化するのも困るし。やっぱり頑張りなさい。レオ」

「師匠! 勘弁してください! 無理ですって! こいつはこのまま一生、間抜けです! 昔から間抜けなんですから!」


 騎士国の重鎮が集まる場で間抜けと連呼されたことに堪りかねたのか、ルーカスが剣に手をかける。


「これ以上侮辱するなら決闘だ! 僕と勝負しろ! レオ!」

「お前と決闘なんてするか。勝負になるわけないだろ。間抜け」


 冷静に考えればわかるだろ。

 完全体じゃないサブナックにあっさりやられた奴が俺に勝てるわけないじゃないか。


「魔神は剣を封じてきたから負けたんだ! 君相手なら負けはしない! さぁ、僕と決闘だ!」

「はぁ、そうかい。それは良かったな。けどなぁ、お前のそういうところが間抜けなんだ。よくもまぁ、この場で決闘を申し込めたな?」


 ルーカスはこの場の状況を思い出したようだ。

 この場には騎士国の王はもちろん、重鎮。そして聖女であるティアナ。加えて王待遇の師匠までいる。


 こんな場で騒ぐなんて間抜けすぎる。

 なにせこいつは王に仕える聖騎士。俺が騒ぐのとはわけが違う。

 なにより。


「ルーカスさん。五極星は王待遇。そしてその弟子は王子や王女と同じ扱いを受けます。いわば国賓です。無礼はいきません」

「ぐっ! あのレオが王子!?」


 横にいたミリアムが重大な事実を告げる。

 そう、別に望んだわけじゃないが、俺はそういう扱いを受ける。完全に師匠の七光り状態だからあまり好きじゃないけれど。


「わかったら剣から手を放せ、間抜け」

「レオさん。あまり挑発するのは良くありませんよ?」

「いいさ。今のでこいつが周りの見えない間抜けだってわかっただろ? 同行させたが最後、絶対にトラブルに巻き込まれる。賭けてもいいよ」

「ですけど、アルトリート様は同行させるべきだとお考えなんですよね?」

「ええ。騎士国は今回の事件で多くの戦力を失ったわ。すぐに聖騎士は育たないし、なら今いる聖騎士を鍛えるのが一番手っ取り早いわ。騎士国が安定すれば、私たちはより魔神討伐に集中できるもの」


 言っていることはわかる。わかるが。

 どうして肝心の育てる部分が俺なんだ!?


「なら師匠が育ててください」

「私は嫌よ。天才とか嫌いだもの。軟弱だから」

「拳皇殿。話を勝手に進めないでいただきたい。聖騎士団長として二人の派遣は認めかねます。護衛が必要ならこちらから適切なものを選抜しましょう」


 思いもよらぬ援護射撃がきた。

 まさか父に助けられる日が来ようとは。


「あら、そうなの? 自分で鍛えるつもり?」

「ええ。そこの未熟者たちは師である私が責任を持って鍛えなおしますのでご安心を」

「過保護はいけないわ。外を見せるのも弟子のためよ。あなたはどう思う? ミリアム」


 今までほとんど黙っていたミリアムに師匠は話を振る。

 五極星の一人に話を振られて、ミリアムはかすかに緊張した様子を見せる。

 しかし。


「私は……自分が未熟であることを知りました。ですからもっと成長したいと思います。拳皇と呼ばれるアルトリート様が私に経験が足りないというなら、そのとおりなのだと思います。ですから……私は兄についていきたいと思います」

