No.14
〜14〜
休憩時間はあっという間におわってしまった。
わたるの傷付いたような「ごめんね。」にアズサは罪悪感がいっぱいだった。
あの後全然話も出来ないまま休憩がおわっちゃったなぁ。
アズサは半分上の空でバイトをしている。
でも、今までの経験と粗末な仕事にしてはいけないという感情からか、時折入ってくるオーダーには体がきちんと反応していた。
「お疲れ様です。」
アズサは夕方上がりだった。
渉は1時間程前にすでに終わっているがいつものように 公園で待ってる。 とか一言も言っていかなかった。
相当、ひどいこと言っちゃたんだなぁ。
アズサは少し…かなり心配になってきた。
着替えをすませ、鞄を片付けているとサイドポケットの中の携帯が点滅していることにきづいた。
「渉さん??」
急いで携帯を開くと、思ったとおり渉からのメールが入っていた。
ボタンをクリックするとメールの数は10件。
「10件??!」
しかも時間にすると3分の間に入っている。
「こんな短時間で10件ってどんなんだよ。」
アズサはクスリと自嘲気味に笑うとメールを開いた。
最初のメールはごめんの文字と謝っている絵文字。
次のメールは…
「ハートだらけじゃん。」
文字は一切無く、画面に映し出されるのはハートばかり。
後の数件も同じようなハートやキスマークの絵文字だらけ。
「何このメール。ばっかじゃないの?」
口では悪態をついているけれど、顔はニヒャ〜っと崩れている。
最後のメール。
開くと何も書いてない。
けれど、スクロールバーが出ているからきっと何かあるんだろう。
アズサはボタンを下に押す。
ずぅ〜っと空白ばかりが流れている。というより空白だから画面が流れているのかとまっているのかさえ解らない。
「もしかして何も書いてないとか?」
半分疑問に思いながらもボタンを押し続ける。
やっと出てきた文字は
「あ?」
あ だけじゃん。
次の行は…
「い?」
全ての行を読み終わるとアズサは走って店を後にした。
「逢いたい」
たったこの4文字にアズサは渉の気持ちが大きすぎるほど込められているような気がした。
胸がワサワサするような変な感じ。
アズサは原付きにまたがるとヘルメットの留め具も留めずに走り出した。
向かうはいつもの公園。
あの公園に渉がいる気がする。ううん。絶対にいる。