「ミリアム……」

「あらあら、レオの妹とは思えないほどしっかりしてるわね。どう? レオ」

「……ミリアムだけなら」


 俺の答えを聞いて師匠は満面の笑みを浮かべた。

 すべてこの人の予定通りか。

 わざとルーカスを勘定にいれたのは、俺の妥協を引き出すためか。


 申し訳ないがミリアムも足手まといであることに変わりはない。

 普通にミリアムの同行を指示されても拒否しただろう。

 だけど、ルーカスを入れられるとルーカスよりはマシかなぁっていう気分になって妥協してしまった。


「では決定ですね。聖王国までよろしくお願いします。ミリアムさん」

「は、はい、聖女様」

「ティアナでかまいませんよ。レオさんの妹さんなら私にとっても妹みたいなものですから」


 そんな爆弾発言をティアナがしたせいか、俺の横にいる師匠の雰囲気が一気に悪化した。


「レオ……言っておくことがあるわ」

「は、はい!」

「ティアナは私にとって娘同然の子よ。変なちょっかいを出そうものなら……奥義のフルコースだから覚えておきなさい」


 それ死ぬから。

 一度だけじゃなくて十回くらい死ぬから。


 想像しただけで体が震えてくる。

 なんて怖い父親代わりだ。

 恐ろしい。


「兄さま……聖女様と一体どんな関係なんですか……?」


 ちょっと不機嫌そうにミリアムが聞いてくる。

 勘弁してくれ。次から次へと。


「聖騎士団長さん。ということだから、娘さんをお借りするわ」

「……わかりました。ミリアム・ルークラインを聖女様の護衛として派遣しましょう」


 目を瞑ったあとクロードが告げる。

 そのあと、王によろしいですね、と尋ねると王は快諾してくれた。


 これで護衛は整った。

 あとは出発するだけだ。


 長居は無用。

 素早い移動はそれだけで安全性を高める。


「では、すぐに出発の用意を。聖王国までは馬車で行くことになりますし、今日中に出発するべきでしょう」

「そうね。私ももう出発するわ。ああ、そうだ。途中で槍の弟子が合流するから仲よくなさい」


 そんなトンデモ発言を残しながら、師匠は謁見の間を出ていく。

 槍の弟子。

 その言葉に該当する人物を俺は一人しか知らない。


「リアか……どうしても俺にトラブルメイカーを同行させないと気が済まないみたいだな……」

「レオナルド。槍の弟子というのは槍竜姫のことか?」

「はい、おそらくは」

「なんと。五極星の弟子が二人も護衛につくのか。それならば安心だ。ティアナ殿。此度は我が国が不甲斐ないせいでご迷惑をおかけした。安全な旅を祈っておる」

「いいえ、陛下。とても良くしていただき感謝の言葉が尽きません。どうか陛下もご壮健であられますように」


 王とそんな別れの会話を交わし、ティアナはその場を後にする。

 それに釣られて俺も退室しようとすると。


「レオナルド」


 後ろから呼び止められた。

 名を呼ばれるのは実に七年ぶりだ。


 あの日、勘当を言い渡されたとき以来というわけだ。


「なにか?」

「……娘を頼む」

「……ご安心を。一回りも二回りも大きくなってお返ししますよ」


 そんなやりとりをした後、俺はクロードに背を向ける。

 父と子という関係には戻れない。

 だが、それでいいのだ。


 あの人は変わらない。

 ルークラインにすべてを捧げた以上、あの人は剣の才がない俺を受け入れられない。

 だが、ルークラインを離れ、拳の道を行く俺のことは少しは認めてくれるらしい。


 そのことが意外にも嬉しかった。


「良かったですね」

「いや、そんなことないよ」

「顔が嬉しそうですよ?」

「そんなことないって」


 謁見の間を後にしたあと、ティアナがそんなことを言ってきた。

 否定するとティアナは俺の顔を覗き込んでくる。


「やっぱり嬉しそうです」

「……なんで君まで嬉しそうなんだよ」

「ええ、嬉しいですよ。親子喧嘩に発展するかと思ってましたから」


 ティアナはティアナで俺と父との関係を心配してくれていたらしい。


「祖父とならまだしも父とはそんなことにはならないよ。あの人はあくまで家を守りたいだけだからさ」

「レオさんは優しいですね」

「優しいとは違うと思うけどね」


 ただ納得しているだけだ。

 あの人は父親でいることよりも、ルークラインの家長であることを選んだ。ただそれだけのこと。


 実際、この年まで俺がルークラインにいたとしたらルークラインの評判は間違いなく下がっていた。

 それを考えれば冷静で的確な判断だったと言えなくもない。


「優しいですよ。きっとレオさんの態度にクロード聖騎士団長も救われたと思います」

「そう?」

「はい。きっとそうです。それに……そんなレオさんがまた私を護衛してくれるのはとても嬉しいです」


 ティアナは俺の正面へと回り、笑みを浮かべる。

 その笑みは陰りを知らないほど明るく、優しい。


 ついつい、その笑みを見るとこっちも笑顔になってしまう。


「ああ、俺も嬉しいよ。また君と一緒にいられることがとても嬉しい」

「はい。私もです。また……よろしくお願いしますね」


 ティアナはそういうと俺に右手を向ける。

 その右手を取ろうとして。


「こほん……お二人は仲がよろしいようで」

「み、ミリアム……?」

「陛下から正式な命令をいただきました。聖王国まで護衛させていただきますので、よろしくお願いします」

「は、はい。よろしくお願いします」


 ティアナは手を引っ込めてミリアムに挨拶する。

 俺は手持無沙汰になった右手をさまよわせ、結局ひっこめることにした。

 なぜだか妹の視線が厳しいものだったからだ。


「先ほども聞きましたがお二人はどういう関係ですか?」

「友人だよ。昔からの」

「昔とはいつですか?」

「……七年前」

「……まさか美人の色香に惑わされて家を出たんですか?」

「ち、違う! 誤解だ!」


 ミリアムがジト目で俺を睨む。

 そんな俺とミリアムを見て、ティアナは横でクスクスと笑っている。

 笑ってないで助けてくれよ。


「ティアナ。なんとか言ってくれ!」

「はい。レオさんと会ったのはレオさんが家を出たあとですよ。アルトリート様を紹介したのは私ですけれど」

「アルトリート様を? なぜですか?」


 それはたしかに俺も気になっていた。

 いくら俺がティアナを助けたといっても、そのお礼に拳皇を紹介するのはやりすぎだ。


 これは割と長年の謎だったのだが。


「簡単ですよ。レオさんに守ってもらいたかったからです」


 そう言ってティアナは笑みを浮かべた。


 五極星というのは魔神を討伐することを目的とした最強集団だが、もう一つ見方がある。


 それは新たな聖女を守る新たな五英雄という見方だ。

 つまりティアナは自分の護衛として俺を選んだ。そういうことなんだろうか。


 そこに考え至り、俺は急激に気恥ずかしさを覚えてティアナから視線を逸らす。

 ティアナの笑顔を直視できなかったのだ。

 だが、視線を逸らした先にはミリアムがいて。


「やっぱり色香に惑わされたんじゃ……」

「ち、違うって!」


 そんな会話しながら俺たちは聖王国へと向かう準備に取り掛かった。

というわけで、ここまでが一応一巻分相当のお話です。

もうちょっと続けようかなぁと思っていたんですが、予想外に使徒戦記や軍師を優先してほしいというメッセージやコメントが多かったので、ここで完結とさせていただきます。

もしかしたら連載に戻して、また続きを書くかもしれませんが、そのときはよろしくお願いいたします。

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[一言] いつか再開されることを楽しみにしてます^ ^
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